奄美迷走物語 其の2

 
 第2話『沈鬱の名瀬』 後編

 
何となく物事が上手く流れてないなと感じながら店の外に出た。明日は朝仁に移動しなければならないので、取り敢えずはバスの停留所を探しに行く。
けれども郵便局前のバス停が見つからない。地元の人に声をかけて教えてもらったところは確かにバス停ではあったが、朝仁方面ゆきのバスが無いのだ。ワケわかんねー(´-﹏-`;)
なので明日泊まる宿にLINEで訊いてみた。けれど直ぐには返答がない。仕方なく今日の宿に向かって歩く。途中の入舟町が次のバス停であろうから、道すがら探せばいいだろう。

バス停を何とか見つけたところでLINEが入った。近いから明日は名瀬まで迎えに来てくれるという。✌️(•‿•)ラッキー。流れがよくなってきたんじゃないのー。

 

 
「グリーンストア」の前まで来た。
ここは24時間スーパーで、宿からも近いから随分と世話になった。よく酔っ払った帰りに寄って無駄に惣菜とか買って帰ってたよなあ…。

 

 
「旅館 あづま家」。
より色褪せたような気がするが、見覚えのある景観だ。そうそう、周囲の民家と同化してるから見落としそうになるんだったわさ。横の釣具屋の方に、つい目がいっちゃうんだよね。2011年は奄美に船で着いてからの宿探しだったから、ネットで探して電話で場所を聞いたんだけど、もしも釣具屋が目印だと聞かされていなかったら絶対見落としてたと思う。

 

この入口も懐かしい。完全に普通の民家なのだ。

中で宿の婆さんと話す。
今日の客はオラだけみたい。コロナの影響で客は激減したという。宿代は素泊まり2500円の激安だから、前は長期滞在の工事関係の人なんかも結構泊まってた。けれど公共事業も激減しているらしく、コロナとのダブルパンチで客足はサッパリだという。そんなワケだから、息子には早く宿を畳めと言われているとオバアはとつとつ喋る。
何だか悲しくなってくる。次に奄美に来た時には、きっと廃業しちゃってるんだろなあ…。こんなところにまでコロナの影響が及んでるんだね。ホント、コロナ憎しである。
 
渡された鍵は209号室だった。鍵に何となく見覚えがある。
ここは2階が客室になっており、共用の冷蔵庫なんかもあって何かと便利なんだよね。

 

 
部屋には完全に見覚えがあった。
たぶん一番最初の採集行の時には、この部屋に長期間泊まっていたのだ。

 

 
この押し入れもハッキリと記憶がある。
持ち帰ったクチナシの実をタッパーに入れて此処に置いといたら、翌日には美しいイワカワシジミ(註1)が羽化していたのだ。

 
【イワカワシジミ Artipe eryx ♂】

(2011.9.19 奄美大島)

 

(左下の個体はインドシナ半島のもので、他はたぶん日本産)

 
取り敢えず、そのイワカワシジミを探しに行くことにする。
天気は悪くともイワカワだったら採れる可能性がある。食樹であるクチナシの木に止まっていることが多いからね。それにクチナシの実があれば、蛹や幼虫が入っているものがあるかもしれないし、卵が産んであるものだって見つかるかもしれない。

 
【クチナシの実と卵】

 
【幼虫の開けた穿孔跡のある実】

 
だが、丹念に見るも姿無し。
実もどれも黄色く変色してしまっていて、どうみても既に成虫が羽化した後のものだ。しかも時間がだいぶ経っている古いモノのように見える。
最後に民家のクチナシの大木を見に行く。2011年、そこでイワカワの蛹が入っている実を沢山採ったんだよね。そういや家のオジーとオバーがとても親切で、有難いことにわざわざ高枝切り鋏を持ってきて、指定した枝をジャンジャン切り落としてくれたんだよね。

だが、此処も全く姿なし。蛹や幼虫が入っていそうな実は1つも無く、卵が付いてそうな実も全く無かった。そして、家には人の気配がなく、ひっそりとしている。おそらく廃屋になっているのだろう。オジーとオバーは高齢だったので亡くなられたのかもしれない…。
寂寥感に満たされ、佇んで悄然と空を仰ぐ。胸が痛む。
それに此処にイワカワが居なければ、厳しい状況下にあることを受け止めざるおえない。此処が一番有望なイワカワのポイントなのだ。何だかなあ…。

