『西へ西へ、南へ南へ』18 愚か者、憤死

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-28 18:17:23

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

     (第十四番札所・愚か者、憤死)

 
2011年 9月20日

8時に目覚ましが鳴った。
外を見て愕然。
天気悪っるッ( ̄0 ̄;❗
台風、行っちゃったんじゃないの❓
風、強よッ❗❗( ̄ロ ̄lll)
昨日の天気予報では快晴だった筈なのに…。

それよか、まだ酔っ払っている(//∇//)
昨日、板前の竹さんと従業員(ホール)の福ちゃんに誘われて飲みに行った。
スナックを二軒梯子して、最後はバーに行き、帰ったのは朝4時半。痛飲と云うか、うえーっぷ、泥酔。

愚か過ぎる…。
大体、福ちゃんが『僕は歌が巧い、酒も強い❗』
竹さんも『俺も歌が巧い、酒も強い❗』なんて言い出すからアカンのだ。
こっちは負けず嫌いなんだから…。

板前の竹さんは渋い人だと思ってたら、全然違った。明かる過ぎ。と云うか、駄じゃれ連発やん❗
いきなり、一発目からo(%)○ウルトラマンガイア熱唱やもんなあ。
福ちゃんに至っては、キョンキョンとか、森高千里等女の子の歌しか歌わない。声高過ぎ❗裏声❓
(^^;)知らなかった…。完全におかまちゃんキャラやんか❗❗❗
ついでに大ママに惚れている。いわゆるフケ専ね。でも、大ママは60歳のおぱあちゃんだぜ。もう、ワケわからん。
二人共、面白すぎーρ( ^o^)b
♪♪

何年振りだろうか?、久しく歌なんて歌ってない。
でも、完璧(^o^)v
俺、歌巧すぎー❗完全に周囲を黙らせてやった。(性格、悪っるうーf(^_^))
でも、黒すぎてフィリピーナに『アンタ、フィリピン人だ❗』と笑われた。
何か、おネエーちゃん達もみんな可愛いくて、ぴょんぴょんぴょーん ̄(=∵=) ̄アマミノクロウサギ・ギャグ連発のハシャギ過ぎー❗

9時にバイクを借り、谷村ポイント行ってみた。
どう見ても(@_@;)べろんべろんの完全飲酒運転。
しかも、何もおらん。雨まで降ってきた。
そのうち晴れんだろう。何にしても前向きなのだ。

10時半。フェリー会社から電話が入った。
一応、23日のウルトラ早朝午前3時半の便が出る事になったと云う連絡だった。これで何とか帰れる。

一昨日見つけた小宿の樹液ポイントに行ったが、アカボシはおらず。
根瀬部で、チラッと♂を見たが犬に吠えられ撤退。
山を越え、国直まで行ったが風が凄い。
海、荒れ荒れー。
こんなんで本当に船出るのかよ(^_^;)?

1時半。ようやく陽が射し始めた。
取り敢えず根瀬部に戻る。
エノキもあり、柑橘畑も有りいののベストポイント発見。

おう、翔んどる、翔んどる。
しかし、酔いがやっと醒めたと思ったら完全に二日酔い。
アッタマ、痛てぇー(´Д`)))
オエ━━Σ(-∀-;)、えずきっぱなし。
正直、立ってるだけで精一杯。
一応、ネットを振るがヘナヘナだ。足がもつれてダメダメ星人。

一応♀も採ったが、又バッサリいかれていた。♂もほとんど擦れ、欠け、ボロと傷んでいる。
二日酔いも相俟ってガックリだ。

3時には移動して、知名瀬、小宿経由で4時に谷村ポイントに戻ったが、天気も良くないし、暴風。
1頭だけスーパーおんぼろスミナガシがいただけ。
5時に名瀬のイワカワポイントに行ったが発見出来ず。
正直、己のせいではあるが、最低の一日。

そして、懲りもせず今日も脇田丸へ。
勿論、ハリセンから入った。

ハーシビ(トガリヱビス)の酒蒸し(690円)。

美味すぎ❗ 煮付けも旨かったが、酒蒸しは上品で絶品である。

さてと…、うに丼(890円)でも食っか?

いよいよ、残すところあと一日。
明日がラストチャンスだ。

                  つづく

(subject)

煮付けの写メも入れとこっと。

兎に角、タイ、ノドグロ、キンキ、キンメダイ等の海の赤ピンク系の魚はみんな旨いわ。

【飛べ‼、スミナガシ】

スミナガシの♂はテリトリーを張るので、どんどん採っていかないと新しい奴が入ってこない。
そして、大概は最初に陣取っているのが古参のボロ。仕方なく1頭目のボロを後で逃がしてやるつもりで採ったのだが、忘れてて持って帰ってしまった。
で、部屋から逃がしてやったらなぜか網戸に止まってぶるんぷるん翅を震わせ始めた。
写メでは分かりにくいけど、スミナガシの複眼の色は深いエメラルドグリーンなのだ(画像を拡大すれば少しはわかるかと思う)。真っ赤なストローと相俟って、蝶の中ではかなり特異で妖艶な美しさです。その辺も人気の理由かもしれないですね。
でも、死んだら残念ながらその色は儚く消えてしまう。トンボなんかもそう。オニヤンマのグリーンの複眼は是非生きている時に近くで見て欲しい。どんな美しい宝石も勝てない透明なグリーンなのだ。

S

『西へ西へ、南へ南へ』17 梔子の妖精

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-27 19:09:05

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十三番札所・梔子(くちなし)の妖精)

 
2011年 9月19日

暴風が吹き荒れている。
だが、大したことない。石垣島の時の屋根が取れんじゃねぇの?Σ(T▽T;)というよりかは全然マシ。
あん時は、恐くて死ぬほど酒飲んで寝たんだよね。

仕方なく暇潰しに沖縄本島真夏編『ニライカナイの女王』の最終回を書く。
あーだこーだと文章をこねくりまわしてたら、5時間も掛かってしまった。低能な文章を書くのにも、結構それなりに時間がかかるのだ。

午後3時前、一段落ついたし、雨も上がったので出る。
風はまだ強い。

取り敢えず、一番近いらんかん山へ。
木々が風に煽られ、殴られぱなしのボコボコにされている。
風速は15m、時に20mくらいはあるだろう。
流石にアカボシも翔んどらんだろうと思ったが、1頭だけ翔んでいた。
アンタ、馬鹿ね。だけども偉いね(〃^ー^〃)
今や、そんなアカボシゴマダラに愛を感じるよ。

風がどんどん強くなり、身の危険を感じて4時前には山を降りた。

いつものように帰る道すがら、イワカワシジミを求めて民家の梔子(くちなし)をチエックする。
ここの梔子は立派である。既に肉眼で穴が穿いている実を3つ確認している。しかし、まるで手が届かない。いつも指を咥えて見るのみ。
クチナシって、生け垣とか丈の低いイメージがあるけど、本来はちゃんとした立派な木なんだね。もしかしたら、都会でよく目にするのは園芸種で大きくならないように品種改良されているのかもしれない。

どうせ今日は暇だ。
この際、周辺をじっくり探してみよう。他にもクチナシの木があるかもしれない。

イワカワシジミは奄美以南に棲息し、蝶好きには人気が高い憧れの美蝶だ。
裏面は日本には他に類を見ない綺麗な翡翠色で、優雅な長い尾っぽを持ち、南国の妖精という言葉がピッタリの可愛らしい蝶だ。

周辺を捜し始めて直ぐ、驚いて頭上に飛び上がった個体に出会った。イワカワさんだ。八重山や沖縄本島で採集済みだし、特徴的な姿なので他と見紛うことはない。
しかし、(^。^;)あらら…。折からの強風に煽られ、飛ばされていってもうた。

もしやと思い、目を転ずれば梔子の樹が目の前にあった。丈も高くなくて手頃な大きさだ。

調べてみると、卵が着いている実(註1)があった。

穿孔がある実(註2)もかなり見つかった。 だが、どれも中身は空なような気がする。内部に生きているモノの気配が感じられない。

立派なクチナシのある民家に戻ると、タイミング良く家のおばーが帰ってきた。事情を説明する。
おばーは、おじーを呼びに行った。
再びおじーに事情を説明したら、わざわざ高枝切りバサミを持ってきてくれた。
親切に感謝なりm(__)m
無事に4つ程良さげな実を落として貰った。

結局、その後イワカワの姿は見れずじまい。
まあ、天気は悪かったが、悪いが故に楽しめたかな。
ケッ( ̄ヘ ̄メ)、明日、こやつとアカボシの♀を絶対シバいてみせるぜよ。

今日も判で押したように居酒屋脇田丸へ。

いつものようにアバスの唐揚げを頼みスタート。
相変わらず、下手な河豚より数段旨い。

二品めは、昨日頼んだ漁師めしをご飯抜きでオーダー。海が時化っぱなしで、魚が入ってこず、黒マグロをふんだんに使ったスペシャルなものになった(490円❗)。完全にトロ鉄火状態。量も多い。

【漁師めし】

次に板さんに薦められたのは、アマミウシノシタ(舌ビラメ)のカルパッチョとグルクン(タカサゴ)の一夜干し。
迷う事なく、タカサゴ❗
カルパッチョって、何か中途半端で信用ならない野郎なような気がしてならない。ホントに美味い魚なら、普通の刺身で勝負せえやι(`ロ´)ノ❗と思うのである。

今日も呑んだくれて、夜は更けてゆく。
生ぬるい南国の夜風が心地よい。

                    つづく

 
(subject)

【イワカワシジミ Artipe eryx okinawana】

(裏面)
(出典『日本産蝶類標準図鑑』。標本はあるけど、探すのが面倒なので図鑑から画像を拝借。)

日本では奄美大島から南、与那国島にまで分布する南方系の蝶だ(現在は屋久島にも生息するが放蝶由来)。
奄美大島のイワカワシジミは亜種にこそなっていないが、かなり特徴的な姿をしている。表の前翅と後翅の亜外縁に白斑列にあらわれるのだ。特に第1化の春型の♀の下翅は顕著で、気品があって美しい。

