2017 春の女神に会いにゆく

火曜日(4月4日)に春の女神ギフチョウに会いに行ってきた。

蝶好きにとってはギフチョウは特別な存在である。
年に一度早春に現れ、待ちに待ったシーズンの到来を告げる美しい蝶だからだ。
だから、蝶好きたちは今年はいつ姿を見せるのかとヤキモキするし、どこで開幕戦を迎えようかと思いを巡らせたりもするのだ。
そうなのだ、ギフチョウに会いにゆくということは、謂わばプロ野球の開幕戦みたいなもので、ワクワクが止まらない特別な一戦なのである。

実を言うと、ギフチョウに会うのは新潟県の弥彦以来(註1)だから、二年振りになる。
去年のこの時期はタイとラオスにいたのだ。それだけに久し振りの再会を前に心は沸き立っている。

とここまで書いて、本文に入ろうと思ったのだが、何だかまた長くなりそうだし、面倒臭くなってきた。
それに色々と釈然としない事もあったから、いつもみたいな書き方だと激しく毒づきそうだ。
なのでサラッと書くことにします。

今日は単独ではなくて、珍しく三人組である。
メンバーは最近蝶採りを始めた植村くんとギフマニアの小太郎くんの若者二人だ。

関西から福井方面に向かって、ひた走る。
だが色々あって、9時に着く予定が10時半に南越前町のとある山の麓に着いた。
え~い(ノ-_-)ノ~┻━┻、面倒くせぇ。インターネットでは暗黙のルールらしいから場所を隠そうかとも思ったが、福井県と言えば誰だって知っているポイントだ。今さら勿体ぶってどないすんねん。杣山型で有名な杣山じゃよ、そまやま。

中腹の駐車場に向かって登ってゆくと、青い網が並んでいるのが見えた。既に各々が陣取る場所でギフチョウを待ち構えているのだ。
結構いる。それでも今日は少ない方だろう。初めて来た時は50~60は人が入っていた。
ここ杣山は、杣山型と言われる特異な柄をしたギフチョウが極く稀に出現する事から、全国のギフマニアが集結する場所なのである。
自分は変異に拘る人ではないから、それほど興味は無いが、ギフマニアはこの変異に対する拘りが驚くほど強い。変異だけにとどまらず、全国のギフチョウを都道府県ごと、また産地ごとに集めている人だっているのである。ギフマニア、恐るべし。

車の窓を開けて、挨拶がてらに状況を訊いてゆく。
(◎-◎;)ありゃま。
天気は快晴。気温も上がってきているのに、まだ誰も採れていないらしい。例年に比べて発生が相当遅れているようだ。

嫌な予感がした。この時間になっても1頭も見掛けないということは、ここに居てもそう成果は上がらないだろう。そう読んだ。
二人に別な場所に転戦する事を提案する。判断が遅いと果実は手に入らない。だから、トロい奴が嫌いだ。
そもそもが植村くんに沢山ギフチョウを採ってもらうのが今回の目的の第一義なのだ。特に杣山型に強く拘っているワケではない。それに、杣山でしか杣山型が採れないワケでもなかろう。少ないながらも周辺でも杣山型は採集されていると聞いた事がある。採れる奴は、何処へ行っても採れる。採れない奴は何度杣山に足を運ぼうが採れない。そういうものだ。

休憩がてらに駐車場に車を停める。
降りると、すぐに小太郎くんが飛んでいるギフチョウを見つけた。流石、ギフ好き。気合いが違う。
しかし、女神は木立の中へと消えていった。
気合いが入り過ぎた❓
気合いが入り過ぎると、蝶は殺気を感じて逃げるのだ。蝶も生きる為に必死なのだ。

小太郎くんが言う。
『下のお堂まで様子を見てきてもいいですか?それで居なかったら移動しても構いません。』

どうぞ、どうぞである。姿を見たら、そうもなる。
スイッチの入った小太郎くんの後ろについて皆で尾根を降りてゆく。
だが、傾斜がものスゴくキツい。ここに来るのは6、7年振りだからすっかり忘れていたが、そういえばそうだったわ。

『やめとくわー。』
根性なしはソッコーで降りるのを諦めて、駐車場に戻ることにした。でも、戻ろうと思ったのは根性なしだからだけではない。本能的に下よか上の方がいると感じたのだ。

駐車場横のギフチョウが飛んできそうな場所に入った途端に木立の中を飛んでいるのを発見。
瞬時にアドレナリンが全身を駆け巡る。この感じ、堪んねえ。眠っていた狩猟本能が呼び覚まされる。最近の男の子は小さい時から虫捕りもさせて貰えないから、植物系男子などと呼ばれるのだろう。かわいそう、かわいそう教育なんぞ糞喰らえだ。

んな事は今はどうでもよろし。ι(`ロ´)ノやったるでぇ~。闘争心ギンギンで小走りに追いかける。
だが、前の灌木がブラインドになった。ヤバい。足を速める。
こりゃ見失うパターンだなと思った瞬間、いきなり横から飛び出てきてコチラに向かって飛んできた。
不意を突かれて一瞬あたふたする。

だが体が勝手に動き、反射的に左から右へ払う。
2mくらい先で捌いたから、捕らえたかハズしたかは自分でも半信半疑だ。

網の中を覗く。
(^o^)おっ、いたわ。
俺、やっぱまあまあ天才やわー(笑)

(_)ありゃりゃ、メチャンコちっけー。
福井のギフチョウは小さいとは知ってはいたが、こんなに小さかったっけ❓
そのせいか、いつもなら年度最初の1頭は指が震えたりするのだが、全然そんなことは無かった。

それでも、(* ̄◇)=3ホッとする。
これで少なくともヌル(ドイツ語=採集ゼロ)は無くなった。福井くんだりまでやって来て、全く成果なしで帰るのは悲惨である。
蝶採りに来て、目的の蝶が得られないとマジ落ち込む。それはちよっとした💔失恋くらいの落ち込みようなのだ。
そう、大袈裟ではなく蝶を追い求めるのは恋と同じだ。少なくとも自分にとってはそういうところがある。だから、やめられない。

二人が戻ってきた。
成果なし。
一応、歳上の面目が保たれて胸を撫で下ろす。
蝶採りは勝ち負けじゃないとは思いつつ、やっぱりバカにされるのはイヤだ。裏で下手クソ呼ばわりされるのには耐えられない。無駄にプライドが高いのも困りものだ。

発生が此処より早そうで、しかも数も多そうな越前市の池ポイントへと移動する。
ここは初めて行くポイントだが、数が多いという事は前から聞いていた。だから、一度行ってみたかった場所ではある。

着いて、歩き始めたら上から車が降りてきた。
大木さんだった。7つ採れたと言う。
OK。ここの方がいそうだ。

一時間後に集合と決めて、三人それぞれに散り散りとなる。
初めて来る場所だから何処が良いポイントだか知らない。だから、腕の見せどころでもあるし、宝探しみたい気分で燃える。
けれど、同時に読みを間違えれば能力の無さを露呈してしまうという恐さもあるんだよねえ。
こういう時は、負けず嫌いとか恥を掻きたくないとかという自分の性格を呪うね。周りなんか気にせずマイペースでやればいいのに…。我ながらバカだと思うよ。

杉林を詰めかけて、すぐに踵を返す。
何となく違うと感じたからだ。この勘みたいなのを、いつも大事にしている。勘が悪いと蝶は採れない。

しかし、違う道を奥に向かって歩くも、環境は全然良くない。どうもギフチョウが好む場所とは思えない。
目的の蝶が好む場所を読み取れなければ、出会うことさえ出来ないのが蝶採りである。知識、経験、勘、体力、視力、根性、運動神経、道具やトラップなどの工夫etc…、蝶採りにはあらゆるものが必要とされるのだ。アホでは蝶は採れないんである。

既に時計の針は15分を経過している。
💦焦るで、焦るでぇー。

ようやく良い環境らしき所に出た。
と思ったら、背後から飛んできてスミレの花に止まった。吸蜜にやって来たのである。
難なくゲット。

道はここから上にのぼってゆく。
そのまま進むのは集合時間を考えると、賭けだ。
登りは時間を取られるし、奥に行けば行くほど帰る時間も要する。タイムオーバーになりかねない。自分で1時間後と言っといて、遅刻は許されないだろう。

息を吐き、一旦冷静になって周りを見回してみる。
背後の暗い杉林の奥に簡単に取りつけそうな低い尾根を見つけた。ギフチョウは尾根に集まる習性がある。抜群の環境とまでは言えないが、試してみる価値はありそうだ。

道無き斜面を登って尾根に到達すると、1つ飛んでいた。
これも難なくゲット。さらに尾根を進んでゆく。
だが、すぐに小枝だらけのブッシュになり、前を阻まれた。
左手の谷を見下ろすと、暗い杉林が切れて雑木林になっている。良さげな環境だ。