一応、夜に灯火採集する場所の下見にも行く。
あわよくばアカボシゴマダラ(註2)が飛んで来ないかという淡い期待を持ちつつ登山口に取り付く。

 
【アカボシゴマダラ Hestina assimlis ♂】

(2011.9月 奄美大島)

 
懐かしい急坂を登り、山へ上がる。2011年は何度もこの坂を上がったっけ…。宿から近いから、帰りがけによく寄った。
しかし海から近いゆえ尾根にはモロに風が当たっており、平地と比べてかなり強い風が吹いている。勿論、アカボシの姿はない。これだけ風が強いと蝶が飛ぶことなど望むべくもない。
何だかなあ…。

部屋に帰り、ぼんやりとTVを眺める。
いっそライトトラップなんてやめてやろうかと思う。
日が暮れたら、とっと居酒屋「脇田丸」に行って、酒かっくらって板前のタケさんとバカ話でもしたいというのが正直な気持ちだ。そもそも、わざわざ名瀬に一泊したのはその為でもある。脇田丸に行き、タケさんに会い、アバスの唐揚げを食わねば奄美に来たことにはならない。

だが、グッとその誘惑を抑え込み、日暮れ前に灯火採集の仕度をして出る。
こうゆうツマラン場所でトットとアマミキシタバ(註3)を採って、蝶採りに専念したいところだ。ただでさえ夜の山は怖いのに、ここ奄美には本ハブ殿がいらっしゃるのだ。しかも奄美大島の本ハブ(註4)は最強だと言われており、沖縄本島の本ハブよりも巨大で、性格も凶暴。オマケに毒性も強いとされておるのだ。本ハブは夜行性だかんね。オジサン、涙チョチョ切れ(T_T)で、チビりそうじゃよ。

車に轢かれた直後のものだが、コレ見てよ。

 

(2011.9月 奄美大島)

 
蒲生崎だったけど、優に2mはあったんじゃないかな。
太さは軽くワテの手首以上くらいはあったから、もう大蛇と言っても差し支えないようなものだったっすよ。マジでぇー。

あのねー、あまりにも怖いから、今回は流石にワークマンで折りたたみの長靴を買って履いてきたもんねー。

 

 
風が強いので、当初予定していた場所を諦めて、鞍部にライトを設置する。

 

 
フラッシュを焚かないで撮ると下の写真みたいな感じになる。
周りが如何に暗いか御理解戴けるかと思う。街から近くとも、山へ入るとこれだけ暗いのだ。原始林なんかだと、きっともっと真っ暗けなんだろなあ…。ヤだなあ。

 

 
正直、光量がメチャンコしょぼい何ちゃってライトトラップである。でも、コレしか持ってないんじゃもーん。

点灯後に周りの木に糖蜜を霧吹きで吹き付けてゆく。
いつもは普通の酢を使っているが、今回は奮発して効果が高いとされる黒酢をふんだんにブチ込んでやったスペシャルレシピだっぺよ。アマミキシタバは糖蜜トラップやフルーツトラップにも来るということだから、ライトトラップがダメでもコレで何とかなるっしょ。

しかし、何ちゃってライトには笑けるくらい蛾が寄って来んぞなもし。
やっと大きな蛾が来たと思ったら、オオトモエだった。しかも折からの強風に煽られ、(^。^;)あらら…、飛ばされていってもうた。

 
【オオトモエ Erebus ephesperis】

 
別にオオトモエなんぞどうでもいいけど、何か小さかったから亜種かもしんないと考えたのよ。なんで一応採っておこうかなと思ったのさ。

そして糖蜜トラップに至っては全く何も来ん。
何だかなあ…。

午後9時前には一旦諦めて、ライトをそのままにして脇田丸へと向かう。タケさんと話して楽しく過ごせたら、流れも少しは良くなるかもしれない。もしかしたら11時くらいに様子を見に戻ってみたら、死ぬほどアマミキシタバが集まって来ているやもしれぬ。で、とっと撤収。タケさんと飲みに行くのだ。そうだ、吉田拓郎大好きのダメ男フクちゃんも呼ぼう。でもって朝まで痛飲じゃい❗何事も前向きでいこうじゃないか。