国外ではインドからインドネシア、中国、台湾などの東洋熱帯区に広く分布する。しかし、日本でも個体数は多くはないが、さらに少なくて珍品とされているようだ。
とはいえ、ラオスとかタイでちょこちょこ採っているから、ホントなのかなと思う。因みに日本のイワカワシジミより遥かにデカイから、とても同種とは思えまへん。

(2014.4.7 Laos oudmxay)

これじゃ、大きさワカランか?
でも、しっぽ(尾突)が長いのは解るかと思う。しかも太くて白いし、白帯の領域も明らかに広い。

他にも画像があった筈だから、探してみる。

(2016.4.28 Laos oudmxay )

この画像なら、大きさも解って戴けるのではないかと思う。とはいっても、蝶好きな人しかワカランか…。

これは同日に採った別個体。天女のように美しいね。
どうやらこの辺(インドシナ半島)のクチナシの実は大きいから、その分だけデカくなるらしい。噂では超バカみたいなデカイ亜種?近縁種?がいるらしい。
意外だったのは、何れも川っぺりに吸水に来た個体だった事だ。そういえば、タイでもそうだった。イワカワが吸水に来るなんて日本ではほとんど聞いたことが無かったから、おおいに驚かされた記憶がある。確か、画像の個体は全て3時以降夕方近くにやって来たような覚えがある。
話は全然逸れるけど、この時はビヤッコイナズマEuthalia byakkoとパタライナズマ Euthalia patalaをひたすら待ってたんだよね(パタラに関しては採集記があるので、興味のある人は探してみてね)。

【イワカワシジミの卵】
イワカワシジミはクチナシの実にしか卵を産まない。
幼虫は葉っぱではなく、実の内部を食べて成長するからだ(実のない時期は蕾や花を食べる)。
普段、我々は生け垣や植え込みとして植えられる事が多い園芸種のクチナシしか目にする機会はない。6月に良い香りのする白い花を咲かせるコレね。

(出典『花図鑑』)

オオヤエクチナシ(英名ガーデニア)という品種らしい。何と実はつけないそうだ。って事は、コヤツではイワカワシジミは飼育できないってことだね。

多分、野性種はこんな感じの花だったかと思う。

(出典『デハ712のデジカメ日記2017』)

野性種の本来のクチナシは意外な程に大きい樹だ。大木になることはないとは思われるが、低木とはいえ、クチナシの概念を改めざるおえないような立派な樹である。少なくとも腰丈くらいの灌木と云うイメージは捨て去るべきだろう。だから、最初に八重山に行った時はクチナシの木を見つけるのにかなり苦労した。まさかそんなにデカい樹とは思わなかったからだ。
何でも人間が自分達の都合のいいように作り変える。そういう事だ。

【そして、その穿穴】
ここに幼虫が食い込み、内部を餌とするのだ。蛹化もこの中で行われる。これは穴が大きいので、既に脱出して蝶になっている可能性が高い。

不思議な事にクチナシならば、どの木でも実がなっていると云うワケではない。実のなる季節も特には決まっていないようだ。
又、実が有ったとしても卵や幼虫が必ずしもいるわけではない。様々な細かい条件が揃わなければならないのだろう。いつも驚かされるのだが、自然界の法則は複雑怪奇である。
もっとも、そんなのは所詮ダーウィニズムを筆頭に人間側からのエゴイストな解釈にしか過ぎないのかもしれない。蝶本人たちにとってはごく当たり前の事で、きっと不思議でも何でもないのだろう。

【漁師めし=スペシャルなめろう】
漁師めしとは、ようするに生の魚を大葉や葱、生姜、胡麻、味噌を加えて細かく叩く『なめろう』の親戚みたいなもの。
海苔が入るところが奄美風だったり、脇田丸風だったりするのかな?

 
追伸
結局、今回はけっこう文章に手を入れた(後に海外でのイワカワシジミの知見も増えたしさ…)。
出来るだけ当時のままを尊重して手を入れないようにしているのだが、元々自分の周りにしか送っていないような文章だっただけに、原文ではかなり説明が割愛されている。そもそも説明が嫌いだし、顔見知りに配信していたからコチラのキャラ知ってるんだから行間読めよ、解んだろ?というスタンスだったのだ。でも、今は不特定多数を相手に配信しているので、そういうワケにもいかないんだよね。
まあ、それが良いのかどうかはワカンナイけど…。
説明の多い文章は、だいたいは駄文だかんね。

『西へ西へ、南へ南へ』16 奄美の黒兎ぴょーん

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-25 22:25:00

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十二番札所・奄美の黒兎ぴょーん)

 
2011年 9月18日

台風がいよいよその重い腰を上げ、ようやく北上を始めたようだ。
流石に今日はどんよりとした天気だ。風も強い。
二日酔い気味だし、10時くらいまで部屋でゴロゴロしていた。

捕虫網の円光・沖縄本島真夏編『ニライカナイの女王』の最終回の続きを書きだしたが、やっぱり嫌になって投げ出す。佳境のところをどう書けば良いのかがわからない。

大の字になる。
首を傾けて外を見ると、雨は小雨になっていた。
部屋で煩悶してるよりかはマシだ。出る事にした。
バイクは今日の天気を見越して既に昨日返してある。荒天の中、返しに行くのは大変だと思ったからだ。

取り敢えず、アカボシゴマダラの偵察にでも行こう。
知名瀬の手前、小宿やあかざき公園にもアカボシの記録があった筈だ。

【アカボシゴマダラ奄美大島亜種】

だが、歩きでは遠い。かといってバイクを借りるのにはチト勿体無い距離である。むうー(;・ω・)
ならば、チャリンコを借りられないかなと考えた。
しかし、何処で借りればよいのか分からない。
取り敢えず、観光案内所に行くことにした。訊けばわかるだろう。
ついでに近所の郵便局にも寄っておこう。そろそろ手持ちの金も底をついてきた。

観光案内所には、二人の女性がいた。
一人は島の女性で、30台前半とゆうところ。もう一人のオッパイのデカい方は20台後半とゆうところか…?こちらは内地から移り住んだ女性だ。
チャリンコのレンタルできる場所を訊き、ついでにお奨めの食いもん屋も訊くことにした。

島育ちの女性が、大ボケでツッコミどころ満載だった。
色々ボケ倒してくれたが、極めつけは『鶏飯(けいはん)の一番美味い店は何処?』と尋ねたら、しばらく黙り込み、
『うちの家です。』と答えた辺りだ。
『(・。・;はあ❓、あんたんとこ、鶏飯屋かよ❓』

勿論、なワケねー。違った。
鶏飯は元々は奄美大島の家庭料理で、島民は外では食わないとゆう事を言いたかったのだろうが、それじゃ質問してる側からすれば、身も蓋もないでしょ?
『じゃあ、アンタの家で食わしてよ❓』と冗談で言ったら、再びしばらく黙りこみ、けっこうな間が空いてから『それは無理です。』と答えた。冗談なのに、たぶん真剣にどうすべきかを考えていたんだろう。
この状況なら、可愛い人だ。(o^O^o)ちょっと面白くなってきたぞ。

他にお奨めの店はないかと尋ねたら、備え付けの観光案内冊子の中のトンカツ屋を得意気に指さした。
奄美大島で、トンカツ❓
『そこは特に何が美味しいの?、ロースカツ?』
と訊いたら、
『行ったことないです。』
と云う力強い答えが帰ってきた。
(゜ロ゜;えっ !?と言ったら、彼女はそれを無視して、『ねっ、美味しそうでしょ?』と満面の笑みを返してきた。
そして、キッパリと『絶対に行ってみたい店だ。』と真顔で付け加えた。
\(◎o◎)/アマミノクロウサギ(註1)、ぴょーん❗
(^ー^;)おいおい、それって、あんたの希望的観測だよね。フツー、自分が行った事ない店を堂々と紹介するかね❓

他に訪れる観光客も無く、ずっとそんな調子で爆笑クロウサギトークが続き、笑いの渦に捲き込んでやった。久々、ツッコミ能力を発揮したって感じ。
なんやかんやで、楽しい時間を過ごせたし、お蔭で暇潰しにもなった。
旅は、こういう現地の人とのふれあいがあってこそ面白くなる。

思いの外、時間が経った。まあ、それもよろし。
1時過ぎ、紹介されたチャリンコ屋に行く。
レンタル代 8時間 500円。

いつ急変するとも知れない怪しい天気の中、30分で目星をつけていた運動公園に着いた。
しかし、住所表記は小宿になっている。どうやら此処はあかざき公園ではないようだ。
まあ、いい。気をとりなおして、強風の中、ポイントになりそうな場所を探して回る。
この何日間かで、アカボシゴマダラは昼間ほとんど活動しない事が解った。春と秋には、トラップにほとんど来ないことも判明した。♂のテリトリーの場所に♀は滅多に来ないと云う事もほぼ確定だろう。
そうなると、産卵に来る食樹を見つけるか、餌場の樹液が出ている樹を探すしかない。

できるだけ山に近いミカン畑を探す。本土ではイメージはないが、柑橘類からも樹液が出るのだ。

程無く、良さげなミカン畑を見つけた。
おっ(^o^)/、見ると吸汁に来たアカボシが木に止まっている。

フンッ( ̄З ̄)、天気が悪くとも何とかする男なのだ、( ̄^ ̄)エッヘン。
この蝶、鮮やかな赤い紋が目立って、止まっていたら意外と簡単に見つけやすい。
それにしても、よくこんな暴風の中、アンタも居るよね。

しかし残念ながら♂で、しかもボロだった。
網を近付けようとしたら、感づいて逃げた。
奄美に来る前の想像とはだいぶと違って予想外だったのだが、この蝶、意外と馬鹿ではない。結構、敏感なのだ。普通、樹液に来た蝶は食事に夢中になって警戒心がかなり薄まるものだが、そんな事はなさそうだ。近縁のオオムラサキの方がよほどおバカさんでしょう。
とにかく、樹液ポイントが見っかった。それだけでも大きな収穫だ。これで♀が採れる可能性が少し拡がった。

朝仁に戻って、あかざき公園を探す。
町のオバーに尋ねたら、あかざき公園は普通の平地の公園ではなくて(なら、楽勝だと思った)、山全体が自然公園なんだと云うことか判明した。考えてみれば、近所の小さい公園だけでなく国立公園も国定公園も同じ公園だもんな。日本語はややこしいよね。