斜面をズリ降りると、舞う女神の姿が見えた。
盛んに地面を飛び回っている。遠目に見て、どうやらカタクリの花に訪れているようだ。

ここまで書いて、全然サラッとやないやんかと思う。
でも、今さら書いた文章を削除も出来ない。続けよう。

ここで2頭立て続けにゲット。
さらに良い場所を求めて谷を詰める。

1頭追加するも、再び暗い杉林が立ちはだかった。
引き返してカタクリの花が咲くポイントに陣取ることに決めた。ここが一番採れると判断したのだ。

思った通りに次々と飛んで来る。
青い網にも寄ってくる。
6つ追加して計10頭になった。実質30分間で10ならば、まあまあじゃろ。

集合場所に戻る。
各々それなりに採れたようだ。ホッとする。何人かで行く場合は全員が採れないと雰囲気が悪くなるもんね。

車に戻りしなに1頭追加。
やけに赤っぽい黄色だと思ったら、♀だった。
この辺の♀って、こんなに赤っぽかったっけ❓

同じ越前市の神社裏にある有名ポイントへと移動。

ここも有名産地である。
取り敢えず一番近い楽勝ポイントに案内する。
着いたと同時に2頭が飛び、立て続けにバラバラと前後左右から飛んで来る。ギフチョウ交差点だね。
10分程でそれぞれ3頭、計9頭が採れた。

ここで植村くんが、『ニホンセセリモドキがおる❗』と叫んだ。さっきの場所にもいたそうだ。植村くんは蛾屋から蝶屋に転身したという珍しいタイプなのだ。
そういえば蝶屋であり、蛾屋でもある尊敬するMさんが、昔、このニホンセセリモドキを探し回っていると言ってた事があったなあ…。
全くもって蛾には興味が無いが、珍品らしいし、ニホンと名の付くものなんだから、きっと日本だけの固有種だろう。だから一応、どんなもんなのかを見ておきたいと思った。百聞は一見に如かず。

どれ❓どれ❓どれよー❗❓
植村くんの指差す所を見ると、日向ぼっこしているのか地面に止まっている。
えっ⁉、こんなにこんまい奴なの❓
それにミヤマセセリに擬態していると聞いていたが、全然ぽくない。ただの小さい地味な蛾じゃん。

(出典『一寸の虫にも五分の魂』)

因みに飛んでる姿は小さくて速いから、まるで蝿みたいだ。
最初は間違えてコツバメを採っちまう。

上がニホンセセリモドキで、下がコツバメ。
一応、画像を拡大しときますね。

(_)ぶっさあ~。
どうしようもなく、地味で変なカタチー。

充分納得したので、右側奥のポイントへと移動する事にした。
だが、以前とは環境が随分と変わっている事に驚く。
下草がほとんど無いのだ。4年程前に来た時は笹がいたるところに生えていて、カタクリの花も沢山あったのに…。
多分、鹿の食害のせいだろう。全国的に鹿が爆発的に増えているが、政府や自治体はちゃんと対策しているのかね❓
植物が無くなると、それを食う虫は当然減る。ということは、その虫を食う鳥や動物も減るのは自明の理だ。で、結局何もいなくなるのだ。日本の豊かな生態系もそのうち滅ぶで。
でも、それを知ってる人って案外少ないんだよね。
寧ろ虫なんてこの世からいなくなってしまえばいいのにと思ってる人が大半なんだろなあ…。

ギフチョウを採る気も起こらなくなって、セセリモドキの居た場所に戻る。

ワシらのあとに別なオッサンが陣取っていた。
聞けば、一つもギフチョウが飛んで来ないそうである。
同じ場所なのに採れない人は採れない。虫捕りには運も必要なのだ。

オッサンは仕方なくセセリモドキを採り始めた。
ドン臭いオジサマで、せっかく網を被せたのにことごとく網の横から逃げられていた。
見かねて毒瓶をお貸しする。というかワシが取り込んであげました。

でも、見ると自分の採ったのとは何か違う。
あっ、コレってもしかして♀じゃね❓
自分の奴(♂)よりも大きくて、下の黄色い紋が鮮やかだ。こっちの方が遥かにミヤマセセリっぽいし、ちよっと可愛いかも。

完全にギフチョウそっちのけで♀を探し始める。
だが、♂ばっかだ。(`Δ´)フガー。
しかも、戻ってきた小太郎くんが♀を採りよった。
まあ所詮は蛾だから、そんなに悔しくはないんだけど、クソ♂だけなら展翅する気も起こらんやんけ。

でも、見つからん。
そのうち♂さえ全然見なくなった。
所在なくなってきたし、時間はもう午後3時だ。
植村くんに電話して、帰ろうぜと言う。
集合場所で待っていると、下から三人組のオジサマチームが上がってきた。
挨拶すると、何と山口さんだった。
久し振りだ。二年半前の名古屋でのムシャクロツシジミ以来である。気合いの入った蝶採りは、東京からこんな所にまで遠征してくるのである。
このオジサマ、結構ヒドいところがあってイタズラ好きだ。それがどこか茶目っ気がある。だから、面白くて好きだ。こんな生意気な目下にツッこましてくれるしね。

みんなで立ち話をしていると、お連れのオジサマが飛んでいるニホンセセリモドキを見つけてくれた。

難なくゲット。人が見ていると滅多に振り逃さない。人前で外したらカッコ悪いと思うので、集中力が高まるんだろう。
どんだけ自意識が強くて、自己顕示欲が高いねん(笑)

帰りに蕎麦を食いに行く。
福井といえば蕎麦である。せっかく来たんだから、食べない手はない。

今庄の蕎麦屋に入る。
この辺の蕎麦は今庄そばと呼ばれ、ソバの名産地なのだ。

『ふる里』。
田舎そのものの店名だなと思いつつ、中に入る。

何だかよくワカランが、ミニ提灯だらけだ。
で、なぜか遺影みたいな写真が掲げられている。
最初は在りし日の店のオヤジさんかと思った。でも、よく見ると随分と前に亡くなった「宇野重吉」だ。昔、お店に来たのだろう。
えーと、どんな人かと言えば、名優と謳われた役者さんで、「ルビーの指輪」の寺尾聡のお父さんだね。
と言われても、若い子はワカランか…。重吉さんどころか、大ヒット曲のルビーの指輪も俳優・寺尾聡も知らんかもね。

福井で蕎麦といえば「おろしそば」である。
店のオバチャンに訊いても、お奨めはおろしそばだと言うし、迷いなくオーダーすっぺよ。

【おろしそば 650円】
(○○)!!
画像を入れようと思ったら、チャンチャン。
(@
@;)ゲッ、せっかく写メ撮ったのに画像を消しとるやんけー。

このままチャンチャン落ちで終わらしてやろうかしらと思ったが、そうもいくまい。何とか説明します。

え~と、蕎麦に大根おろしがかかってます。
え~と、素っ気ないほどシンプルです。
え~と、蕎麦はかなり細めの田舎蕎麦系です。とは言いつつ、色はそんなに濃くないソバ茶色だす。
え~と、え~と、旨いです❗
歯を心地よく押し返すコシがあって、舌触りがツルツルだ。
入って正解だ。文句なく旨いっす。
因みに大根おろしはそんなに辛くないとです。自分としては、もう少し辛ければ満点と言ってもいいでしょう。

え~と、おしまいです。
チャンチャン。

《追伸》
一応、この日採ったギフチョウをいくつかの展翅画像を添付しておきます。

【杣山産】

形が、やや寸詰まりになったか…。
それにしても、ちよっと黒くねえか❓
この辺の個体って、こんなだっけ❓
昔の標本を調べたら分かりそうだけど、面倒臭いからまあいいや。

【2ヶ所目の越前市の個体 ♂】

こっちが福井の典型的な個体だったっけ…。

【2ヶ所目の個体 ♀】

やはり赤っぽい黄色だわさ。

【3ヶ所目の個体】

次はちよっと下翅を下げ気味にしてみた。

下げ過ぎたか…。
まっ、いっか。

まだまだあるけど、ここで力尽きる。
そもそもが展翅嫌いなのに、ギフチョウの展翅はもっと嫌い。触角がびよ~んと伸びるので整形が上手くいかないのである。

セセリモドキの画像も添付しておきます。
取り敢えず、♂から。

南米のツバメガを展翅した事があるけど、実質的に蛾の展翅をするのは初めてだ。
蛾は前足を前に出して整形するらしい。(_)メンドクセー。

同じく♂。

蛾なだけに胴体がブッとい。
それにしても、蝶とは違うから翅のバランスがワカラン。
触角も矢鱈と細いし、湾曲気味で超メンドクセーよ。
こんなんでエエのんか❓

最後に♀。

こっちの方が紋の色が濃くて、まだしもミヤマセセリに似ている。
と言っても、こんなもん羽を広げたアブラゼミやんか。ブサいくやのぉー。

【註1】新潟県の弥彦以来
前のアメブロの捕虫網の円光シリーズの新潟編に採集紀行があります。題名は何だっけ❓
そうだ、『越後の虎』だ。
暇な人は読んで下され。

捕虫網の円光『越後の虎』
http://ameblo.jp/iga72/entry-12012035619.html

『西へ西へ、南へ南へ』第9話

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-11 20:12:01
  

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

(第七番札所・地獄の沙汰も崖次第、およよ)