 

 
店構えは概ね同じだが、雰囲気が前と少し違う。たぶん暖簾が新しくなっているからだろう。

再会を期待して店内へ入る。
けど、厨房にタケさんの姿が見えない。休みかなあ…。
確認のために店員を呼び止め、訊いてみる。

(ノ゚0゚)ノえーっ❗、タケさんやめたってかあー❗

腱鞘炎になって1年半ほど前にやめて、今は土方をやっているらしい。
呆然としたままヨロヨロとカウンターに座り、オーダーを取りにやって来た店員に力なく生ビールと答える。

 

 
ヤケクソ気味で一気にゴクゴク飲む。
悲しいかなビールだけは何があっても旨い。裏を返せば有難いことだ。まあビール飲んでりゃ、そのうち御機嫌になるだろう。そう思わなきゃ、やってらんない。
でも追い打ちをかけるように、出されたお通しの大根が信じられないくらいにスジだらけだった。史上サイテーにクソ不味くって半泣きになる。

 

 
キレそうになるが、気持ちを切り替えてメニューを見る。

 

 
幸い「アバスの唐揚げ」は、まだメニューにあった。
けれど値段が690円と高なっとるやないけ。前は490円だった筈だよな。
(-_-メ)ったくよー。どこまでも逆風アゲインストじゃないか。
まあいい。アバスさえ食えれば、そんな瑣末事なんぞ簡単に許せる。アバス様はブリブリの歯応えで、味はとっても上品なんだけど旨味があり、下手なフグの唐揚げなんかよりも数段旨い代物なのだ。
言っておくと、アバスとは奄美の方言でハリセンボンの事をいう。但し、厳密的にはハリセンボンそのものではなくて、近縁のネズミフグやイシガキフグとかの大型フグだろう。タケさんにアバスで作ったフグ提灯みたいなのを見せられたけどデカかったもん。ハリセンボンみたく体型は丸くなく、もっと細長かったから間違いないだろう。

やがて待望の「アバスの唐揚げ」が運ばれてきた。

 

 
見た瞬間に悪い予感がした。
見た目が記憶とは全然違くて、あまりヨロシクないのだ。色が悪いし、匂いからすると、おそらく悪い油で揚げたものだろう。しかも揚げ加減は明らかに技術未熟な者の仕事のように見える。盛り付けにも微塵のセンスも感じられない。

食うと案の定だった。
アバスそのもののポテンシャルは悪くないのだが、解体の仕方が悪いから食べにくいし、油っぽくて揚げ方は最低レベルだ。

因みに、タケさんの調理だとこんな感じだった。

 

 
盛り付け的にも如何にも美味そうだし、下に網があるから油切れも良い。っていうか、それ以前にカラッと揚がってた。
怒りを超えて悲しくなってくる。

コレだけではお腹は満たされない。次に何を頼もうかと迷ったが、メニューを眺めていても何ら期待させられるモノがない。お通しとアバスの唐揚げの状態からして、どうせ結果は目に見えている。憤ること確実だ。

さんざん考えた挙句、「漁師めし」を頼むことにした。
刺身系ならば、まだしも失敗は少ないと判断したのである。

 

 
こんなんだったっけ❓
コレも見た目は違ってたような気がするぞ。
まあいい。腹が減ってるから取り敢えず食べよう。醤油をブッかけて食う。
(ー_ー;)……。

 

 
気を取り直して、真ん中の黄身を潰して食べる。
(ー_ー;)……。
何だか甘ったるくて、全然旨くない。何ゆえにこんなにも甘いのだ❓明らかに記憶の味とは違う。
じゃあ、十年前のアレは何だったの❓スマホで、その時の画像を探す。

 