とにかく、チャリンコではとてもじゃないが登れない。それにそれじゃ♂ポイントだ。
諦めて、いつものらんかん山に行った。
3時前。そろそろテリトリーを張る時間だ。だが、流石に暴風になってきているから翔んでない。
これ以上居ても期待は持てないし、どうせ♂ばっかだ。いつ大雨が来るかも分からない。サッサと切り上げた。

そして、いつも通りの脇田丸へ。
やっぱり、アバス(ハリセンボン)の唐揚げから始める。

今日のチャレンジメニューはコレ。

【ホタ(アオダイ)の酒蒸し()】

690円だったか、390円だったかの記憶定かで無し。
アッサリしている。やや磯臭いが、頭周辺は身がしっとりとしていてかなり美味い。

今から、ずっと気になっていた漁師めし(なめろう風)を頼もうかと思う。

どうせまだ2~3日は帰れそうにない。
ボトルをまた入れてやった。

風が本格的に台風っぽくなってきた。
まだまだ、夏休みは終らない。

                   つづく
 

(picture subject)

【アバス(ハリセンボン)の唐揚げ】
いよいよ登場。これがハリセンボンの唐揚げ。
のちに皮で作った大きなハリボテを見せて貰ったのだが、正確にはハリセンボンではないと思う。そんな巨大なハリセンボンはいない。多分、モヨウフグかケショウフグだと思う。これでも、自分はダイビングインストラクターだったのだ。この二種はサイパンで何度か見ている。

この記述を読むと、ほぼライブ配信の当時はアバスの唐揚げの画像アップするのにだいぶと引っ張ったみたいだね。あんだけアバス、アバスと書いといて、この日まで画像無しって事は、半分くらいは意図的だったんだろう。当時は、如何に読者をワクワクさせてやろうかとか考えてたんだと思う。

【ホタ(アオダイ)の酒蒸し】
南方系の魚だと思う。多分、磯に棲む魚なんだろう。

上は当時のコメントだが、今回改めて調べてみたら、新たなる知見を得た。
アオダイはスズキ目フエダイ科に属し、伊豆諸島・小笠原諸島から高知、鹿児島、沖縄などで水揚げされている魚だそうだ。但し、どこでも漁獲量は少なくて高級魚とされているみたい。特に関東ではアオゼと呼ばれ、珍重されているそうな。どんな調理法でも美味いらしいから、評価も高いのだろう。

(新しいボトル)
今回は『天海』。こっちの方が更に飲みやすいと思う。奄美大島と言えば、黒糖焼酎。奄美は食いもんも旨いが、酒も旨い!
そういえば思い出した。15年くらい昔の話だが、酒はだいたい何でもござれの自分だったが、唯一焼酎だけが飲めなかった。
それが、2005年ダイビングの仕事でここ奄美大島で訪れた時に黒糖焼酎に出会い、やがて焼酎全般へと開眼していたのだった。黒糖焼酎は癖が少ないので入口として入りやすいと思う。と云うわけで、今や酒の完全オールラウンダーだべさ。

(アマミノクロウサギ)
どうせ、みんな知ってるだろうと思ってたけど、一応今回を機に説明しときます。
アマミノクロウサギは、世界の中で日本の奄美大島にのみ生息する黒くて小さいウサギ。
でもというか、だからこそなのかも知れないが、映像を見てるとドンくさい。よくぞ、生き残ってこれたもなだなと思う。多分、アカボシゴマダラもアマミノクロウサギも古い時代には沖縄本島にもいた筈だ。でも、両者とも今はいない。そう云う意味では、奄美大島の自然は稀有ではあるよね。

『西へ西へ、南へ南へ』15 すべてはミックスジュースのように曖昧になってゆく

 
ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-22 20:16:58

     

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

(第十一番札所・すべては、ミックスジュースのように曖昧になってゆく)

 
2011年 9月18日

旅に出て10日が過ぎた。
時間の感覚が無くなりつつある。
いつ帰るとも知れないと、益々自分の輪郭が形を失い、朧(おぼ)ろになってゆく。
今日は何曜日だっけ❓

いつの間にか、また真っ黒になっている。もはや土人だね。

朝6時に起き、昨日のスミナガシ・谷村ポイントに行った。トラップの見廻りの為だ。
しかし、スミナガシもアカボシもいない。ルリタテハが来ていたが、完全に無視。
今回、トラップが全く役に立っていない。
アカボシは6月以外はトラップにほとんど来ないと聞いていたが、やっぱりそうなのか…。

9時に諦め、帰って支度し直した。
台風なので先は読めない。読めないが前に進む。
ずぶ濡れはもう経験済みだ。どうとでもなれだ。契約を延長して、今日もバイクを駆ることにした。
止まってたまるか❗失速しない為には駆け続けるしかない。
男は蒲生崎にバイクのフェンダーを向けた。

アカボシもアマミカラスも個体数はここが一番多い。あれだけ♂がいるんだから、♀だって同数いる筈だ。
完品のレッドスター・レディーを何としても手中にするのだ。

天気は今日もいつしか快晴。
台風男ではあるが、やっぱり晴れ男なのだ。
取り敢えず、谷村さんに教えて貰った民家横のポイントへ。
ミカンの木の樹液に1頭ボロ♂が来ていたが、リリースしてやる。以降、この個体を計3回も掴まえてしまう。
矢張り父っちゃん坊や谷村氏に一網打尽されてしまったか…。
エノキの木に蛹の脱皮殻が3つほどあったので、蛹を探してみたが発見出来なかった。

集落の更に奥を目指した。
コーナーを曲がったら、突然眼下に青い海と白いビーチが飛び込んできた。
夢のような美しいビーチだ。
日本じゃないみたい。
奄美の海は、この条件下でもこれだけ美しいんだからスゴい。

蒲生崎には午後1時に着いた。
相変わらずアマミカラスが一杯翔んでいるが、ことごとく♂だ。翅に光が真上から当たるとキラキラ青光りして宝石みたいに美しい。

1時半、真っ青な空をバックに大きなアカボシが真上を優雅に通過して行った。
デカかった…。多分♀だろう。
必死に周囲を探してみたが、結局見つからなかった。

2時くらいから風が強くなった。
雲がビュンビュン通過してゆく。
風の音が不気味である。人を不安にさせる音だ。

2時半、1頭だけアカボシがテリトリーに翔んできた。しかし、単発であった。
本格的に翔びだしたのは、やはり3時からだった。これで昼間は基本的に飛ばないという事が決定的になった。
それにしてもこの蝶、風が強くても構わず飛んでいる。雨さえ降らなければいいようだ。それよか、昼間飛べよなー(# ̄З ̄)
近縁のゴマダラチョウは昼間でもジャンジャン翔んでるぞ。どっちかというと、やっぱり性格はオオムラサキ的だね。

14、5頭、ネットインしたが、半分はリリースした。奄美に来て約1週間、段々ボロが増えてきた。

4時過ぎ。移動しようとしたら、アマカラの♀らしき影がカラスザンショウの木に翔んできた。葉っぱに止まり、お尻を曲げている。産卵だ。完品のようだ。
ごめん、悪いがネットイン。
一部、スリットが入っているが、今迄で一番綺麗な♀だ。

だが、あまり感動はない。
アマカラは♂の方が綺麗だと思う。

4時20分。それで出発が遅れた。
谷村ポイントに一縷の望みを賭けて行ってみたが、既に陽が陰ってしまい、ジ・エンド。
本日も彼女に袖にされた。
レディーは、いったい何処に行けばいるの?(T_T)

一日回転寿司に浮気したが、今日も脇田丸へ。

本日のチャレンジ・メニュー。

【イラブチャー(アオブダイ)の唐揚げ(390円)】

巨大なエビ天みたいになっとりまんなあ。
一応、沖縄辺りでは味が良いとされ、高級魚だったんじゃないかな。でもトロピカルブルーの魚だから、本土の人間にはかなり引く見てくれだ。

(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

沖縄や八重山で何度か刺身で食ったことはあるが、唐揚げは初めてだ。

皮に弾力があって美味い。
が、ハリセンボンちゃん(アバス)には敵わない。
それにしてもこの店、揚げ方が上手いよなあ。毎回感心する。外はカラッと、中はジューシーなのだ。

グルクン(タカサゴ)の塩焼き(390円)。
沖縄だけじゃなく、奄美でもグルクンと呼ぶんだね。
大体、唐揚げにすることが多い魚だから、塩焼きは珍しい。多分、初めてだ。
ふむふむ。塩焼きも中々のもの。味は同じ青魚系のアジに近いが、身質はもっと弾力がある。
一匹丸々で、この値段だから嬉しい。

ボトルを飲みきったので、今日はひたすらラガーの中瓶を飲んでいた。
前カノから電話があり、嬉しくて痛飲。へべレケで帰った。
お代は1960円。いつもながらにクソ安い。

今日も沖縄発の船は全便欠航。
沖縄では海が荒くれてんのかなあ…。

酔っぱらいながらの帰り道。
信号機が濡れた舗道に映り、艶やかに滲んでいるのを見てふと思った。
帰れないことは、不幸ではない。
寧(むし)ろ、此処に長くいれる事はしあわせなんだと。

                   つづく
 

【subject】

奄美大島のビーチ。

海が荒れると、海中は濁る。
台風が近づいていると云う状況下で、この美しさはハンパない。
自分は昔ダイビング・インストラクターをやっていて色んな海に潜ってきたが、その中でも奄美地方の海の綺麗さは三本の指に入る。それくらいに美しい。

奄美のビーチ・その2。

ビーチには一家族しか居なかった。
贅沢です。

おまけ画像です。
お洒落にミラーに海を入れようとして失敗。

 
【追伸】
イラブチャーをアオブダイとしましたが、正確にはナンヨウブダイ。アオブダイはパリトキシンという猛毒があり、食用には向かないようだ。
両者は似てるし、ナンヨウブダイをアオブダイと表記する事もあるから、ややこしい。でも、これだけ混同されると、ヤバイじゃないの❓和歌山なんかにもいるそうだから、釣人は注意されたし。結構、死亡例も多いぞー。
あっ、本土の人はこんな派手派手の魚は食わないか?