2011年 9月14日

天気予報では曇り時々雨だったが、昨日と同じような天気だ。
台風は、どうなったんだろう?
大方、熱帯低気圧にでもなったんだろう。人生前向きなのだ。

本日の狙いもアカボシ、アマミカラスの♀狙い。
あと、書き忘れていたが、日本一美しいスミナガシ(墨流し)も狙いにいくつもり。奄美のが一番蒼っぽい群青色をしていると言われているのだ。

南西に針路をとる。
先ずは知名瀬だ。昨日、尊敬する蝶の先逹である森さんに電話をしたら、前は村内に♀がそこそこ翔んでたよとアドバイスされた。
谷を詰めれば、スミナガシもいるようだし、イワカワシジミもクチナシを丹念に探せばいるという。

午前10時、知名瀬着。
着いてすぐ、らしきものが翔んでいたから楽勝だと思ったら、クソ普通種リュウアサ(註1)だった。紛らわしい…(-“”-;)
アカボシの♀は、毒のあるリュウアサに擬態しており、ふわふわした翔び方までそっくりに似せているらしい。

日陰の無い村内をぐるぐる回っていたら、すぐにバテバテになった。
一切、姿なし。12時まで三角ケースの中身は空っぽ。
それまで無視していたが、思い直してカバマダラを5つほど摘まんで奥へと向かう。

【カバマダラ】

だが、大したものはいない。
仕方なく尾根近くまで詰めた。

アマミカラスが乱舞している。
あふれる太陽光を反射して、青い翅がハッとするくらいに美しい。
しかし、採っても採っても♂だらけで、そのうちウンザリしてきた。

予定では尾根まで行き、中央林道を南下して三太郎峠でスミナガシを奪取して、上手くいけば東側の西仲間で再びアカボシにチャレンジと云う算段だった。

だが、奄美中央林道は想像とは違い、完全なるノン・アスファルト。所謂(いわゆる)、ただの山道だった。
しかも道は石だらけの悪路である。
そのうち良くなるだろうと思っていたら、どんどん悪くなり、終いにはブッシュだらけの細い登山道になった。
ハブのお好きそうな環境で超ビビる(|| ゜Д゜)
こんな所で咬まれたら、麓に下りる迄に毒が回り、哀れ絶命ご臨終ちゃんになるかもしれない。
大体コブラでもガラガラヘビでも、まず威嚇があるらしいのだが、コヤツはいきなり飛び掛かってくるらしい。だから、被害も多いと云うことだ。

取り敢えずこのまま三太郎峠に行こうとしたら、15㎞進んだ地点で「崖崩れにより通行止め」と云う看板が出てきた。
悪路で時間を大幅にロスしているのに最悪だ。仕方なく西側の海岸に降りるルートを選択する。
道はアスファルトになった。ラッキーと思いきや、濡れた落葉が降り積もっており、滑りやすくてまた一苦労。多分、通る車もほとんど無いのだろう。

5㎞ほど行ったところで、(◎-◎;)およよー。
また崖崩れ通行止めの看板に突き当たった。これで津名久にも降りられなくなった。
困ったことには、地図を見ると更に南のフォレストパークまで行かなければ海岸の主要道路には降りられないようなのだ。
去年の台風の大雨被害の爪痕が、今もって色濃く残っているんだね。特に南部が酷いようだ。そういえば、幹線道路さえも至るところ片側通行だった。当然、山のなかは修復も後回しなのだろう。これで計画は完全に崩壊した。

走っている途中、目の端に蒼黒いものが入った。
うわっとととっとっとーΣ( ̄ロ ̄lll)、急制動する。

木の幹に、逆さに止まっている蝶がいた。
スミナガシだ❗
どうやら樹液に来ているようだ。慌ててネットを組み立てる。
羽をしきりと開閉している。綺麗だ。
確かに本州や八重山のものよりかなり蒼い。

下からいくか、横からバチコーンとカマすかギリギリまで躊躇した。それがいけなかった。慎重になり過ぎて、ネットを動かす手前で逃げられた。もう数秒早く判断していたら充分採れた筈なのに…。
悪路プラス連続通行止めで心が折れ掛かっていたのが、これで完全に折れた。

もう一度やって来ることを願って待つことも考えた。
しかし、一番のターゲットはアカボシの♀だ。今、山を降りなければ、麓のポイントには時間的に間に合わない。断腸の思いだが、明日またじっくり来ればいいと思った。

だが、一度狂った歯車は戻らない。
どころか、せっかく見つけた新鮮なアマミカラスの♀を焦って力一杯振ってしまい翅を大破させてしまう。
バイクを乗り捨てて、あんなにダッシュしたのに…。
もう1頭採ったが、それも上半分がバッサリ無かった。結局、両方とも逃がしてやった。♀は腹ん中に卵を持っているからだ。殺してしまえば、1頭だけではなく、何百もの生命を奪うことになる。無用な殺生は慎むべきだろう。

メスアカムラサキのイージーチャンスも振り逃がし、ようやくたどり着いたアカボシポイントは、♂しかいないような環境でガックリ。
10分足らずで2頭採り、諦めて根瀬部・知名瀬方面に戻る。だが、着いた頃には日没ゲームセット。
お守りの蝶ライターを忘れたのが、まずかったのかな?…。

夜7時に宿に帰った。
そこで台風の詳しい情報を初めて聞いた。
こちらにノロノロで向かっているという。
うねりが強く、取り敢えず明日の鹿児島行きの船の欠航が決まったらしい。
『明後日の便も多分ダメなんじゃないかな。』と宿の親父に言われた。
マジかよ…( ̄▽ ̄;)

男はスーパー晴れ男だが、実を言うと台風男でもある。
ダイビング・インストラクターだったサイパン時代もしょっちゅう飛行機が欠航になった。
ダイビング・ツアーの前のりで三宅島に行った時も、船が欠航してお客さんが来れずにツアー中止。自身も東京に2、3日帰れなかった。
そういえば、初めて行った石垣島でも帰れなかった。
何れの場合もずっと晴れていたのに、帰る段になっての天候急変だった。
まだある。一昨年は、八重山ゆきの飛行機が飛ばず。
去年は石垣・与那国で直撃を喰らった。
まあ帰れなかったがゆえに、楽しい事も一杯あったし、天気が悪いわりには蝶は採れて、目的はほぼ達成してはいるんだけどね(^^ゞ

今日も脇田丸。

ボトルを入れてしまったせいもあるが、気に入ったし、まだまだ食べていない謎のメニューもある。

今日もアバス(ハリセンボンの唐揚げ)から入った。

(画像、使い回しっす。)

これで三連チャン。
それでも、やっぱり絶品ですな。

ハーシビ(トガリエビス)煮付け(690円)。

潜ってる時も、密かにコイツ旨いんじゃないかと思っていた。
白身で脂が乗っているが、上品だ。味は金目鯛やキンキに近い。

画像は無いが、あとのツマミは以下のものだった。

浅蜊と野菜のかき揚げ(390円)。
カラッと揚がっており、申し分なし。

ティラダ(地物の貝)の煮付け(390円)。
普通に旨い。先っちょに鉤爪があり、見た目は完全にヤドカリです。

油ソーメン(390円)。
所謂、ソーメンチャンプルーの1種。外れのない安心オーダー。

因みにまだ頼んでないが、刺身定食はたったの390円です。嘘やろ!?(^o^;)の値段である。

今日もまた痛飲。
明日は、早いんだけどな…。

                   つづく

追伸

【註1】リュウアサ
リュウキュウアサギマダラの略名。漢字で書くと「琉球浅葱斑」となるのかな。つまり南方系の蝶で、日本では主に南西諸島に分布している。

これは石垣島で、初めて採ったものの1つだ。
標本だけで見比べると、アカボシゴマダラゴマダラに間違うワケはないと思うのだが、飛んでいる時は大きさや飛び方がソックリなのだ。
ワシらでも慣れないと見紛うのだから、一般人には区別がつかないだろうし、天敵の鳥に対しても、それなりに効果はあって然りなのかと思われる。