 
あったけど、(・o・)アレっ❓ご飯がないぞ。
でもコレ見て思い出してきた。この時は漁師めしの飯抜きにしてもらって、ツマミにしたんだったわさ。あと、確かこの時は海がシケ続きで魚が入ってこなくて、タケさんが養殖の黒マグロの良いところをふんだんに使ってくれたんだった。量も多くてトロ鉄火みたいになってたんだよね。
この記憶から甘いという疑問も解けた。タケさんが、いつも特別に普通の醤油を出してくれていたのだ。スッカリ忘れてたけど、実を言うとコッチの醤油は砂糖が大量に入っていて、ベタ甘なのだ。人のせいにはできないけど、何か腹立つわ。

腹はそれなりに膨れたが、虚しい。
11時くらいまでは居るつもりだったが、耐えられなくて10時には店を出た。

再び夜の山へと戻る。
勿論、アマミキシタバが大量にやって来るなんて奇跡は起こらず、ショボい蛾が数頭いただけだった。
取り敢えず見たこと無さそうな奴(註5)を投げやり気分で毒瓶にブチ込む。

 

 
暗闇から街を望み見る。

 

 
何処か違う世界、異次元空間に知らないうちに迷い込んだかのような錯覚に陥る。闇はいつでも人間社会との境界を曖昧にする。

やがて風が益々強くなってきた。たぶん風速は軽く10mは越えていて、最大瞬間風速は18mくらいはありそうだ。
༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ༽逆風烈風やんけ。

 

 
オマケに灯火採集の敵、月まで出てきやがった。

11時半、撤収。
何だかなあ……。

                         つづく

 
追伸
サラッと書くつもりが、どんどん思い出すことが出てきて長くなった。(◡ ω ◡)先が思いやられるよ。
尚、当ブログに『西へ西へ、南へ南へ』という2011年の奄美旅の文章があります。よろしければ、ソチラも読んで下され。
あっ、ついでに言っとくと、イワカワシジミについては第十三番札所『梔子(くちなし)の妖精』の回にて取り上げとります。

 
(註1)イワカワシジミ

【奄美大島産 春型】

 
(裏面)

(出典 2点とも『日本産蝶類標準図鑑』)

 
イワカワシジミは、日本では奄美以南に棲息し(現在は屋久島にも生息するが放蝶由来との噂あり)、蝶好きの間では人気の高い美蝶だ。裏面は日本には他に類を見ない綺麗な翡翠色で、優雅な長い尾っぽを持ち、南国の妖精という言葉がピッタリで可愛らしい。

奄美大島のイワカワシジミは亜種にこそなっていないが、かなり特徴的な姿をしており、表の前翅と後翅の亜外縁に白斑列に表れる。特に第1化の春型の♀の下翅はそれが顕著で、気品があって美しい。

国外ではインドからインドネシア、中国、台湾などの東洋熱帯区に広く分布する。日本でも個体数はそう多くはないが、インドシナ半島では更に少なくて珍品とされているようだ。
とはいえ、ラオスとかタイでちょこちょこ採っているから、ホントなのかな?と思う。因みに日本のイワカワシジミより遥かにデカイゆえ、とても同種とは思えまへん。

 

(2014.4.7 Laos oudmxay)

 
これじゃ、大きさがワカランね。
でも、しっぽ(尾状突起)がより長いのはお解りなられるかと思う。しかも太くて白いし、白帯の領域も明らかに広い。

他にも画像があった筈だから、探してみよう。

 

(2016.4.28 Laos oudmxay )

 
この画像なら、大きさも解って戴けるのではないかと思う。とはいっても、蝶好きな人しかワカランか…。

 

 
これは同日に採った別個体。天女のように美しいね。
どうやらインドシナ半島とかのクチナシの実は大きいから、その分だけデカくなるらしい。噂では超バカみたいにデカイ亜種だか近縁種だかがいるらしい。
意外だったのは、何れも川辺に吸水に来た個体だった事だ。そういえばタイでもそうだった。イワカワが吸水に来るなんて日本では殆んど聞いたことがなかったから驚かされた記憶がある。確か画像の個体は全て3時以降の夕方近くにやって来たような覚えがある。