『西へ西へ、南へ南へ』14 迷走男と迷走台風

蝶に魅せられた旅人アーカイブス

     ー捕虫網の円光ー
   『西へ西へ、南へ南へ』

   (第十番札所・迷走男と迷走台風)

2011年 9月17日

起きたら、意外と天気が良い。風もない。
まさか、台風が忽然と消えたりなんかしたりして…。
どっちでもいい。とにかくこの晴れ間を逃すわけにはいかない。

8時半に慌てて出て、らんかん山の登山口に行った。
入口横の民家に大きなリュウキュウエノキがある。 ここがアカボシゴマダラの発生地と睨んだ。ということは、♀が卵を産みにくるんじゃないかと予測したのだ。

【アカボシゴマダラ奄美大島亜種】

しかし、陽が射しても♀は現れない。
9時半まで待ったが、姿はない。
仕方なく上に様子を見に行った。

♂も翔んでいない。
だが、テリトリーを張る場所の松の枝に1頭が静かに止まっているのが見えた。アカボシの♂だ。
この蝶、何故か松が好きな変わり種だ。普通の蝶は、松にはあまり止まりたがらない。そもそも、針葉樹に止まる蝶は少ないのだ。
記憶にあるのは、杉や桧にわりと停まるギフチョウとヒサマツミドリシジミ。あとはハイマツに止まるタカネヒカゲ等の高山蝶くらいだろう。

【タカネヒカゲ】

網を近づけたら、めんどくさそうに他の枝に移った。もう一度近づけたら、再びめんどくさそうに梢の向こうに消えていった。
春と夏とではどうか分からないが、この蝶、やっぱり日中は不活発なんじゃないかと思う。昼間に翔んでいるのを未だ見たことがない。

10時過ぎ、どんどん晴れ間が拡がってきた。
昨日の天気予報では完全に雨だったから、この先まったく天候が読めないが、駄目元でチャレンジしようと思った。
一度、部屋に帰り、レンタルバイク屋に電話して借りる旨を伝えた。

昨日、酔っ払って買った半額ぶっかけウドンを急いでカッ込み、10時半にバイク屋へ。

最初はアカボシの個体数が一番多い蒲生崎に行く予定をしていたが、スミナガシ、イワカワシジミも狙える南東部の西仲間、三太郎峠に変更することにした。
出来れば行った所のない違う場所の方がいい。未知なる場所は新鮮だから楽しい。ようするに飽き性なのだ。

58号線は、海岸線みたいにアップダウンがないから楽だ。そのかわりにトンネルが多い。涼しくて良いのだが、3〜4㎞と長いトンネルばかりで、案外疲れる。それにトンネルって、ちよっと気持ち悪い。

西田、小湊、西仲間と回るが成果はあがらない。
せめてイカワカワシジミの幼虫でもとクチナシの木を見て回るが、実がほとんど無い。
よく見ると誰かが採集に入ったような形跡があり、所々枝先がカットされている。有望なクチナシの実を持って帰ったのだろう。これじゃイワカワシジミの幼虫は全く期待できない。

三太郎峠にも行った。
だが、嫌な予感が的中して、崖崩れで通行止めだった。

さらに南の湯湾岳まで行ってしまうことも考えたが、名瀬まで帰ってくるには遠すぎる。
それに一応、台風が向かって来ているのだ。いつ天候が豹変し、荒れ狂いだすとも限らない。南部は山ばっかで避難できる場所も少ないのだ。こないだみたいに雨風に晒され続けて走る苦難は避けたい。

思案の末、とっちゃん坊やの谷村さんがぼわっと教えてくれた微妙なポイントに行くことにした。
名瀬からは比較的に近いので、最悪の事態は免れるだろう。雨宿りできる場所もあるし、天候が急変したとしても被害は最小限に食い止められる筈だ。

午後3時。
勘で林道を上がって行った。
尾根近くまで上がってきたら、( ̄□ ̄;)❗
ここじゃないか?という環境に出た。
と同時に黒い影がよぎった。
スミナガシだ❗

伊達にスミナガシを採ってきていない。生息環境を読む力は、だいぶ上がっている。
更に上を見上げると、アカボシも翔んでいるではないか。
谷村さん、アカボシがいるなんて一言も言ってなかっぞー。(# ̄З ̄)あんにゃろー。

きっと、あんまり教えたくなかったんだろう。
だから、曖昧にしかポイントを教えなかったんだろうなあ…。
フンッ(=`ェ´=)、見つけられるわけないと思っていたようだが、ところがドッコイ、まあまあ天才をなめて貰っては困るのだよ( ̄^ ̄)V

周りをみると、吊り下げ型のフルーツ・トラップもあった。ここに間違いない。

スミナガシは枯れ枝の真ん中に止まっている。
アカボシもかなり高い所を滑空している。どちらも網が届きそうにない。

一応、トラップを幾つか掛けて廻り、そそくさとその場を後にした。もっと上に良い場所がある筈だ。

読み通り、少し開けた切通しでスミナガシたちが追っかけっこをしていた。
楽勝だヽ(^。^)ノ

だが、なかなか止まってくれない。
おまけに敏感だ。本州なら正面から被せればイージーなのだが、ここでは網を被せる前に気付いて翔んでいってしまう。
赤い網が悪いのかと思い、緑に付け替えるが、結果は同じ。
止まったら、素早く横振りでいくしかない。
何度か外した。蚊にいっぱい咬まれたし、(#`皿´)イライラしてくる。

いいかげん怒りに🔥火が入った。
翔ぶ軌道をあらかじめ予測すりゃいいんだろ、ボケがっ( ̄ヘ ̄メ)。空中で仕留めたるわい❗

んなろー、小癪なっ💥❗❗
気合いを入れたら、一発で決まった。
怒った方が採れるって、どゆこと❓でも、そっちの方が案外成績良かったりするんだよねー( ̄∇ ̄*)ゞ
結局のところ、原動力は喜怒哀楽の怒なのだ。

擦れ、欠け、ボロが3つ。綺麗なのが2つ。計5頭採れた。
だが、一昨日のよりも此処のはみんな小さい(註1)。本州の春型と同じくらいだ。
でも、一つかなり蒼いのが採れたから嬉しい。

アカボシも別なもっとイージーな場所を見つけて、駆け込みで2♂捕らえた。
やっぱり、3時から5時というのが♂の占有活動の時間帯のようだ。

山を降りて、道路沿いの回転寿司屋(註2)に行った。
どうしても、寿司が食いたくなったのだ。

だが、失敗。
こんなところで美味い寿司が食えるわけがない。行くなら、ちゃんとした寿司屋に行くべきだった。

(@_@)
飲酒運転で帰る。

結局、軽い夕立があったが、ほぼ晴れの一日だった。
台風どこ?

                   つづく

追伸
えー、今回は四番だっけ?五番札所だっけ?かに続き、アメブロでは抜けてた回でした。
色々理由はあるのだが、多分当時はやらされてた感があったのだろう。共同経営の店の為のブログだったのだ。

(註1)一昨日のより小さい…。
部屋に帰ってからようやく気づいたのだが、一昨日に採れたのは♀でした。

(註2)奄美大島の回転寿司屋
当時は、多分ここが島唯一の回転寿司屋だったのではないかと思う。地魚は全然無くて、ヤケクソのようにマグロばっか食ってやった。
でも、普通のマグロ。せめて近代マグロなら、まだマシだったんだけど…。単なる冷凍マグロでおました。

『西へ西へ、南へ南へ』13 停滞という名の失望

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-18 19:28:28

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

    (第九番札所・停滞という名の失望)
                                               
2011年9月16日

朝、一応船会社に電話する。
船は既に今日の便は欠航しているので、次の20日の便を予約する。

9時半にバイクを返しに行った。
そこから近いし、雨が降ってないので拝山に行ってみる。

だが、何もいない。
ナガサキアゲハの♀が寄ってきたので、一応それだけ採った。
白くて綺麗だが、やや擦れ。

ついでにハブ対策室に寄るも、おじーは休みで居なかった。職員に電話番号を教えてもらってかけたが、あまり大した情報は得られなかった。
昔は市街地でもアカボシをよく見たらしいが、今はすっかり姿を消したという話を聞いて暗くなる。

因みに捕まえたハブを売りに来た人がたまたまいた。
全部チビばかりで9頭。大きさに関係なく市が一匹4千円で買い取ってくれるらしい。しめて3万6千円かあ…。いいアルバイトだな。絶対にやらないけど。
それにしても、ハブの一杯いる檻は猛烈に臭かった。
スタッフにハブ酒にでもするんですか?と尋ねたところ、全部焼却するとのこと。何だかハブも憐れだ。

そのまま、らんかん山に向かって住宅街と山裾の間を舐めるようにして歩く。
アカボシの♀は山麓のリュウキュウエノキにいるんじゃないかと思ったからだが、おじーの言によると期待は出来ない。
まあ、どうせすることもないんだし、ダメ元だ。

途中、船会社から電話があった。
20日の便も欠航が決まったと云う連絡だった。今後どうゆうタイムテーブルになってゆくのか分からないが、本来の次の便は25日。いよいよ絶望的に帰れなくなってきた。

続けて電話が入った。
自称虫捕りのプロ・谷村さんからだった。
毎日、ラブコールが来る。いつ家に遊びに来るかというお誘いだ。面倒臭いが、スミナガシをくれると言うし、情報も欲しいから晩に会う事にした。

名瀬市街は、湾内のせいか静かだ。風もあまりない。
天気は曇り時々雨。市内なら雨が降っても、いつでも直ぐに雨宿りができるから気分は楽だ。

一度部屋に帰り、昼飯を食う。
昨日、酔っ払って買った半額冷やし中華である。
宿には共同の冷蔵庫があるから有り難い。ビールも採集した蝶も放りこめる。南国だと蝶が腐り易いので管理が大変だが、冷蔵庫があれば心配ない。

(-。-;)…。
蒸し暑い。
曇っていても関係ない。じっとしているだけでも汗が噴き出してくる。

2時過ぎに再び出た。
らんかん山に向かって歩く。
♀が駄目なら、せめて♂でもと思ったからだ。運が良ければ、蒲生崎みたいに♀も翔んでくるかもしれない。
しかしそれにしても、あれだけ♂がいるんだから♀だって同数いる筈なのにまるで見ないよなあ。
なぜか大概の蝶は、♂は採れても♀はあまり採れない。大方、天敵に襲われないようにじっとしてる事が多いんだろうとは思うのだが、何だか理不尽だ。
そう考えると、♂って皆なリスキーな生き方してるんだよなあ…。♀を探す為にテリトリーを張ったり、ウロウロしたりして目立つと云う事は、それだけ天敵に捕食されやすいって事でもある。
メスの為なら死を賭してでも頑張っちゃうのが、オスと云う生き物なのだ。