一応、アカボシゴマダラの画像も添付しておきます。

『西へ西へ、南へ南へ』第8話

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-09 21:07:59

段々、ライヴ配信ではおっつかなくなってきた(当時の原文のまま)。

   ー捕虫網の円光ー
 『西へ西へ、南へ南へ』

(第六番札所・🐍スネーク・パニック)

2011年 9月13日

クーラー無しでは、矢張り夜を越えられなかった。
あまりの寝苦しさに起きた。
コイン投入。温度を激下げにしてやった。
これで切れても、しばらくはもつだろう。

午前7時にアラームが鳴った。
シコシコと文章を書く。
8時に半分やっつけで書き終わる。
用意をして、レンタルバイク屋に電話した。
9時にオープンらしいので、行く旨を伝えて、トラップ作りを開始する。
昨日、帰りにスーパーでバナナと焼酎は購入済みだ。

目星をつけていたサンドイッチ屋で、こだわりカツサンドと玉子たっぷりサンドを買い、レンタルバイク屋に行く。

9時15分。
危ないところだった。焦れて帰るオババを外ですんでのところで捕まえた。
あまりにサンドウイッチがうまそうなので、その場(喫茶室)で半分食ったのが、まずかったね。

24時間 1200円。安っすぅ❗
取り敢えず、2日分の料金を払った。

借りたメットが髑髏でカッコイイ。
オババに不良宣言をして出発した。
長竿B・Jを袈裟懸けして走っているので、気分は佐々木小次郎。サムライみたいでカッチョいい。

やっぱり、原付といえどもバイクは好きだ。運転していると、自然と笑みがこぼれてくる。

今日の狙いは、アカボシ、アマミカラスそれぞれの♀である。基本的にどんな蝶でも♀を採るのは難しい。偶然に頼らざるおえない場合も多い。

【アカボシゴマダラ】

【アマミカラスアゲハ】

北に進路を取る。
和光ダメ、仲勝ダメ、本茶峠ダメ、赤尾木もダメ。
調べておいた産地の何処にもターゲットの姿はない。
不安が走るが、一応♂はそれぞれ完品をGETしているので、焦燥感はさしてない。偵察と思えばよい。バイクを走らせているだけで、今は気分爽快なのだ。
とにかく、蒲生崎を目指そう。

半島に入ると、左手に海が見え始めた。
やっぱり奄美の海は群を抜いて美しい。
ブルーが層になっている。
快適なドライブになった。

手前の手花部で、アマミカラスが目に入った。
バイクを急遽停める。
有名産地どころでは、殆ど姿さえ見なかったのに案外いる。
先日他界された、「閻魔(えんま)」とも称された蝶採り名人・田中さん譲りの赤ネットは、ここ奄美でも絶大の効力だ。アゲハたちが、ザンザンに寄ってくる。
立て続けに3つ採る。空中で綺麗に仕とめるのは気持ちがいい。

2時には出ようと思っていた矢先、横を通過しようとした白い乗用車が急制動で止まった。

事態にチヨットだけ緊張した。
降りてきたのは小太りの中年男だった。
明らかに虫屋の匂いがした。
話しかけられる。
だが、滑舌が悪くて半部以上は何を言ってるのか聞き取れない。何とか聞き取れたお名前は、谷村さん。奄美在住の虫採りのプロらしい。
いきなり、アカボシの♀を千円でどうだと言われた。
基本的に金を出して蝶を買う趣味はないから断った(業界では、蝶を買うのは一般的に普通です)。
勘違いしたのか、笑うくらいに値段がどんどん下がってゆく。
(^。^;)だから、要らないって…。
悪い人ではないが、ちょいイタい人の匂いがした。
アカボシは、採ったのかと訊かれた。
yes。
幾つか?
5つ。
新鮮か?
yes。内、4新鮮。
買うか?
だから、要らないって( ̄ヘ ̄メ)❗❗

まあ、そう害は無かろうと、尋ねられたので電話番号を教えた。
そしたら、急に秘密の場所を教えてやるからついてこいと言い出した。
よくわからないが、ここから近いと言うし、ついてゆく事にする。場所を知っておいて損はなかろう。

あらら、着いたのは完全に民家横の私有地だ。
『バイクを隠せ、網を出すな!』と言われた。
大家が五月蝿(うるさい)らしい。
当たり前だ。君みたいな怪しい奴が勝手に敷地内に入ってきたら、俺だって即座に追い出す。いや、撃ち殺す❗

見ると、アカボシゴマダラの食樹であるリュウキュウエノキ(琉球榎)の立派な木が3本並んでいる。
蛹の脱皮殻も見せられた。すぐ横はミカン畑で、樹液も出ている。たしかに生息条件的には揃ってはいる。

今日は採り尽くしたから、もういないかもと下卑た笑いをして、『このポイントは黙っててね。』と言い残し、彼は程なく去って行った。
こんな面倒な場所教えるか、バーロー(*`Д´)ノ!!

一応、5分いた。
天敵の犬にも吠えられだしたし、長居は無用だろう。不法侵入で通報されたらエライ事だ。
当初の予定通り岬を目指すことにした。

蒲生崎に向かう林道には、いっぱいアマミカラスが飛んでいた。
何だよ、苦労してわざわざ本茶峠まで越えたのに…。ちえっ、拍子抜けだ。
おまけにここのはみんなへなへな、ふわふわ翔びである。楽勝だ。綺麗なものだけを選んで採る。

ゲロッ(;゜∇゜)❗
看板を見つけた。
リアル過ぎる看板だ。
『この辺りは毒蛇(ハブ)が多い。』
って…、モロやん(^_^;)

午後3時にポイントに着いた。
早くもアカボシ2頭がテリトリーを争って追いかけっこをしている。
昨日の場所よりも明らかに敏感で翔ぶのも早いが、止まってくれればそのうち何とかなるだろう。
谷村さんは、蒲生崎なんて今はおらんよと言っていたが、数は結構多い。あんた、ホントにプロかよ❓

だが、食樹が見つからない。
取り敢えず、♀採りの為にパンストに詰めたトラップを良さげな樹にかけて回る。

アカボシゴマダラが快晴の空をバックに滑空する姿は、本当に素晴らしい。
赤が思った以上に鮮烈で、南国の澄んだ青空にスゴくあう。

ジャンジャン、シバいてやった。
全部で16頭。内、♀1頭。
アマミカラス15頭。内♀1頭。

♀は、悲しいことに両方とも新鮮なのに、片方の後翅がザックリと欠けている。多分、鳥にやられたんだろう。

5時半撤退。
帰り道の林道だった。

アギャッ((((;゜Д゜)))❗❗❗
思わず声に出し、悲鳴をあげた。
キキ━━ッ💥❗
急ブレーキをかけ、天然記念物・特産アマミノクロウサギみたいにバイクごと飛び逃げた。
うわっちゃー!Σ(×_×;)❗
ホンマもんのハブデービル(註1)やん❗❗
Σ( ̄ロ ̄lll)凍りついたが、恐る恐る振り向くと既に轢死している。
それにしても、想像以上にデカイ。
ブルッときた。武者震い。
ヤバすぎ。充分、大蛇でオロチ様だ。
しっかり、あの看板のすぐ近くだった。
( ̄▽ ̄;)……あう。
ヘ(・・ヘ)。。。。。。退散。

長く伸びた影を従えて走る。
今度は右手に海が見える。

ほぼフルスロットルで飛ばす。
何人(なんぴと)たりとも抜かせない❗
寧ろ、歩道を使って車も何もかんも牛蒡抜きじゃい!!
乗れてるワシをナメとったらあかんど、ワレ━━。
行きの約半分の55分で、宿まで帰ってきた。

部屋で携帯を見たら、谷村さんから着信が3回もあった。
留守電を聞いてみたら、グズグズ、ボソボソ、グダグタ…。何を言ってるのか全く理解不能。おまけに異常なまでに長いロングメッセージ。
やっぱ、この人イタい。

今日も脇田丸へ。
座って直ぐに谷村さんから電話があった。
明日は、どうするか?と訊かれたので、今日教えて貰ったとこに行くと適当に答えたら、ぼく午前中に行くから午後に行ってと言われた。
アホか、あんたの後だと意味無いじゃん❗ 誰が行くかっ、ボケ(# ̄З ̄)‼‼
長くなりそうだったので、半ば強引に電話を切った。下手に付き合ってるとエンドレス必至だ。