 
(註2)アカボシゴマダラ
従来、日本では奄美大島と加計呂麻島、徳之島のみに分布していたが、近年になって関東地方で中国の原記載亜種が放蝶され、凄い勢いで分布を拡大している。
この亜種、赤紋がピンクで、しかも輪が醜く崩れているというアカボシゴマダラの名前を穢す許し難いブサいくな奴である。放した者は万死に値すると言いたい。どうせ放すなら、あんなドブスじゃなくて、クロオオムラサキとか放せよなあー。
それはそれで問題あるとは思うけど…(笑)。

 
(註3)アマミキシタバ

【Catocala macula】

(出展『日本産蛾類標準図鑑』岸田泰則)

 
開張60〜66mm。国内の他のカトカラ(シタバガ属)よりも前翅長が突出する。
従来は別属とされていたが、現在はカトカラ(Catocala)属に分類されている。
分布は主に奄美大島だが、他に徳之島、屋久島、沖縄本島でも記録がある。そういや去年には九州南部からも記録が出ていた筈だね。国外では台湾、中国南部からインド北部、スリランカ、インドシナ半島、フィリピン、インドネシアに分布する。

 
(註4)奄美大島の本ハブ
何かで読んだけど、奄美大島の本ハブと沖縄本島の本ハブとでは毒の成分が違うらしく、奄美の方が毒性が強いようだ。DNA解析の結果でも両者はかなり古い時代に分岐したようで、近い将来、両者は別種扱いになる可能性もあるという。
あっ、うろ憶えの情報だから、間違ってたらゴメンナサイ。

 
(註5)取り敢えず見たことの無い奴
たぶん上の画像がカワムラトガリバで、下はツマジロエダシャクかな。コレも間違ってたらゴメンナサイ。

 

『西へ西へ、南へ南へ』番外編1

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-09-11 20:29:45

一応、第十九番札所でおしまいですが、退屈なのでオマケ番外編を一部の人にグダグダで送ります。何せ船の中はヒマなのだ(ライブ送信、当時のままの文面です)

       ー捕虫網の円光ー
      『西へ西へ、南へ南へ』
       番外編・その壱

      (第二十番札所・北へ北へ)

 
2011年 9月26日

えーと、ですね。
最終回はシンプルにしたかったから、ゴチャゴチャ必要のない事は極力排除したかったわけよ。で、ああ云う風な形になった。
と云うことで、書かなかった間の事とその後の事を書きます。

バイクを返した後、荷物を預かって貰っていたので宿に戻った。
如才がないので、ちゃっかり風呂まで入らせてもらう。どうせ明日はバス移動で入れんだろうし、フェリーの風呂は、狭くて悲しいくらいに薄茶色だしね。

今度こそ髭そり用のT字カミソリを捨ててやるぞ。
もう、慌ててゴミ箱を漁ることもないだろう。
このあいだは船に乗り遅れたから、必要ないと思って捨てたカミソリを大慌てでゴミ箱から探し出したのだった。

そして、最後の脇田丸へ。

これが多分13回目の来店じゃないかな?
かつて、これだけ短期間で一つの店に通った記憶はない。

今日は竹さんがいた。
魚も活きの良いのがカウンターにズラッと並んどるんじゃないのー(⌒‐⌒)v

カンモンハタ、コクハンアラ、アカハタ、クエ、スジアラ、ミーバイ、アズキハタetc…。本日はハタのオールスター勢揃いだ。
皆んな高級魚じゃよ~(≧∀≦)

迷ったが、竹さん一番のお薦めのスジアラを選択いたしましたよん。

スジアラ刺身(790円)

先ずもって、身が美しい。
白く抜けるような透明感じゃね。
味は淡白だが、噛んでいると奥から甘みが昇ってくる。

アバス唐揚げ(490円)

11回も食ったが、飽きない。
いつ食っても絶品❗(^o^)v

次のお薦めは、鰭長勘八(ヒレナガカンパチ)頭の塩焼き(980円)だった。
焼く前の姿を見せてもらったが、巨大。
食えるかどうか心配でオーダーを躊躇した。
だが、こんなもん次いつ食える機会があるというのだ。男なら、ガツンといっときましょう❗