3時過ぎからアカボシのテリトリー行動が始まった。
晴れている時みたいに活発ではないが、雨さえ降らなければ活動するようだ。
ただ、あまり止まらないし、この間より飛ぶのが速い気がする。それに位置が高いし、敏感だ。
1頭めは昨日リリースしてやったボロだった。その後、ことごとく逃げられ、やっと新鮮なのを計2つだけ採った。状況によっては、案外採れない蝶なのかもしれない。

アマミカラスの♀も2つ採ったが、2つ共ギリギリ展翅に耐えられる擦れとキレ。

この悪い状況下で両方完品の♀を採れば、やっぱり俺ってまあまあ天才、かなりカッコイイと思ったんだけどなあ…。

いっぱい蚊に喰われて5時に撤退。
帰りぎわ、イワカワシジミがいそうな山梔子(クチナシ)を見つけた。成虫は確認できなかったが、実に穴が空いていた。中に幼虫や蛹がいる可能性があると云うことだ。
しかし、民家なんでスルーした。怪しい人に間違われたら、事だ。

7時に谷村さんが迎えに来る予定だが、連絡がない。
気が進まないし、まあいいんだけどさ…。
でも、何となく腹が立つ。連絡すると言って連絡してこない奴はクズだと思う。

一応、何かあったのかもしれないので電話してみる。
コール音がわりにサザン・オールスターズのファンキーな曲が大音量で延々と鳴っている。しかも音質が最悪。音が絶望的に割れていて、何の曲だか分からない。
唖然…( ; ゜Д゜)
おっさん、サザンが好きなのか…。
サザンが悪いわけではない。だけど何かおっさんとの組み合わせがどうにもイタ過ぎるぞ。

8時にやっと電話があった。
24時間スーパーまで迎えに来ると言う。

助手席は信じられないくらいにゴミだらけだった。
変な臭いもする。
やっぱ、この人イタい。

促されるままに助手席に座る。
捲し立てるように話しかけてくるが、この厚縁眼鏡の小太りオヤジ、滑舌が悪くてそのほとんどが聞き取れない。
やがて、とっちゃん坊やはニコニコしながら『あげるよ。』と言って、額を差し出した。

Σ( ̄ロ ̄lll)❗❗
戦慄が走る。
そこには、古ぼけたツマベニチョウとスミナガシの標本が並んでいた。それは、いつの時代のものなのかというくらいに色褪せており、ガラスの下でひしゃげたように磔りついている。標本と云うよりも、まるで蝶のミイラだ。何だか磔(はりつけ)獄門の刑みたいで、おぞましささえ漂っている。
それに、何だか手に突起物が当たったので裏返してみると、思いっきり針が裏まで貫通していた。よく見ると、その針は蝶を突き刺すにはあまりにも太い。昆虫標本用の針ではないだろう。多分、裁縫用の長い針とかだ。こんなもの、自慢気にプレゼントするかね❓
やっぱこの人、ウルトラ級にイタい。

展翅もお世辞にも巧いとは言えない。
ハッキリ言ってド下手だ。触角が不細工に左右あさっての方向に向いている。
あんた、プロじゃなかったの❓
やっぱこの人、全てにおいてイタいかも…。
頭の中にゴルゴタの丘、五寸釘、藁人形という言葉が浮かぶ。
丁重に御辞退申し上げ、お返しした。怨念の詰まったようなもんなんぞ、受け取れん。

スミナガシのポイントも訊いたが、地元民なのにもう一つ要領を得ない。しどろもどろだ。
このまま家に連れて行かれるのは、どうもなあ…。
ある意味残念な地獄絵図が待ってる事は間違いないだろうし、家は此処から案外遠い。かなり奥まった所だから、歩いて帰るには距離がある。結果、泊まっていけだなどと言われた日にゃ、大変なことになると思ったので、上手く話を切り上げて車から辞去した。
谷村さんは、ちよっとションボリしていた。きっと、さみしがり屋なのだ。
けど、同情は禁物だ。あのゴミだらけの助手席を見たら、家の中は言わずもがなだろう。多分、ゴミ屋敷だ。

その足で脇田丸へ。
今日もアバス(ハリセンボンの唐揚げ)から始める。これで5日連続だ。今や完全なる儀式と化している。

今日の珍しいオーダーは以下の通り。
相変わらず食い気が勝ってしまい、画像を撮り忘れてしまい、今回もあんま無いです。

ズーズルビキ(スズメダイ)の煮付け(490円)
意外だが、結構美味い。板前さん曰く、身が薄いけど、ツノダシもおんなじ味らしい。
因みにツノダシはこんな魚です。

(出展『魚類図鑑・ツノダシ』)

こんなエンジェルさんを奄美大島では食べるのね。
まあ、そんなのはコチラの勝手な概念だけどさ。

【しぶり(冬瓜)と鶏肉の煮物(390円)】

冬瓜がホッとする味だ。
それにしても、沖縄ならともかく奄美大島にもワケのワカンナイ方言がたくさんあるんだね。言葉だけだと、何のコッチャなのか想像がつかないものだらけだ。何で冬瓜が「しぶり」なのか語源が全くもってワカランよ。

すっかり仲良くなった板さんが、こっそりキビナゴの塩漬け(塩辛)を持って来てくれた。

癖があるので、評価の分かれるところだが、焼酎にはピッタリだ。

酔いが回ってくる。
段々、刺身のツマの大葉(青ジソ)が、アカボシの食樹リュウキュウエノキ(クワノハエノキ)に見えてきた。

♀が木に卵を産みにくるかもと、そればっか探していたから、つい反応してしまった。確かによく似てるんだよねぇ。

【リュウキュウエノキ】

今日のお代は、1670円でした。
相変わらず、クソみたいに安い。

ふらふらと宿に向かって歩く。
街は、夜と雨の匂いに満ちていた。

                 つづく

追伸
サラッと手直して記事をアップできるかと思ったが、結局のところ大幅訂正加筆になった。次の回は、前のアメブロではゴッソリ1回分が丸々抜けてるから、昔の携帯を探してきて1から書き移さなければならない。
( ´△`)うんざりだよね。

春の献立の事を書きたいのだが、アフリエイトがまだ出来ないので書く気が起こんない。っていうか、サボり過ぎ。ダメ男だよなあ…。

『西へ西へ、南へ南へ』11 ブルーの肖像

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブスー
2012-08-15 19:33:53

      ー捕虫網の円光ー
   『西へ西へ、南へ南へ』第11話

  (第八番札所その2・ブルーの肖像)

ブルーの残像が脳裡に残っている。
自分の不甲斐なさにベソを掻きそうだ。
辛い…。大失恋をした時のような気分だ。
心をどう持ってゆけばいいのかさえわからない。
敗色濃厚。溜め息が何度も洩れる。

正午になった。
空を見ると、帰るべきだと思った。

だが、男は見た蝶を採れないと云うのが許せない。
見ても物理的に採れないノーチャンスの場合は別として、可能性がある場合は何があってもターゲットは落とす。それが男の矜持だ。
今まで、その日のうちにリベンジできなかったのは、キリシマミドリシジミくらいだろう。
現在、ベニモンカラスシジミも3連敗中だが、一度も見たこともないから採れるわけがない。だから、そう悔しくもない。
だが今は、既に何度もチャンスを逃している。
このままおめおめと帰るわけにはいかない。それは、敗北を認めると云うことだ。心が折れた儘で大阪に帰るのは御免だ。

1時40分までリミットを延ばした。
これがアカボシがテリトリーを張る時間に間に合うギリギリの時間だ。修行僧を続けよう。

マジで両手を合わせて、神と仏に祈った。
声に出して、『神様、仏様、お願いですから、もう一度わたくしにチャンスをお与え下さい。』と手を組んで頼んだ。他人から見たら漫画のような光景だが、本人はいたって真剣だ。

1時13分。
緑の間から待望の黒い蔭が現れた。
周囲を弧を描くように滑空している。
だが、様子が今までの奴とは少し違う。飛行時間が長いし、低い。男のすぐ傍らをスーッと通過して行った。違う個体かもしれない。
それが二度繰り返されたから、よっぽど空中で勝負をつけてやろうかとも思った。だが、長竿では素早く振る自信が無かった。
らしくない。きっと慎重になり過ぎているのだ。心が縮こまっている証拠だ。

なかなか止まらない。
止まってくれ、お願いだから止まってくれ。祈りにも似た気持ちで黒い影を目で追う。

止まった❗
あ~(´Д`)
だが、あの幹の樹液ではなく、頭上5mくらいの枝の間に止まった。

(・。・;ほよ❓、何してるだすか❓
見たこともない行動に戸惑う。
そのうち枝を歩き回り始めた。そして、暫くして止まった。
どうやらそこからも樹液が出ているようだ。
でも、あの位置では枝が邪魔になって、かなり難易度が高い。
真下にしゃがみこみ、どうしたもんかなと思案する。
このまま状況が変わるのを待つか、駄目元で勝負をかけにゆくかのどちらかだ。

悩んだ…。
頭の中が破裂しそうだ。
だが、愚図愚図悩んでいる場合ではない。台風が近づいている。天候が急変するのは時間の問題だ。
意を決して勝負にいくことにした。
このまま何もしないうちにプイッと突然消えられたら、激しい後悔で夜も眠れないだろう。
見逃し三振って、ヘタレで最低だ。駄目元でチャレンジして失敗した方がまだ魂は救われる。

何かまるで恋愛を語ってる人みたいである。
中年男の恋の独白みたいで、普通なら笑うところだがそんな余裕はない。

そろりそろりと長竿B・Jを上に伸ばす。
ヤケクソで枝ごと行ったれと思った。

( ̄□||||うわちゃ❗
1mくらい網を近づけたところで、ふわりと逃げた。
(*ToT)止まれ、止まれ、止まってくれ━━。
悲痛に願う。焦燥と緊張で気が変になりそうだ。

(;A´▽`A ふうーい。
よし、何とか3mくらい向こうの枝先に止まってくれた。手前の枝が邪魔だが、さっきよりかはマシだ。これなら採れないこともない。

(;゜∇゜)あちゃー。
またネットを慎重に近づけるが、同じようにふわりと翔んだ。マジですか?