今日もアバス(ハリセンボンの唐揚げ)を頼む。
やっぱり絶品❗❗
他にはアカフエダイの刺身(あっさりしていて、上品)。

島の野生の猪(これは❌、固くて血の味がする。処理の仕方が悪いんだろう。)。等々…。あと記憶なし。

また痛飲。
お代は、1270円。
(;゜0゜)何じゃそりゃ⁉の金額。

今日も月が冴えざえとして、美しい。

                 つづく

追伸
 久々の、捕虫網の円光『西へ西へ、南へ南へ』。
今回はあまり文章に手を入れずに済んだ。だいたいにおいてテンポのいい文章はなおさなくて済む。というか、下手に入れると悪くなるから手を入れにくいのだ。

【註1】ハブデービルやん!
ハブデービルとは、沖縄限定で放映されていたローカルヒーロー番組『琉神マブヤー』に出てくる敵方の首領のこと。結構ボケをカマすし、お茶目なところがあって愛すべき怪人。
何でハブデービルなんかが出てきたのかというと、この年の夏には沖縄本島に蝶採りに行っていた。その時にマブヤーを初めて知って、完全にハマったのである。車を運転中にラジオをかけてたんだけど、よくこのマブヤーの主題歌が流れていて、完璧に覚えてしまったのだ。
だから影響を受けて、個人向けに配信していたその時の旅行記(ブログにはアップされてない幻の沖縄・真夏編『ニライカナイの女王』)には、ふんだんにマブヤーネタが散りばめられていた。って云うか、歌の歌詞は出てくるし、沖縄の方言てんこ盛りの捕虫網の円光だったよなあ…。かなりハチャメチャで面白かった記憶があるから、探して読もうっと。
とにかくそんなかんなで、この時もまだ自分の中では琉神マブヤーブームが続いていたのだろう。

🎵琉神、琉神マブヤー
🎵正義のヒーロー、マブヤー AH~
🎵チャッチャーチャララッチャーチャーチャー
🎵チャッチャーチャララッチャーチャーチャー
🎵ウチナーがあぶない デージ超やばい
🎵悪のマジムンやあ~ってくるぅ~
(でーじなとーん❗)
🎵ティーダの力で平和を守るんだ
🎵アチココーのハートで勝利をつかめー

あは(´▽`;)ゞ、全然まだ歌えるやん❗

今さら冬の献立2 鯨三昧

今さらながらの冬の献立の第二弾である。
使わずにストックされている画像を見ると、アホほどある。多分、冬の献立という題名だけで何十話と書けそうだ。正直、ウンザリである。
しかし、書かないと画像はお蔵入りである。それもまた勿体ないような気もするので、それなりにボチボチ書いていきますわ。

去年の末、何かのイベントで買った鯨のハリハリ鍋セットです。たしか二千円ぐらいだったものが、終わり間際で千円くらいにマケて貰ったのだ。
店の名前は勇魚(いさな)だったかと思う。鯨の別名は勇魚だから記憶にあるのだろう。間違っている可能性もないではないが、とにかく高知にある店だった。

さてさて、大阪人大好きのハリハリ鍋じゃよ。
でも上の写真じゃ、肉の部位とか説明しにくいな。別な画像を貼り付けよう。

う~ん、何かこれも今イチだ。
というワケで、もう1枚添付。

これならよかですたい。
右上は尾ノ身。鯨の中では最も高級な部位とされ、脂たっぷりの霜降りロースみたいなもんですな。
左下の白いのが本皮。謂わば鯨の皮下脂肪ってとこ。
真ん中上のドス黒いのが赤身。
ここまでが売っていたハリハリ鍋セットである。多分、種類はナガスクジラだったと思う。真ん中左は、イワシクジラの刺身用の赤身。帰りに寄ったスーパーで、たまたまタイミング良く売っていたものだ。

鯨の肉といえば、流通しているのは主にこの二種類とミンククジラだろう。何れもヒゲクジラの仲間である。
因みにホエールウォッチングで有名なマッコウクジラはハクジラ類に分類され、一部の地域を除き食用にはされない。肉のクセが強すぎるからだそうだ。きっと獣(ケダモノ)臭が凄いのだろう。

鍋用の出汁がついていたので、それを土鍋に移して火にかける。
先ずは白ネギ、続いて水菜を投入する。ここからが勝負だ。水菜は茹で過ぎるとシャキシャキ感が台無しになる。30秒、好みによっては10秒で上げても可だ。だから、すかさず鯨も投与してゆかなければならぬ。
先ずは赤身。サッとくぐらせ、水菜と食す。やや臭みがあって、かたい。続いて本皮。結構脂っぽい。そして、尾ノ身。当然ながら美味い。
ここで、基本方針が決まった。赤身と本皮は一緒にして食って、尾ノ身はそのままで戴くことにした。

旨いからそこそこ満足なんだけど、強いて言えば肉が薄いかなあ…。その分、ちよっとかたい。もっと厚めの肉だと片栗粉をつけられるんだけどね。その方が肉がしっとりとしてジューシーに仕上がるのだ。

話は相前後するが、ハリハリ鍋をする前のツマミ軍団も鯨で攻めておりました。

👻オバケである。関東で言うところの「さらし鯨」だ。オバケとは関西特有の呼び名で、語源は尾羽毛だと言われる。尾っぽ近くの皮下の部分を茹でて脂抜きをして晒したものだ。
冷やして、辛子酢味噌で食べるのが一般的である。特別旨いもんではないが、わりと好きで時々食べたくなる。

鯨ベーコンも用意した。
鯨ベーコンは、畝須(うねす)という鯨の顎から腹にかけての蛇腹の部分である。縁は昔からなぜか食紅で染められている。見映えの為なんだろうけど、いつも別に無くてもいいんじゃないかと思ってしまう。

自分は基本的に辛子をつけて食う。醤油をつけても良い。試した事は無いけど、酢醤油なんかも合うんじゃないかな?

鯨ベーコンといえば思い出すのが、大阪は法善寺横町にある割烹の名店『美加佐』だ。
故高松宮殿下もお忍びで通われていたという店で、ここの自家製の皮くじら(鯨ベーコン)が死ぬほど美味い。カウンターの目の前にデンと塊であって、それを分厚く切って供されるのだが、日本一美味い鯨ベーコンと言っても過言ではない。それほど美味いのだ。

それにしても、まだ店有るのかね?
長いこと行ってないけど、親方は高齢の爺さんで病気持ちだったもんなあ。そういえば爺さん、いつも鬼嫁に厳しく叱られてたっけ…。
久し振りに行きたいけど、でも一人二万円だもんなあ…。今のオイラじゃ、とてもじゃないが行けそうにないや。

最後は鹿の子の刺身。

アゴ横辺りの肉である。
ハリハリ鍋セットを買った時に一緒に買ったものだ。
ブロック売りで、たしかこれもマケて貰ったんだよね。
千いくらかのものが、800円くらいになったかと記憶している。

冷凍したものを少し解凍して、薄く切り分ける。
カチカチだと切れないし、完全に解凍すると、ぶよにゅるで上手く切れないので解凍具合が難しい。コツはようは鮭のルイベの要領と同じだね。

生姜が無かったので、仕方なく生七味を添え、パクチーを飾る。

それを今回は醤油をつけて食べることにした。
ポン酢なんかも合うかと思うが、パクチーと酢というのが何かイメージが湧かなかったからだ。
先ずは薬味をつけずに醤油のみで食ってみる。

う~ん、美味いがかなり脂ギトギト。それに、ちよっと肉の臭みが感じられる。

次に薬味と一緒に食う。
わおっ(゜ロ゜)❗断然、美味くなる。
生七味が脂を緩和し、パクチーが臭みを消してくれたようだ。
そういえば、「美加佐」でも皮くじらにはパクチーが乗っかってたなあ。たまたま飾り物がパクチーしかなくて全く意図なく使ったが、奇しくもベストな組み合わせになった。

とはいえ、脂っぽいので厭きてくる。
というワケで、オン・ザ・ライス。

脂が熱々のご飯で溶けて、美味い。
これはサッと焼いても御飯に合いそうだな。

鯨は捨てるところが無いと言うが、今回ほぼ食用部分は登場したんじゃないかな❓
抜けてるのは、さえずり(舌の部分)くらいだろう。

あ~、でもコレ書いてると、無性に鯨カツが食いたくなってきた。

追伸
今思い出したけど、ハリハリ鍋といえば「鯨と水菜の鍋」に限定されると思われがちだが、実を言うとそうではない。正式には、鶏でも豚でも牛でも水菜と食す鍋は全部ハリハリ鍋なのだ。つまり、ハリハリは鯨を指す言葉ではなくて、水菜のことなのだ。
以上、ついでの豆知識でした。

『西へ西へ、南へ南へ』第7話

ー蝶に魅せられた旅人アーカイブス―
2012-08-09 00:18:25

ー捕虫網の円光ー
『西へ西へ、南へ南へ』

第五番札所その3 脇田丸

 

