簡単なようで難しい

 
蝶の記事の埋めぐさとして、Facebookに3年前にupした旧い記事を転載することにした。
とはいえ、一部訂正加筆版です。

 
ミヤマカラスアゲハの展翅が出来上がった。

ほぼ完璧な出来だと思っていたが、もう少し下翅を下げるべきだったかな?…。
否、全体的に下げるべきだったか…。

実を言うと簡単そうに見えて蝶の展翅は難しい。
翅の上げ下げのバランスをとらねばならないのだが、これが中々上手くいかない。バランスは種類によって違うし、たとえ同じ種だとしでも個体によって翅の形が微妙に違うから一筋縄にはいかないのだ。
アレコレいらってるうちに気がつけば、Σ(T▽T;)あぎゃあー、触り過ぎて翅がいつの間にかボロボロだすよ~。ぐすっ(;O;)、ってな事になる。

胴体を整えたら最後にアンテナ(触角)を整形するのだが、これが更に難しい。
先ずは触角を左右対称にする事に苦労させられる。
その際、羽との距離も考慮に入れなければならないので、注意が必要だ。
そして、それを真っ直ぐにする事に腐心させられるのだが、真っ直ぐしたくとも全然思い通りにはなってはくれないのだ。例えばアゲハなら、先の方が内側に湾曲しやすい。
それに翅とのバランスもとれていなければならない。
で、コチャコチャいらっているうちに、アチャー❗
ポキッ!ガビーΣ( ̄ロ ̄lll)ーン、アンテナ折れてもたー。ウルルー(T△T)ってな事になる。

思えばオラの初期の頃の展翅などは、シーサンプータ バラバラ~、ホントひどかった。師匠竹中さんに教わってからはマシになったけど、教わってなかったら今だに不細工な標本を無尽蔵に製造していたことだろう。

多分、本当に綺麗な展翅が出来る人は、その竹さんを含めて4~5人くらいしか知らない。プロでも下手な人は一杯おる。おそらく匠と言えるような職人技の人は全体の30%くらいしかいないと思う。素人なら、もっと低いのは言わずもがなだ。
だいたい数多(あまた)ある図鑑を見ても、有名な図鑑でさえも完璧に美しく展翅された標本は少ない。
ハッキリ言って下手クソなのだ。それくらい完璧な美しい展翅をする事は困難なのである。
センス、技術、工夫、経験、忍耐がなければならぬ。

匠への道は遠い。日々精進である。

                 おしまい

 
P・S
3年前とはいえ、若気の至りの文章ですね。
今は、この時ほど尖んがってません。展翅の上手い下手は気になるけど、人それぞれ。その人本人が満足していれば、それでいいのではないかと思っています。

因みに、今なら迷わず下翅を下げますネ。
こんな感じ。

 
【タカサゴカラスアゲハ♀】

写真の角度は悪いが、ほぼ完璧だろう。
あっ、でも左の触角が今イチ真っ直ぐじゃない。

塗ったら、勝手に触角が💥ピキーンと真っ直ぐになる液とか、世の中に無いのかね❓

                  おしまい

 
追伸の追伸
え~と、連載『台湾の蝶』の次回は、タテハに厭きたので、アゲハを予定しております。

 

 
けど、1行たりとも書いてないけど…。