ほっ( ̄▽ ̄)=3
さらに2m程先へと移動して止まった。
今度は邪魔するものはない。存分に網が振れる。
高さは5~6m。テリトリーを張る時と同じように枝先に止まってくれた。葉先から2本の触角が突き出ているのがわかる。
これを逃したら、その場で切腹したくなるだろう。蝶採りなんて即刻やめてやる(=`ェ´=)❗

最初はテリを張っている時のように正面から被せようかと思ったが、状況が違うと思い直した。ここのスミナガシはそんなアホではない。敏感だ。横から払おう。

高さを慎重に合わせる。
息を止め、万感の想いを込めて渾身のスイングを繰り出す。
トゥリャ━━━(*`Д´)ノ❗❗❗
💥横殴りになぎ倒し、マトリックス的にそのまま背後に向かってネットを流す。
手を離し、そのまま体を捻り反転する。
スローモーションのように網が真っ直ぐに落ちてゆく。
手応えはあった。
下は平らなアスファルト。横から逃げられる心配はない。

男は、ゆっくりと近づいていった。

終わった…。
渋いブルーが中で暴れている。
男の体が一挙に弛緩した。と同時にその場にヘタり込みそうになる。

やっぱり、本州のものより明るくて蒼い。
右端の上あたりが擦れているが、この際関係ない。
粋(いき)で美しい。

敗北をすんでのところで免れた安堵と勝利の陶酔感がジワジワと背中を這い登ってきた。
タイミングを図ったかのように強めの雨が降り出した。
男は慌てて役に立たなかったトラップを回収して、バイクのエンジンをかけた。

見上げると、風雲急を告げるように黒い雲が物凄いスピードでこちらに近付いて来ていた。

                   つづく

【追伸】
ラッキーな事に、後日この個体は♀と判明した。
この蝶、♂はそれなりに採れるのだが、♀は滅多に採れないのだ。

【再録にあたっての追伸の追伸】
あれから♀は、石垣島で1頭、沖縄本島で1頭、台湾で数頭採っただけだ。
本州では、その後現在(2017年4月)に至るまでいまだに一度も採った事が無い。あれだけ♂がいる生駒山系でさえも、♀はほとんど見たことがないのだ。スミナガシの♀って、謎だよなあ…。
今年は枚岡でトラップでもかけてやろうかしら。

『西へ西へ南へ南へ』10 蒼の洗礼

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-14 20:18:17

     ー捕虫網の円光ー
    『西へ西へ、南へ南へ』

     第八番札所 蒼の洗礼
 

2011年9月15日

朝6時前に起き、支度を始める。
天気予報では晴れのち雨。
降水確率は午前と午後、それぞれ40%と90%だ。
台風が近づいている。時間との競争だ。

24時間スーパーに行って、濡れるのは必至とみてポイントマップをcopyした。原本をcopyさせて貰ったのをそのまま持ってきたから損傷を避けたかったのだ。

昨日、酔っぱらって買ってしまった(半額だった)奄美名物・鶏飯(けいはん)をレンジで温める。これが昼兼用の朝食だ。

この先どうなるか分からない。生死を分かつトラブルに会わないとも限らない。取り敢えず何か腹に入れておいた方が良いだろう。
それにしても、久し振りに食うがやっぱり鶏飯は旨い❗

一応、カッパも探してみたがスーパーには無かった。
まあいい。どうせ今日は最初から濡れる覚悟なのだ。たとえ有ったとして、台風ならば役に立つかどうかも疑問だ。

目指すは、昨日スミナガシ(註1)がいた樹だ。
実物を見てしまうと、プライオリティーが変わった。
アマミカラスの♀もアカボシの♀もかなり魅力的だが、元々男は大の墨流し好きなのだ。

【Dichorragia nesimachus スミナガシ】(2014.5.11 大阪府東大阪市額田尾根)

すっかり忘れていたが、蝶採りを始めてまだ二年目の春だった。
大和葛城山で会った居酒屋を経営する酔っ払い爺々の家に招待された事がある。
その時見せて貰った標本箱に収まっていた奄美大島産の蒼いスミナガシが、男の胸に燦然と甦ってきた。

ジジイは、自慢気に『奄美大島のスミナガシは特別に蒼くて、珍品だよ。簡単には採集できない!』と言ってたなあ。

多分、朝早くから樹液に来ている筈だと読んだ。
進んで地獄へ向かうのだ。期待を込めてそう思わないとやってらんない。
上手く片が付けば、早めに山を降りて、そのあとアカボシ、アマカラの♀を狙えば良い。

用意にとまどい、やっと出れたのは7時。
先ずはガソリンを入れに行く。
悪天候が予想される中、ほとんど誰も通らない林道でガス欠でスタックでもしたら危険過ぎる。

天気は意に反して既に雨雲の勢力が領空を制圧しようとしている。
飛ばして一時間で着けば御の字だ。
帰りの事を考えれば顔が引きつるが、自分で決めたことだ、怯むわけにはいかない。

1時間10分でポイントに着いた。
横目で樹を確認した。

いる❗
読み通りだ。
いきなりのクライマックスだ。
アドレナリンが全身に駆け巡る。
サッサと片付けてやる❗

バイクを停め、早る気持ちを抑えてネットを組み立てる。
息を詰め、忍び足で近づく。

樹の下まで来た。
さあ、とっとと終わらせるぞと思ったが、白網の中に小枝が入っているのがつい気になった。蝶が枝にぶつかって羽が損傷したら元も子もない。

えっ(;゜∀゜)❓
だが、枝を取り除いて見上げたら、スミナガシの姿はもうそこにはなかった。忽然と消えていたのだ。目を外して数秒と経ってない。

あうぅ…( ̄0 ̄;
殺気が出てたのか…。
昨日に引き続き網さえ振ってない。

小雨が降り始めた…。
気を取り直して、樹の周辺に果物トラップを仕掛ける。戻ってきてくれることを祈ろう。

その後、降ったり止んだり、時々晴れ間が覗いたりの繰り返しが続く。
だが、彼女は姿を見せない。焦燥と退屈で身が引き裂かれそうだ。

9時半、ようやく翔んできた。
かなり警戒している様子だ。
周囲を気にしながらも樹液に止まった。

一回、静かに深呼吸した。
暇だったから、頭の中で作戦はシュミレーション済みだ。網を下から近づけて、翔んだ瞬間に反射神経で空中でシバいてやろうと思った。

そっと網を寄せる。
白網はもしかしたら警戒されるのではと思い、わざわざ赤に付け替え済みだ。

だが、際まで持っていったのに逃げない。
( ̄▽ ̄;)焦る。
仕方なく触れてみた。

ビュン❗
その瞬間に⚡電光石火、軌道も予想と違う無茶苦茶で翔び去った。

(-o-;)……痛恨だ。
自分を慰める術(すべ)さえない。

雲の流れる速度がドンドン速くなってきている。
リミットは、12時と決めた。
それを過ぎると、たぶん嵐に巻き込まれる。

この場所は他の蝶を採りながら待つというわけにはいかないポイントである。
アマミカラスアゲハは沢山翔んでいるが、高いし速い。採集難度が高いし、こちゃこちゃ網を振り回して、スミナガシが寄り付かなくなるのもこわい。
仕方なく、時間潰しに樹を横目で見ながら同時進行的に文章を走り書きで思いつくままにザアーっと書いてゆく。あとで推敲すればよい。

11時40分。
永かった…。
一日千秋の想いで待った甲斐があった。
2時間待ちだ。普通の生活でなら、とっくにキレてる。

また深呼吸する。
まあまあ天才なんだから、もうミステイクは許されないだろう。

今度は横からバチコーンと強く幹を叩くように被せて、驚いた反動でネットの底に入れてやろうと決めていた。
ジリジリと近づいてゆく。網を振るまでのこの瞬間は、他では味わえない堪んない緊張感だ。
今度こそ大丈夫だと自分に言い聞かせる。

照準を合わせて、思い切りよく💥バチコーンいったった❗

黒い影が一瞬網に入ったようだが、確認できない。
素早く道路に網を叩き下ろした。

慌てて近寄り中身を確認する。
あれ!? あれ!? あれ!?
居ない( ̄0 ̄;❗
嘘やん!?( ̄▽ ̄;)……。

網の口径より樹の幹の方が細いので、すんでのところで脇から逃げたのだ。

小次郎、破れたり。
原生林の中に男の哄笑が谺した。
精神の限界を超えると、笑い出すってホントだ。

                  つづく

追伸
(註1)スミナガシ
タテハチョウ科に属し、その分布は東南アジアから東アジアまでと広く、多くの亜種に分かれる。
日本では、北は東北地方から南は八重山諸島(石垣島・西表島)にまで産し、屋久島以北の本土産亜種(n.nesiotes)、沖縄本島・奄美大島亜種(n.okinawensis)、八重山亜種(n.ishigakianus)の3亜種に分けられいるが、何れの地方でも一般的に個体数は少ないとされる。
飛翔は敏速。樹液等に集まる。♂は午後2時から夕暮れにかけて山頂などで占有活動(縄張り争い)を行う。
幼虫の食樹はアワブキ、イヌビワなどのアワブキ科。
和名スミナガシの由来は、むかし、宮中で行われていた遊びの一つ”墨流し”(流水に墨を流して、その変化を見て楽しむ)からだろう。

墨流しってネーミングした人はセンスがあると思う。
だいたい学者がつける名前ってもんは、まんまで何の捻りも無くつまんないモノが多いんだよね。
アタマ、硬いんだよね。何でも遊び心が必要です。

 京都・原谷苑の枝垂れ桜

4月10日に京都の原谷苑に行ってきた。
ここは知る人ぞ知る枝垂(しだ)れ桜の名所である。
京都にそこそこ詳しい自分も最近まで知らなかったくらいだから、まだまだ穴場の部類に入るだろう。