シャワーを浴びて、晩飯を食いに行く。
雨は既に上がっている。夜空を見上げると、雲間からもう星が瞬き始めていた。
南国のスコールというのはザッと降って、そのあとは急速に天気が回復するということが多い。その逆もまた然りで、晴れていたと思ったら、あっという間に空が暗くなってザアーッときたりもする。
だから天候を読むのは難しい。だが、嫌いじゃない。それもまた南国らしさと思えば楽しいものだ。

店が有りそうな方向に向かって歩く。
5分足らずで居酒屋を見つけた。

『海鮮居酒屋・脇田丸』。
名前の最後に丸とついてあるから、漁船を持ってる店か、もしくは昔、漁師をやっていたオヤジの店だろうか❓
勘で、入ることにする。こういう時は直感に身を任す事にしている。大概はそれで上手くいく。今までさんざんぱら飛び込みで店に入ってきているのだ。その経験値が有れば、そう勘は大きく外れない。

入ってみると、カウンターの手前に多種多様な魚たちが並べられていた。

当たりだ。
間違いなく旨いもんを食わせる店だろう。
アカボシゴマダラも採れたし、スコールを上手く掻い潜って宿に帰ってもこれたし、今日のオイラは冴えている。

当然の如くカウンターに座る。
一人旅ならば尚更のことだ。板前の人たちに色々と訊けるし、さみしさも少しは紛れる。

飲み物の注文を取りにきた店員に訊くと、やはり魚屋経営の居酒屋らしい。ちゃんと脇田丸という船も持っているようだ。

カウンターの隣に並べられた魚を物色する。
漁師経営ゆえ、地魚のオンパレードだ。

南国らしい派手な色の魚たちも並ぶ。
元ダイビングインストラクターだっただけに、南国の魚にも詳しい筈だが、ある程度予想はつくものの特定は出来ない。多分、死んだら体色が変わるものが多いからだろう。

メニューを開く。
(@_@;)何じゃこりゃ⁉
メニューにある名詞が理解不能な言葉だらけだじょー。さっぱりワカラン。

基本的にチャレンジャーな性格なので、あえて未知なるものを攻めてゆくことにする。
現地でしか食えない食材との出会いは、いつも新鮮な驚きを与えてくれる。好奇心を刺激されない旅なんてつまらない。

先ずは、刺身の盛り合わせ(690円)から入る。

ラインナップは地鰹、シビ(キハダマグロ若魚)、シマアジ、地蛸、ソデイカ、地マグロ。
美味い❗❗
やる(^_-)≡★ねっ。

お次は揚げ物でいこう。
揚げ物の項を目でなぞってゆく。
変な単語が目に入った。
(・。・;アバス❓
何じゃそりゃ⁉ 語源さえも想像がつかない。
考えても仕方がないので、すかさず板さんに尋ねる。

板さん曰く、アバスとは奄美大島ではフグの事を指すようだ。でも、トラフグは南の海には生息しない筈だ。となると、別の種類の食用フグなのだろう。でも南の海で食えるフグなんてあるのかね❓
気になるので重ねて尋ねたら、ハリセンボンだと云う答えが返ってきた。
ハリセンボン❓
それって、あのトゲトゲで、怒らせるとパンパンに膨らむ奴だよね❓ダイビングインストラクター時代に、よくオモチャにしてた奴だ。
そんなもんを食うなんて聞いた事がないし、それに食べるだけの量の身があるとも思えない。
ホントかよ(-。-;)❓

まあいい。百聞は一見に如かずだ。そのアバスとやらの唐揚げを頼む事にする。

d=(^o^)=bウルトラ絶品❗
歯を心地好く押し返してくる弾力、淡泊ではあるが、滋味あふれる旨みの奥深さ。下手な河豚よりも数10倍旨いぜ。
しかも、たったの390円だ。

三品目は、シマアジのカマの塩焼き(390円)。
この量とこの旨さで、この値段はオカシイだろうが⁉
(=`ェ´=)何か嬉しくて怒っちゃうぞっ。

四品目は、島雲丹(註1)。
こんな南の海で、食えるウニなんていたっけ❓

さばく前の本体を見せてもらった。トゲが白くて短い。何だか饅頭みたいな形をしている。
板さんが、夏場からこの時期にしか出回らない高級ウニだとつけ加える。

記憶が繋がる。
あーっ、これ見たことあるわ。そういえば、沖縄でも奄美でも水中に転がっとったわ。アレって食えるんだ。惜しいことしたなあ…。

やがて、殻付きウニが運ばれてきた。
普段目にするウニよりも色がかなり黄色い。
ちょい引くが、意を決してスプーンで掬い、人生初の島ウニを口に運ぶ。

ハッ(゜〇゜;)❗、美味いぞなもし。
鹿児島で食った阿久津の雲丹には劣るが、このクオリティーで690円は尋常な値段ではない。

思わず、黒糖焼酎・高倉30℃をボトルで頼む。

魚が旨いのは屋久島までだと思っていたが、認識を改めねばなるまい。

板前の兄さんに色々教えて貰いながらの談笑。
意識がどんどん溶けてゆく。

午前0時前、ヘベレケで撤退。
ボトルキープをして、支払いが5千円ちょい。
恐るべし、脇田丸❗彗星の如く現れた店だな。
頼む、大阪に支店を出してくれ!!
出してくれたら、毎日通う。

店の外に出たら、空はいつしか満点の星空になっていた。明日も晴れそうだ。
南国の生暖かい風が、そよと頬を撫でて通り過ぎていった。

 

追伸
結局、二回に分けた事により、オリジナルの文章に大幅に手を入れる事になった。組み替えもしてるし、加筆もかなりした。記事を移すのって思った以上に大変だ。

(註1)島雲丹
島ウニは地方名で、本当の名前はシラヒゲウニという。沖縄では7、8月の夏場に出回り、高値で取引されるらしい。
因みに本文に画像が無いのは、舞い上がって写メを撮り忘れたからです。
一応、ネットで検索した画像を添付しておきます。


(出展『ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑』)

『西へ西へ、南へ南へ』第3話

  
蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-02 16:42:52

 
       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』

      第三番札所 薩摩美食三昧

 

2011年9月10日~9月11日

ほとんど脱水状態、夢遊病者のようにふらふらになりながら駅に着いた。
浴びるように清涼飲料水を2本立て続けに飲む。これで小一時間で4本目だ。こりゃ、ほとんど熱射病かもな。

最初に降りた時にわざわざ写メまで撮ったのに…。
そう思いつつ、時刻表を仰ぎ見る。
宮崎行きの電車は10分程前に出たばかりのようだ。
田舎なので、電車は一時間に一本くらいしかない。無人駅のベンチにへたりこむ。

駅舎の外にぼんやりと目をやる。
黄色いランタナが風に揺れている。
一拍おいて、一陣の風が傍らを通り抜けていった。
涼やかな風だった。もう夏の風じゃないと感じた。秋風だ。
ふと見上げると、空も秋の色だ。青い。季節は人知れずその歩を確実に歩めているのである。

空をぼんやりと眺めていて、発作的に思った。
鹿児島まで行こうと。
遠いが、青春18切符ならば今日中は何処へ行こうが乗り降りは自由だ。
大阪に帰るバス代は宮崎も鹿児島もどうせ同じ額である。だったら、桜島を見たい。

16時09分の都城行きに乗った。
一瞬、いったい鹿児島までどれくらい掛かるんだろうかと軽く後悔した。
だが、宮崎に引き返す気持ちにはなれなかった。何処までも落ちて行きたい。前に進みたい。西へ西へ。

都城で15分待って、鹿児島中央行きの列車に乗り換える。

夕なずむ空に噴煙を上げる桜島は、雄大で男性的だ。
列車は、錦江湾の弓なりになった海岸線をのんびりと進んでゆく。

約3時間後の午後6時55分。鹿児島中央駅にたどり着いた。
これで青春18切符5回分を使いきったことになる。

 

 
通常料金ならば、
JR難波➡佐伯駅までが10500円。
佐伯駅➡田野駅までが3150円。
田野駅➡鹿児島中央駅までが2070円。
計15720円かかる。
青春18切符は5枚つづりで11500円した。ということは、➗5で1枚が2300円という計算になる。それを2枚分使ったから、2300円✖2で4600円。
つまり大阪から九州の端の鹿児島まで来るのに、たったの4600円で済んだってワケだ。・

全身ボロ雑巾の体を引きずり、先ずは観光案内所へ。
土曜とはいえども、都会の鹿児島市内だ。宿の数はそれなりにある筈だ。何処かには泊まれるだろう。とにかく、この汗でべとべとの体を一刻も早く洗い流したい。

案内所で紹介された、駅からすぐそばのビジネスホテルを訪ねた。

ビジネスホテル石原荘。
シングル1泊 3880円(安っ❗)
即決する。
 


 