うおっ(゜〇゜;)❗、まるで肉を食ってるみたいだ。
格闘という言葉が最も当てはまる肉弾戦。食っても食っても減らん(@_@;)
カマの部分は、やや大味。顔面の方が肉質が繊細で美味い。

今日は流石に支払いが3000円を越えたよ。
外は本格的な雨。雨合羽はあるのだが、出すのも着るのも面倒臭いので如才なく店で傘を借りる。いや、返すアテなどないから、貰うか?
8時20分。竹さんと堅い握手をして店を出た。

暗い夜道を港に向かって歩いていると、益々自分が何をしているのかがワカラナクなってくる。
一瞬、もう一日居ようかと云う悪夢のような考えがよぎったが、慌てて打ち消した。

さらば、奄美。
船は暗い海に向かって次第に速度をあげ始めた。

バチバチバチーン( ☆∀☆)★★★
ロビーで信じられないくらいの凄い美人と目が合った。視線が絡み合う。
どちらからともなくデッキに誘った。

暗い夜空の下、二人は抱き合った。
そして、激しく、貪るように互いの口唇を求めあった。
彼女の口から嗚咽が漏れる。
あっふう~~~~~ん❤❤❤❤❤
柔らかな乳房を揉みしだき、男は後ろからオラオラオラー(*`Д´)ノ!!!、猛烈に突き上げた。

というのは、
真っ赤なウソでー(・┰・)
うすら寒い二等客室タコ部屋で、横揺れが強くてコリャ酔うなと思い、早々と睡眠薬を飲んでソッコー寝た。

朝8時40分。
男は、再び火山灰舞う街に降り立った。

                  つづく

 
(subject 写真解説&追伸)
ふざけた文章だから(特に本文後半)、よほど削除しようかと思ったが、色々考えた末にそのままにしておく事にした。それはそれで、その時の気分だったり、ヒマだからゆえのお遊びだったりするのだ。

 
【ハタ・オールスターズ】

右からカンモンハタ?、アカハタ、アオノメハタ?、コクハンアラかな?
他にも数種類のハタくん達がいたのに、全員写ってないのはミステイクです。
ダイビング・インストラクター時代は魚の名前は大概わかった。プロなら当然だと思っていたし、ヒマさえあれば図鑑を見ていたからだ。でも、流石に引退して長いと忘れますね。
因みに右上はアオブダイ、左上が海ブドウと海ゴーヤですね。

【スジアラ刺身】
スジアラもハタの仲間。九州辺りではクエ(ハタ科)をアラと呼んだりするから、この名前になったのだろう。
身が透き通るような白さで、お美しい。
ハタ系の魚は、白身で大体はあっさりはしているのだが、噛んでいると奥から上品な脂と甘みが広がってくるのだ。白身魚はしっかり噛むよし。

【鰭長勘八の頭塩焼き】
ヒレナガカンパチは、文字どおり鰭が長いカンパチさんですな。マグロの代用とされることもあるそうで、高級魚です。
後ろに煙草の箱がありますから、巨大さは解って戴けるかと思います。
やっぱり、こういうもんは何人かでつっつくもんです。他にたくさん種類も頼めるしね。
誰か一緒に脇田丸ツアーに行って欲しいもんだね。
女の子なら、なお良し。

【脇田丸店内】

皆さんはもっとワイルドな店を想像していたと思うけど、意外と店内はオシャレなのだ。
右側がカウンター席です。いっつもここにいました。奥、左から2番目か3番目が定席でした。理由はそこが竹さんのだいたい真正面だったからです。

【二等客船タコ部屋】

結構、殺伐しております。
まあ、それも旅情と云うもんでしょ。

 
〈追伸の追伸〉
残念な話です。
このあと何年後かに(3年後だっけ?)、再び奄美大島を訪れる機会があった。そして、当然のごとく脇田丸に行った。
だが、店は様変わりしていた。
まず、あの並べられていた色んな魚が一切無くなっていた。
魚が傷むからと、やめたそうである。あれが、「さあ今日は何食おっかなあ…」と云う楽しみだったし、竹さんにあれこれ質問してオーダーを決めてゆくのも楽しかったのに…。
値段も随分上がっていたし、上がったのにも拘わらず量が減っていた。おまけにメニュー数も少なくなっていた。
「漁師めし」なんかは消えていたし、380円という驚異的な値段だった「刺身定食」も500いくらかになっていた。
スタッフもだいぶ入れ替わってて、竹さんはいたが、オカマでウルトラ年配熟女好きのフクちゃんは既に辞めていた。