阪急京都線・西院駅で降りる。
何だか懐かしい。高校生の頃にバイクの中型免許を取る為にわざわざ此処にある教習所に通っていたのだ。
下手したら、降りるのはそれ以来かもしれない…。

確かデルタ教習所って名前だったんだよね。何で大阪からわざわざ京都くんだりまで通っていたのかというと、合格率が高かったのである。だから、デルタの卒業生は運転が荒いと言われたものだ。実際、周りの教習生は暴走族の予備軍みたいな奴ばっかだったなあ…。結構、メンチの切り合いとかあったわ。

駅前にあるバス乗場に行く。
ひっきりなしにやって来るバスはどれも人で一杯である。外国人も多い。京都は外国人の観光客が確実に増えているんだなあと改めて実感する。
金閣寺方面ゆきのバスに乗り、わら天神前で下車。
そこから少し歩いてわら天神まで行き、さらに無料の送迎シャトルバスに乗り換える。

バスは急勾配の坂を上がってゆく。
結構、山ん中にあるんだね。

10分程で、ようやく原谷苑に辿り着く。
因みに辿り着く方法は、徒歩を除けばこのシャトルバスとタクシーだけだ。タクシーもチャーター車(貸切車)は不可で、賃走タクシーのみ。マイカーは完全禁止である。観光バスやマイクロバスも不可。
何でなのかというと、駐車場も無いし、一帯は狭い道ばかりなので渋滞になるとにっちもさっちもいかなくなるからだそうだ。それに過去に路駐の横行があって、近隣住民から苦情が出たらしい。

入口で料金を払う。
値段は今日は1200円。正直、お寺の拝観料の500円と比べれば随分と高い。でも、もっと高いときには1500円もするのである。驚きの値段変動制なのである。解りやすくいうと、満開の時は高くて、その前と散りそめの時は安くなるようだ。
まあ、送迎も付いていてこの値段なら納得ではある。タクシーだと片道三千円はかかるだろうからね。

園内は枝垂れ桜だらけだ。ソメイヨシノは1本も無い。
だが、残念ながらまだ開花していないものが多い。
だから、1200円なんだね。
考えてみたら、今はソメイヨシノが満開の時期である。此処に来る前にも、いたるところで艶やかな花を咲かせていた。という事は、それより少し遅れて咲くシダレザクラにはまだ早い。そんな当たり前の事も、女の子とデートをしなくなると忘れてゆくんだね。

それでも何本かの枝垂れ桜は満開になっていた。

しかし、ここの良いところは、桜がダメでも他の花がたくさん咲いている事だ。
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2017 春の女神に会いにゆく

火曜日(4月4日)に春の女神ギフチョウに会いに行ってきた。

蝶好きにとってはギフチョウは特別な存在である。
年に一度早春に現れ、待ちに待ったシーズンの到来を告げる美しい蝶だからだ。
だから、蝶好きたちは今年はいつ姿を見せるのかとヤキモキするし、どこで開幕戦を迎えようかと思いを巡らせたりもするのだ。
そうなのだ、ギフチョウに会いにゆくということは、謂わばプロ野球の開幕戦みたいなもので、ワクワクが止まらない特別な一戦なのである。

実を言うと、ギフチョウに会うのは新潟県の弥彦以来(註1)だから、二年振りになる。
去年のこの時期はタイとラオスにいたのだ。それだけに久し振りの再会を前に心は沸き立っている。

とここまで書いて、本文に入ろうと思ったのだが、何だかまた長くなりそうだし、面倒臭くなってきた。
それに色々と釈然としない事もあったから、いつもみたいな書き方だと激しく毒づきそうだ。
なのでサラッと書くことにします。

今日は単独ではなくて、珍しく三人組である。
メンバーは最近蝶採りを始めた植村くんとギフマニアの小太郎くんの若者二人だ。

関西から福井方面に向かって、ひた走る。
だが色々あって、9時に着く予定が10時半に南越前町のとある山の麓に着いた。
え~い(ノ-_-)ノ~┻━┻、面倒くせぇ。インターネットでは暗黙のルールらしいから場所を隠そうかとも思ったが、福井県と言えば誰だって知っているポイントだ。今さら勿体ぶってどないすんねん。杣山型で有名な杣山じゃよ、そまやま。

中腹の駐車場に向かって登ってゆくと、青い網が並んでいるのが見えた。既に各々が陣取る場所でギフチョウを待ち構えているのだ。
結構いる。それでも今日は少ない方だろう。初めて来た時は50~60は人が入っていた。
ここ杣山は、杣山型と言われる特異な柄をしたギフチョウが極く稀に出現する事から、全国のギフマニアが集結する場所なのである。
自分は変異に拘る人ではないから、それほど興味は無いが、ギフマニアはこの変異に対する拘りが驚くほど強い。変異だけにとどまらず、全国のギフチョウを都道府県ごと、また産地ごとに集めている人だっているのである。ギフマニア、恐るべし。

車の窓を開けて、挨拶がてらに状況を訊いてゆく。
(◎-◎;)ありゃま。
天気は快晴。気温も上がってきているのに、まだ誰も採れていないらしい。例年に比べて発生が相当遅れているようだ。

嫌な予感がした。この時間になっても1頭も見掛けないということは、ここに居てもそう成果は上がらないだろう。そう読んだ。
二人に別な場所に転戦する事を提案する。判断が遅いと果実は手に入らない。だから、トロい奴が嫌いだ。
そもそもが植村くんに沢山ギフチョウを採ってもらうのが今回の目的の第一義なのだ。特に杣山型に強く拘っているワケではない。それに、杣山でしか杣山型が採れないワケでもなかろう。少ないながらも周辺でも杣山型は採集されていると聞いた事がある。採れる奴は、何処へ行っても採れる。採れない奴は何度杣山に足を運ぼうが採れない。そういうものだ。

休憩がてらに駐車場に車を停める。
降りると、すぐに小太郎くんが飛んでいるギフチョウを見つけた。流石、ギフ好き。気合いが違う。
しかし、女神は木立の中へと消えていった。
気合いが入り過ぎた❓
気合いが入り過ぎると、蝶は殺気を感じて逃げるのだ。蝶も生きる為に必死なのだ。

小太郎くんが言う。
『下のお堂まで様子を見てきてもいいですか?それで居なかったら移動しても構いません。』

どうぞ、どうぞである。姿を見たら、そうもなる。
スイッチの入った小太郎くんの後ろについて皆で尾根を降りてゆく。
だが、傾斜がものスゴくキツい。ここに来るのは6、7年振りだからすっかり忘れていたが、そういえばそうだったわ。

『やめとくわー。』
根性なしはソッコーで降りるのを諦めて、駐車場に戻ることにした。でも、戻ろうと思ったのは根性なしだからだけではない。本能的に下よか上の方がいると感じたのだ。

駐車場横のギフチョウが飛んできそうな場所に入った途端に木立の中を飛んでいるのを発見。
瞬時にアドレナリンが全身を駆け巡る。この感じ、堪んねえ。眠っていた狩猟本能が呼び覚まされる。最近の男の子は小さい時から虫捕りもさせて貰えないから、植物系男子などと呼ばれるのだろう。かわいそう、かわいそう教育なんぞ糞喰らえだ。

んな事は今はどうでもよろし。ι(`ロ´)ノやったるでぇ~。闘争心ギンギンで小走りに追いかける。
だが、前の灌木がブラインドになった。ヤバい。足を速める。
こりゃ見失うパターンだなと思った瞬間、いきなり横から飛び出てきてコチラに向かって飛んできた。
不意を突かれて一瞬あたふたする。

だが体が勝手に動き、反射的に左から右へ払う。
2mくらい先で捌いたから、捕らえたかハズしたかは自分でも半信半疑だ。

網の中を覗く。
(^o^)おっ、いたわ。
俺、やっぱまあまあ天才やわー(笑)

(_)ありゃりゃ、メチャンコちっけー。
福井のギフチョウは小さいとは知ってはいたが、こんなに小さかったっけ❓
そのせいか、いつもなら年度最初の1頭は指が震えたりするのだが、全然そんなことは無かった。

それでも、(* ̄◇)=3ホッとする。
これで少なくともヌル(ドイツ語=採集ゼロ)は無くなった。福井くんだりまでやって来て、全く成果なしで帰るのは悲惨である。
蝶採りに来て、目的の蝶が得られないとマジ落ち込む。それはちよっとした💔失恋くらいの落ち込みようなのだ。
そう、大袈裟ではなく蝶を追い求めるのは恋と同じだ。少なくとも自分にとってはそういうところがある。だから、やめられない。

二人が戻ってきた。
成果なし。
一応、歳上の面目が保たれて胸を撫で下ろす。
蝶採りは勝ち負けじゃないとは思いつつ、やっぱりバカにされるのはイヤだ。裏で下手クソ呼ばわりされるのには耐えられない。無駄にプライドが高いのも困りものだ。

発生が此処より早そうで、しかも数も多そうな越前市の池ポイントへと移動する。
ここは初めて行くポイントだが、数が多いという事は前から聞いていた。だから、一度行ってみたかった場所ではある。

着いて、歩き始めたら上から車が降りてきた。
大木さんだった。7つ採れたと言う。
OK。ここの方がいそうだ。

一時間後に集合と決めて、三人それぞれに散り散りとなる。
初めて来る場所だから何処が良いポイントだか知らない。だから、腕の見せどころでもあるし、宝探しみたい気分で燃える。
けれど、同時に読みを間違えれば能力の無さを露呈してしまうという恐さもあるんだよねえ。
こういう時は、負けず嫌いとか恥を掻きたくないとかという自分の性格を呪うね。周りなんか気にせずマイペースでやればいいのに…。我ながらバカだと思うよ。

杉林を詰めかけて、すぐに踵を返す。
何となく違うと感じたからだ。この勘みたいなのを、いつも大事にしている。勘が悪いと蝶は採れない。

しかし、違う道を奥に向かって歩くも、環境は全然良くない。どうもギフチョウが好む場所とは思えない。
目的の蝶が好む場所を読み取れなければ、出会うことさえ出来ないのが蝶採りである。知識、経験、勘、体力、視力、根性、運動神経、道具やトラップなどの工夫etc…、蝶採りにはあらゆるものが必要とされるのだ。アホでは蝶は採れないんである。