シャワーを浴び、ビーサン、Tシャツ、サーフパンツに着替える。それだけで、だいぶと生き返った。

案内所のお姉さんにも訊いたが、一応フロントでもお奨めの旨い寿司屋を尋ねた。
錦江湾を見て、絶対に寿司を食おうと決めていたのだ。
ホテル一階にある料亭の女将の超お奨めの寿司屋に行くことにする。女将はこれを差し出しなさいと自分の名刺を渡してくれて、途中まで案内してくれた。
鹿児島の人たちも親切そうだ。

寿司『いっせい』。
入ったらガランとしていて、急に不安になった。
だが、今さら他を探すのはもう面倒臭い。正直、腹ペコでそんな気力の欠片(かけら)も残ってない。

カウンターに座った。
とりあえず、瓶ビールとアテに酢の物を頼む。

お通しの、雲丹の乗っかった木綿豆腐をつつく。
木綿豆腐は疑問だが、雲丹は美味い。

次いで、蛸、赤貝、鯖etc…の酢の物がきた。
最初に口に運んだ針魚(さより)にまず驚かされた。何と昆布締めにしてある。味付けも関西風で、はんなりした薄味だ。あまり期待していなかっただけに、俄然楽しくなってきた。

端向かいに座っていた御夫婦と直ぐに仲良くなる。
さみしがりやは、御夫婦や店の大将とも堰を切ったように、まあ、喋る喋る。

続いておまかせ握り11貫をたのむ。
全て旨かったが、中でも絶品は中トロ、雲丹、鯖、玉子焼き、海老、そして、じゅん菜の椀物だった。

海老は地物のサイマキエビ。上品な甘さだ。
玉子焼きはだし巻き風で変に甘ったるくない。
中トロは肉質の目が細かく、ねっとりと纏わりつくような旨さだ。
椀物は薄い銀あんで、じゅん菜を上手く生かしている。
鯖は韓国・濟州島産で小振りなのに脂が乗っており、甘みと旨みが凄い。
雲丹は阿久津産ムラサキウニ(アカウニ)。旨味と甘みがこれでもかと広がってゆく。そして、口の中で味の余韻が尾を引く逸品だった。淡路島・由良産の高級雲丹よりも美味いんじゃないかと思った。

最後に、鯖の棒寿司4分の1サイズを特別に作ってもらった。周りをバッテラ(薄い昆布)ではなく、海苔で巻いているのが珍しい。

 

 
見よ、このキメ細かな油の粒❗キラキラ輝いている。
味はトロ鉄火の鯖版というのが近い。が、抜けがいい。スーッと脂が消えてく感じだ。

お代は7000円余り。妥当な額だ。いや、むしろ値段以上に安いと思った。昨日のホテル代が浮いていると思えれば安いものだ。

午前1時、ようやく就寝。
43時間振りの睡眠だ。
目を瞑って即、意識が飛んだ。

 
(部屋から見た風景。)

 
翌朝7時に目が覚めた。深い眠りだった。そのまま9時半まで寝たり覚めたりで、ごろごろしていた。

10時チエックアウト。
クソ重いザックをフロントに預かって貰い、駅ビルに向かう。

本屋でガイドブックを片っ端から手に取る。
まず街全体の地図を頭に入れておきたかった。観光スポットもチエックする。
しかし、当面の一番の興味は昼飯に何を食べるかだ。
一人旅の楽しみは食いもんくらいだ。
蝶採りは甘美ではあっても修行に近い。否、修行そのものであったりもする。

鹿児島といえばラーメン、黒毛和牛、黒豚、薩摩地鶏ってところが有名かな?

ラーメンは早々と除外した。
大阪でも、探せば旨い鹿児島ラーメンの店はあるだろう。
薩摩地鶏には惹かれるが、昼間っから焼鳥というのも何だかイメージが湧かない。
黒毛和牛と黒豚なら、やっぱ黒豚だよなあ…。
鹿児島で黒豚料理といえば、黒豚しゃぶしゃぶ、とんかつ、せいろ蒸しが代表のようだ。
悩んだ末に残った候補は、フロントのお姉さんに紹介された黒豚のしゃぶしゃぶ屋と2軒のトンカツ屋、あとはマスコミで話題の「激安!黒マグロ丼」1000円の店だ。

一軒目のトンカツ屋は発見できず。どうやら通り過ぎてしまったようだ。
マグロ丼の店はまだ開いていなかった。開店まであと15分だけど、このクソ暑いのに待ってらんない。だいち、考えてみれば鹿児島まで来てマグロもないだろう。ここは、やはり王道の黒豚でいこう。

11時半前、『黒かつ亭』には既に行列が出来ていた。
何だよ、この炎天下で並ぶのかよと思ったが、流行ってるんだから確実に美味いもんにはありつける筈だ。並ぶのが大嫌いな男だが、今度いつ鹿児島に来るとも知れぬのだ。我慢しよう。
そう思って煙草に火をつけた。だが、二口くらい吸ったところで、店員の女の子に5人ゴボウ抜きで招き入れられた。
ラッキー(^^)v、さっき一応店に入って、店員の女の子にワザと一人なんですけど空いてます?とジッと目を見て訊いておいて正解だ。女は目で殺すべし(笑)

黒かつ亭ランチ定食 980円をたのむ。
ロースとヒレ両方が楽しめると云う人気No.1定食である。

 

 
ロース、うんまっ( ̄0 ̄;❗❗
豚肉の甘みが半端ねぇ。

満足至極で店を出る。
取り敢えずは、大阪に帰る深夜バスの状況でも確認に行こう。

さっきから何度か目の中にゴミが入り、何だかチカチカする。
ハッ( ̄□ ̄;)❗、駐車中のドロドロの車を見て気付いた。火山灰だ❗
鹿児島は美人が多そうだし、美味い食いもんも一杯あるから住んでもいい町だなと思っていたが、却下。火山灰の降る街は何かと大変そうだ。住めそうもない。

観光しようかとも思ったが、糞暑いし、火山灰が鬱陶しい。体調もまだ完全には戻っていない。再び駅ビルに戻り、涼みながらこれを書いている。

煙草を吸いたくなったので、喫茶店にでも行こうかと考えた。
それで思い出した。そうだ❗、どうせなら鹿児島名物・南国しろくまを食おう。このクソ暑さにはうってつけじゃないか。

だが、適当な喫茶店が見つからない。
とりあえずダイエーで訊いてみたら、店でも売っていると言う。

 

 
南国しろくま(268円)とは、ようするにアイスクリーム?が混じっている練乳のかき氷に金時や缶詰めフルーツが乗っかった氷菓だ。
親の仇(かたき)みたいにカチンコチンに氷らせてあるのが特徴だ。スプーンがまるで役に立たない。

 

 
(><*)ノちびてぇー。
アッタマ、痛てぇー…。
途中から拷問になってきた。結局、蓋をあけてから25分もかかって食べ終えた。恐るべし南国しろくま!!
南極しろくまの間違いなんじゃないの?
あっ、でも南極にはシロクマはいないわ。シロクマの本名はホッキョクグマだもん。

午後4時45分。
男は、何故か鹿児島新港・南埠頭行きのバスに乗っていた。

                  つづく

 
追伸
原文があるんだから、ちよっと手直してして簡単に記事をアップできると思っていたが、そんな事はない。画像を入れなおさなければならないし、文章も細かいところを触りだすとキリがない。意外と手直しには時間がかかるなあ…。

大東北展

買い物のついでに、なんぱ高島屋の物産展『大東北展』に寄った。

で、試食して旨かったので、ついつい白金豚のアイスヴァインなんぞを丸々一塊も買ってしまった。

え~と、アイスヴァインってのはドイツの有名なハムの事(製法)で、骨付きのすね肉を丸々ハムにしたものだ。

普段は5000円以上で売っているものが、高島屋初出展という事で、税込3240円になってるという言葉が最後の決め手になったんだよねー。

でも、アイスヴァインの目利きなんかした事がない。だいちカチカチに凍ってて、目利きもへっくれもない。だから、素直に店の人に良いものの見分け方を尋ねた。ワカンナイもんは訊けばよいのだ。ずっと、そうして生きてきたもんネー。知ッタカしたって何もいいことはないのである。

オッサンの答えは「一番重いもの」との事。
なるほどね。質よりも重さって事かい。確かに鮮魚じゃないんだから、品質的にはあまり差はないだろう。あったら、逆に問題だもんな。

手に持って重さを量る。
コレが結構重い。何かダンベル持ち上げてるみたいやんけー。これまた口に出したら、ウケた。

う~む(^_^;)、確かに重さはそれぞれ違うような気がする。でも、こんなのは持ち方にもよるんじゃねえの❓
アレコレ悩んでいたら、斜め後ろの海草と鯖を売ってる店のオバチャンが、『うちで量れるよ。量ったげよかー』と言ってくれた。東北の人って、優しいなあ。