それでも、また奄美大島に訪れることがあったら、脇田丸に行くと思う。
食べ物だけが全てではない。そういうものだ。

『西へ西へ、南へ南へ』17 梔子の妖精

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-27 19:09:05

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

  (第十三番札所・梔子(くちなし)の妖精)

 
2011年 9月19日

暴風が吹き荒れている。
だが、大したことない。石垣島の時の屋根が取れんじゃねぇの?Σ(T▽T;)というよりかは全然マシ。
あん時は、恐くて死ぬほど酒飲んで寝たんだよね。

仕方なく暇潰しに沖縄本島真夏編『ニライカナイの女王』の最終回を書く。
あーだこーだと文章をこねくりまわしてたら、5時間も掛かってしまった。低能な文章を書くのにも、結構それなりに時間がかかるのだ。

午後3時前、一段落ついたし、雨も上がったので出る。
風はまだ強い。

取り敢えず、一番近いらんかん山へ。
木々が風に煽られ、殴られぱなしのボコボコにされている。
風速は15m、時に20mくらいはあるだろう。
流石にアカボシも翔んどらんだろうと思ったが、1頭だけ翔んでいた。
アンタ、馬鹿ね。だけども偉いね(〃^ー^〃)
今や、そんなアカボシゴマダラに愛を感じるよ。

風がどんどん強くなり、身の危険を感じて4時前には山を降りた。

いつものように帰る道すがら、イワカワシジミを求めて民家の梔子(くちなし)をチエックする。
ここの梔子は立派である。既に肉眼で穴が穿いている実を3つ確認している。しかし、まるで手が届かない。いつも指を咥えて見るのみ。
クチナシって、生け垣とか丈の低いイメージがあるけど、本来はちゃんとした立派な木なんだね。もしかしたら、都会でよく目にするのは園芸種で大きくならないように品種改良されているのかもしれない。

どうせ今日は暇だ。
この際、周辺をじっくり探してみよう。他にもクチナシの木があるかもしれない。

イワカワシジミは奄美以南に棲息し、蝶好きには人気が高い憧れの美蝶だ。
裏面は日本には他に類を見ない綺麗な翡翠色で、優雅な長い尾っぽを持ち、南国の妖精という言葉がピッタリの可愛らしい蝶だ。

周辺を捜し始めて直ぐ、驚いて頭上に飛び上がった個体に出会った。イワカワさんだ。八重山や沖縄本島で採集済みだし、特徴的な姿なので他と見紛うことはない。
しかし、(^。^;)あらら…。折からの強風に煽られ、飛ばされていってもうた。

もしやと思い、目を転ずれば梔子の樹が目の前にあった。丈も高くなくて手頃な大きさだ。

調べてみると、卵が着いている実(註1)があった。

穿孔がある実(註2)もかなり見つかった。 だが、どれも中身は空なような気がする。内部に生きているモノの気配が感じられない。

立派なクチナシのある民家に戻ると、タイミング良く家のおばーが帰ってきた。事情を説明する。
おばーは、おじーを呼びに行った。
再びおじーに事情を説明したら、わざわざ高枝切りバサミを持ってきてくれた。
親切に感謝なりm(__)m
無事に4つ程良さげな実を落として貰った。

結局、その後イワカワの姿は見れずじまい。
まあ、天気は悪かったが、悪いが故に楽しめたかな。
ケッ( ̄ヘ ̄メ)、明日、こやつとアカボシの♀を絶対シバいてみせるぜよ。