既に時計の針は15分を経過している。
💦焦るで、焦るでぇー。

ようやく良い環境らしき所に出た。
と思ったら、背後から飛んできてスミレの花に止まった。吸蜜にやって来たのである。
難なくゲット。

道はここから上にのぼってゆく。
そのまま進むのは集合時間を考えると、賭けだ。
登りは時間を取られるし、奥に行けば行くほど帰る時間も要する。タイムオーバーになりかねない。自分で1時間後と言っといて、遅刻は許されないだろう。

息を吐き、一旦冷静になって周りを見回してみる。
背後の暗い杉林の奥に簡単に取りつけそうな低い尾根を見つけた。ギフチョウは尾根に集まる習性がある。抜群の環境とまでは言えないが、試してみる価値はありそうだ。

道無き斜面を登って尾根に到達すると、1つ飛んでいた。
これも難なくゲット。さらに尾根を進んでゆく。
だが、すぐに小枝だらけのブッシュになり、前を阻まれた。
左手の谷を見下ろすと、暗い杉林が切れて雑木林になっている。良さげな環境だ。

斜面をズリ降りると、舞う女神の姿が見えた。
盛んに地面を飛び回っている。遠目に見て、どうやらカタクリの花に訪れているようだ。

ここまで書いて、全然サラッとやないやんかと思う。
でも、今さら書いた文章を削除も出来ない。続けよう。

ここで2頭立て続けにゲット。
さらに良い場所を求めて谷を詰める。

1頭追加するも、再び暗い杉林が立ちはだかった。
引き返してカタクリの花が咲くポイントに陣取ることに決めた。ここが一番採れると判断したのだ。

思った通りに次々と飛んで来る。
青い網にも寄ってくる。
6つ追加して計10頭になった。実質30分間で10ならば、まあまあじゃろ。

集合場所に戻る。
各々それなりに採れたようだ。ホッとする。何人かで行く場合は全員が採れないと雰囲気が悪くなるもんね。

車に戻りしなに1頭追加。
やけに赤っぽい黄色だと思ったら、♀だった。
この辺の♀って、こんなに赤っぽかったっけ❓

同じ越前市の神社裏にある有名ポイントへと移動。

ここも有名産地である。
取り敢えず一番近い楽勝ポイントに案内する。
着いたと同時に2頭が飛び、立て続けにバラバラと前後左右から飛んで来る。ギフチョウ交差点だね。
10分程でそれぞれ3頭、計9頭が採れた。

ここで植村くんが、『ニホンセセリモドキがおる❗』と叫んだ。さっきの場所にもいたそうだ。植村くんは蛾屋から蝶屋に転身したという珍しいタイプなのだ。
そういえば蝶屋であり、蛾屋でもある尊敬するMさんが、昔、このニホンセセリモドキを探し回っていると言ってた事があったなあ…。
全くもって蛾には興味が無いが、珍品らしいし、ニホンと名の付くものなんだから、きっと日本だけの固有種だろう。だから一応、どんなもんなのかを見ておきたいと思った。百聞は一見に如かず。

どれ❓どれ❓どれよー❗❓
植村くんの指差す所を見ると、日向ぼっこしているのか地面に止まっている。
えっ⁉、こんなにこんまい奴なの❓
それにミヤマセセリに擬態していると聞いていたが、全然ぽくない。ただの小さい地味な蛾じゃん。

(出典『一寸の虫にも五分の魂』)

因みに飛んでる姿は小さくて速いから、まるで蝿みたいだ。
最初は間違えてコツバメを採っちまう。

上がニホンセセリモドキで、下がコツバメ。
一応、画像を拡大しときますね。

(_)ぶっさあ~。
どうしようもなく、地味で変なカタチー。

充分納得したので、右側奥のポイントへと移動する事にした。
だが、以前とは環境が随分と変わっている事に驚く。
下草がほとんど無いのだ。4年程前に来た時は笹がいたるところに生えていて、カタクリの花も沢山あったのに…。
多分、鹿の食害のせいだろう。全国的に鹿が爆発的に増えているが、政府や自治体はちゃんと対策しているのかね❓
植物が無くなると、それを食う虫は当然減る。ということは、その虫を食う鳥や動物も減るのは自明の理だ。で、結局何もいなくなるのだ。日本の豊かな生態系もそのうち滅ぶで。
でも、それを知ってる人って案外少ないんだよね。
寧ろ虫なんてこの世からいなくなってしまえばいいのにと思ってる人が大半なんだろなあ…。

ギフチョウを採る気も起こらなくなって、セセリモドキの居た場所に戻る。

ワシらのあとに別なオッサンが陣取っていた。
聞けば、一つもギフチョウが飛んで来ないそうである。
同じ場所なのに採れない人は採れない。虫捕りには運も必要なのだ。

オッサンは仕方なくセセリモドキを採り始めた。
ドン臭いオジサマで、せっかく網を被せたのにことごとく網の横から逃げられていた。
見かねて毒瓶をお貸しする。というかワシが取り込んであげました。

でも、見ると自分の採ったのとは何か違う。
あっ、コレってもしかして♀じゃね❓
自分の奴(♂)よりも大きくて、下の黄色い紋が鮮やかだ。こっちの方が遥かにミヤマセセリっぽいし、ちよっと可愛いかも。

完全にギフチョウそっちのけで♀を探し始める。
だが、♂ばっかだ。(`Δ´)フガー。
しかも、戻ってきた小太郎くんが♀を採りよった。
まあ所詮は蛾だから、そんなに悔しくはないんだけど、クソ♂だけなら展翅する気も起こらんやんけ。

でも、見つからん。
そのうち♂さえ全然見なくなった。
所在なくなってきたし、時間はもう午後3時だ。
植村くんに電話して、帰ろうぜと言う。
集合場所で待っていると、下から三人組のオジサマチームが上がってきた。
挨拶すると、何と山口さんだった。
久し振りだ。二年半前の名古屋でのムシャクロツシジミ以来である。気合いの入った蝶採りは、東京からこんな所にまで遠征してくるのである。
このオジサマ、結構ヒドいところがあってイタズラ好きだ。それがどこか茶目っ気がある。だから、面白くて好きだ。こんな生意気な目下にツッこましてくれるしね。

みんなで立ち話をしていると、お連れのオジサマが飛んでいるニホンセセリモドキを見つけてくれた。

難なくゲット。人が見ていると滅多に振り逃さない。人前で外したらカッコ悪いと思うので、集中力が高まるんだろう。
どんだけ自意識が強くて、自己顕示欲が高いねん(笑)

帰りに蕎麦を食いに行く。
福井といえば蕎麦である。せっかく来たんだから、食べない手はない。

今庄の蕎麦屋に入る。
この辺の蕎麦は今庄そばと呼ばれ、ソバの名産地なのだ。

『ふる里』。
田舎そのものの店名だなと思いつつ、中に入る。

何だかよくワカランが、ミニ提灯だらけだ。
で、なぜか遺影みたいな写真が掲げられている。
最初は在りし日の店のオヤジさんかと思った。でも、よく見ると随分と前に亡くなった「宇野重吉」だ。昔、お店に来たのだろう。
えーと、どんな人かと言えば、名優と謳われた役者さんで、「ルビーの指輪」の寺尾聡のお父さんだね。
と言われても、若い子はワカランか…。重吉さんどころか、大ヒット曲のルビーの指輪も俳優・寺尾聡も知らんかもね。

福井で蕎麦といえば「おろしそば」である。
店のオバチャンに訊いても、お奨めはおろしそばだと言うし、迷いなくオーダーすっぺよ。

【おろしそば 650円】
(○○)!!
画像を入れようと思ったら、チャンチャン。
(@
@;)ゲッ、せっかく写メ撮ったのに画像を消しとるやんけー。

このままチャンチャン落ちで終わらしてやろうかしらと思ったが、そうもいくまい。何とか説明します。

え~と、蕎麦に大根おろしがかかってます。
え~と、素っ気ないほどシンプルです。
え~と、蕎麦はかなり細めの田舎蕎麦系です。とは言いつつ、色はそんなに濃くないソバ茶色だす。
え~と、え~と、旨いです❗
歯を心地よく押し返すコシがあって、舌触りがツルツルだ。
入って正解だ。文句なく旨いっす。
因みに大根おろしはそんなに辛くないとです。自分としては、もう少し辛ければ満点と言ってもいいでしょう。

え~と、おしまいです。
チャンチャン。

《追伸》
一応、この日採ったギフチョウをいくつかの展翅画像を添付しておきます。

【杣山産】

形が、やや寸詰まりになったか…。
それにしても、ちよっと黒くねえか❓
この辺の個体って、こんなだっけ❓
昔の標本を調べたら分かりそうだけど、面倒臭いからまあいいや。

【2ヶ所目の越前市の個体 ♂】

こっちが福井の典型的な個体だったっけ…。

【2ヶ所目の個体 ♀】

やはり赤っぽい黄色だわさ。

【3ヶ所目の個体】

次はちよっと下翅を下げ気味にしてみた。

下げ過ぎたか…。
まっ、いっか。

まだまだあるけど、ここで力尽きる。
そもそもが展翅嫌いなのに、ギフチョウの展翅はもっと嫌い。触角がびよ~んと伸びるので整形が上手くいかないのである。

セセリモドキの画像も添付しておきます。
取り敢えず、♂から。

南米のツバメガを展翅した事があるけど、実質的に蛾の展翅をするのは初めてだ。
蛾は前足を前に出して整形するらしい。(_)メンドクセー。

同じく♂。

蛾なだけに胴体がブッとい。
それにしても、蝶とは違うから翅のバランスがワカラン。
触角も矢鱈と細いし、湾曲気味で超メンドクセーよ。
こんなんでエエのんか❓

最後に♀。

こっちの方が紋の色が濃くて、まだしもミヤマセセリに似ている。
と言っても、こんなもん羽を広げたアブラゼミやんか。ブサいくやのぉー。

【註1】新潟県の弥彦以来
前のアメブロの捕虫網の円光シリーズの新潟編に採集紀行があります。題名は何だっけ❓
そうだ、『越後の虎』だ。
暇な人は読んで下され。

捕虫網の円光『越後の虎』
http://ameblo.jp/iga72/entry-12012035619.html