両手にアイスヴァインの塊を持って、オバチャンについてゆく。

ワオッ(;゜0゜)❗❗
量ってみると、300gも差があった。
当然、重い方を買う。

買ったんだから、大手を振って試食が出来る。
他の商品も試食させてもらう。
ベーコンも旨いし、焼いた肉も旨い。白金豚って、こんなに旨いんだ…。
でも、一つだけ白金豚のつくね串だけが試食に無かった。
『あれ?、つくねは無いの❓』と尋ねたら、『今焼いてるんだけど、サービスであげるわ。』と言ってくれた。
えっ、Σ(゜Д゜)マジ~。
d=(^o^)=bラッキー❗
笑いをとっておいて損はないよねー。

帰りがけに『周りに宣伝しとくわー。』と言ったら、『買ってくれたら、オマケするよと言っといてー。』と返ってきた。東北の人って、優しい。
因みにお店の名前は「高源精麦」というらしい。チラシの裏に載ってた。何か変わった名前だにゃあ~。

帰りにスーパーに寄ったら、エノキの試食販売をやってた。

エノキのパスタみたいなもんを食わされる。
まあまあ、旨い。
『これで作ったんですよー。』と30代半ばと見受けられるお姉さんが小袋をググッと見せてきた。
なるほど、エノキよかソイツを売りたいんだな。
ケッ(-。-;)、んなもんワシには必要ないよ。でも、エノキは47円と安いから買ってやるよ。

エノキをカゴに入れたら、そのパスタ用エノキソースの小袋(試供品)をお姉さんがくれた。更にオマケに「なめ茸の素」もくれた。

ラッキー(^o^)v❗
別に笑いを取らなくとも、物をくれる時にはくれるのである。

追伸
ぽわーっとした感じのええ気持ちでこの文章を書いてたんだけど、そういえば物産展で結構な量の日本酒を試飲してたのを忘れてた。ほろ酔いだったのである。
え~、アイスヴァインの食レポは解凍して食べたのちにでも、また書きます。
因みに、物産展は3月13日(月)までやっております。

捕虫網の円光~西へ西へ、南へ南へ

 

『蝶に魅せられた旅人アーカイブス』

2012-07-26 16:41:16

沖縄真夏編の最終回もまだ書いていないのに始めてしまいます(当時一部の人にメール送信していた原文のまま)。

 

2011年 9月9日
 

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』
 
        (第一番札所)

 
2011年 9月9日。午前7時27分。
JR難波駅を出発する。
青春18切符の長い長い旅が始まった。特急、急行を使わず、在来線でひたすら走り続ける苛酷な旅である。

目指すは宮崎、齢(よわい)40代の体で、どこまで耐えられるのだろうか…。

西へ、西へ。
姫路、網干、岡山、倉敷、福山、尾道。それぞれ当時付き合っていた女の子たちと旅した土地を通過してゆく。何だか懐かしい。

だが、細かい事は忘れつつある。中には誰と一緒に行ったかさえも定かではなくなってしまった場所もある。

初めて女の子と旅行に行った場所は、福山(鞆の浦)と尾道だ。あれから四半世紀以上、人生もまた長い旅だ。

その尾道で、やっと海が見えた。
もう30年近くも訪れていないが、ほとんど変わっていないような気がする。
大林宣彦の映画じゃないが、懐かしい匂いがする。ノスタルジーそのままの風景だ。

順調に乗り換えを繰り返し、西へ西へと運ばれてゆく。

ここまではたいした事は起こらなかった。
強いて変わった事と言えば、一心不乱に鼻くそをほじり、それを食うオヤジがいた事と、前の座席に24才の若い双子の女の子たちが座ったことくらいだろうか。

双子の女の子たちは、みんな何だか素敵だ。
ふと思う。今まで双子の女の子と寝た経験は一度もないが、いったいどんな気持ちになるのだろうか?
想像してみたが、あまり上手く想像できなかった。

日差しはまだまだ強いが、秋の気配が漂い始めている。色ずき始めた稲穂がやわらかに風に揺れている。

岩国を過ぎて、やっとまた海が見えた。

柳井まで来た。ここまで8時間半。やっと半分だ。

新山口でSLを見た。

 

 
午後6時05分。下関。

関門海峡を越えるのは、これで今年何度目だろうか?

数えてみた。都合5度めになる。今まで生きてきて高校の修学旅行の一度だけなのに今年だけで5回だ。スゴいね。

あっ、電車は地下に入ってゆく。そっか、電車だと関門海峡は越えるものではなく、潜るもんなんだよね。

午後6時。九州上陸。
小倉で日豊本線に乗り換える。

広島を過ぎた辺りからだんだん都落ちするような気分になってきていたが、いよいよここまで来ると、それを越えた完全に落ちのびてゆくような心持ちになってきた。
檀ノ浦とかも通過したし、まるで平家の落武者みたいだ。南へ、南へ。

7時半。大分・中津で降りる。

 

 
次の電車まで余裕があったので、名物の唐揚げを食いにいく。
今まであまりにも接続が良すぎて、朝からお茶以外何も口にしていない。

しかし、商店街は既にゴーストタウンと化していた。
歩き回ったが、居酒屋しか発見できず、慌ててコンビニで缶ビール一本とささみの燻製、高菜のおにぎり一個だけを買い、再び電車に乗り込む。

午後8時半、ようやく初めて食べ物を口にすることができた。

途中から外はずっと真っ暗闇だった。

午後10時、大分駅着。
ここでまた乗り換えに一時間の空きがあった。時間潰しに駅の外に出る。

が、何も心を魅きつけるものがない。大分には良い思い出がない。20年近く前、ドサ回りの大衆演劇の一座に呼ばれて別府に一ヶ月いたが、最低の記憶しかない。

午後11時04分。大分発佐伯行きの最終電車がやって来た。

ホームには酔っ払いが溢れかえっている。

大阪から出発して、どんどん車両が短くなっていったが、中津で2両になり、そして大分でついに1両になった。

必然、超満員電車になった。ここにきて最後の最後にあまりにもヘヴィー過ぎる展開。

後ろのオヤジが、確実に吐きそうな雰囲気なので戦々恐々となる。これ以上惨めな気分になるわけにはいかない。

明日は朝6時20分の電車に乗らなければならないので、このままいけば睡眠時間は3~4時間しか取れないだろう。

そんなショートで、高い金を払ってホテルに泊まるのも何だか馬鹿馬鹿しい。朝までやっている居酒屋で時間を潰そうかとも思った。

だが、もうそんな気力も体力もない。素直にホテルに泊まろうと思った。

降車する人の数が次第に増え、約20分でどうにか座る事ができた。

窓外の真っ暗な闇を見つめていると、今自分が何処にいるのか、何処に向かっているのか、そして自分がいったい誰なのかさえもわからなくなってくる。

日を跨いで、24時30分にやっと佐伯駅に着いた。宮崎県は、すぐそこである。

絶望的に真っ暗だ。そして、雨が降っている。やっぱり大分は鬼門ってことか…。

雨のなか、歩き出す。

どうみてもホテルは見つけられそうもない。この雨の中を歩き回っても、ただ体力と気力を磨り減らすだけだ。

結局、ある意味当初の予定通りってことか…。睡眠は諦めよう。

しばらく歩くとマックスバリューが見えてきた。24時間営業のスーパーマーケットだ。少し安心する。これで最低何とか雨宿りと食料の確保だけはできた。

更に歩くと小さな幹線道路に出た。
雨に黄色く滲んだ明るい看板が見えた。ジョイフルという24時間営業のファミレスだった。

ここいらが限界だ。辛いが、ここで時間を潰すしかないだろう。上手くいけば、携帯の充電もして貰えるかもしれない。

とりあえず、ビールと唐揚げ定食をたのむ。

朝までいるし、充電もして貰えたことだし、ついつい気を使ってドリンクバーもチョイスした。

唐揚げ定食(499円)は、さして期待していなかったが、案外美味かった。

現在、午前4時半。
睡魔と闘いながらこれを書いている。

眠るべきかどうか迷っていたが、もう手遅れだ。何せ、6時20分の電車に乗り遅れれば、次の電車は夕方の17時14分なのだ。

何故、こういつもいつも何かと闘わなければいけないのだろうか…。

                 つづく

 

追伸
今とは違って、この頃はまだソリッドな文章を書いていた。ようするに、ロマンチストでカッコつけだったのだ。でも、今書いている説明の多い文章よりもこういう文体の方が本来は好き。
とは言いつつ、カッコつけ純文学風からこのあと、段々ボケなすエンターテイメント風にはなってゆきますからあしからず。