今日も判で押したように居酒屋脇田丸へ。

いつものようにアバスの唐揚げを頼みスタート。
相変わらず、下手な河豚より数段旨い。

二品めは、昨日頼んだ漁師めしをご飯抜きでオーダー。海が時化っぱなしで、魚が入ってこず、黒マグロをふんだんに使ったスペシャルなものになった(490円❗)。完全にトロ鉄火状態。量も多い。

【漁師めし】

次に板さんに薦められたのは、アマミウシノシタ(舌ビラメ)のカルパッチョとグルクン(タカサゴ)の一夜干し。
迷う事なく、タカサゴ❗
カルパッチョって、何か中途半端で信用ならない野郎なような気がしてならない。ホントに美味い魚なら、普通の刺身で勝負せえやι(`ロ´)ノ❗と思うのである。

今日も呑んだくれて、夜は更けてゆく。
生ぬるい南国の夜風が心地よい。

                    つづく

 
(subject)

【イワカワシジミ Artipe eryx okinawana】

(裏面)
(出典『日本産蝶類標準図鑑』。標本はあるけど、探すのが面倒なので図鑑から画像を拝借。)

日本では奄美大島から南、与那国島にまで分布する南方系の蝶だ(現在は屋久島にも生息するが放蝶由来)。
奄美大島のイワカワシジミは亜種にこそなっていないが、かなり特徴的な姿をしている。表の前翅と後翅の亜外縁に白斑列にあらわれるのだ。特に第1化の春型の♀の下翅は顕著で、気品があって美しい。

国外ではインドからインドネシア、中国、台湾などの東洋熱帯区に広く分布する。しかし、日本でも個体数は多くはないが、さらに少なくて珍品とされているようだ。
とはいえ、ラオスとかタイでちょこちょこ採っているから、ホントなのかなと思う。因みに日本のイワカワシジミより遥かにデカイから、とても同種とは思えまへん。

(2014.4.7 Laos oudmxay)

これじゃ、大きさワカランか?
でも、しっぽ(尾突)が長いのは解るかと思う。しかも太くて白いし、白帯の領域も明らかに広い。

他にも画像があった筈だから、探してみる。

(2016.4.28 Laos oudmxay )

この画像なら、大きさも解って戴けるのではないかと思う。とはいっても、蝶好きな人しかワカランか…。

これは同日に採った別個体。天女のように美しいね。
どうやらこの辺(インドシナ半島)のクチナシの実は大きいから、その分だけデカくなるらしい。噂では超バカみたいなデカイ亜種?近縁種?がいるらしい。
意外だったのは、何れも川っぺりに吸水に来た個体だった事だ。そういえば、タイでもそうだった。イワカワが吸水に来るなんて日本ではほとんど聞いたことが無かったから、おおいに驚かされた記憶がある。確か、画像の個体は全て3時以降夕方近くにやって来たような覚えがある。
話は全然逸れるけど、この時はビヤッコイナズマEuthalia byakkoとパタライナズマ Euthalia patalaをひたすら待ってたんだよね(パタラに関しては採集記があるので、興味のある人は探してみてね)。

【イワカワシジミの卵】
イワカワシジミはクチナシの実にしか卵を産まない。
幼虫は葉っぱではなく、実の内部を食べて成長するからだ(実のない時期は蕾や花を食べる)。
普段、我々は生け垣や植え込みとして植えられる事が多い園芸種のクチナシしか目にする機会はない。6月に良い香りのする白い花を咲かせるコレね。

(出典『花図鑑』)

オオヤエクチナシ(英名ガーデニア)という品種らしい。何と実はつけないそうだ。って事は、コヤツではイワカワシジミは飼育できないってことだね。

多分、野性種はこんな感じの花だったかと思う。

(出典『デハ712のデジカメ日記2017』)

野性種の本来のクチナシは意外な程に大きい樹だ。大木になることはないとは思われるが、低木とはいえ、クチナシの概念を改めざるおえないような立派な樹である。少なくとも腰丈くらいの灌木と云うイメージは捨て去るべきだろう。だから、最初に八重山に行った時はクチナシの木を見つけるのにかなり苦労した。まさかそんなにデカい樹とは思わなかったからだ。
何でも人間が自分達の都合のいいように作り変える。そういう事だ。

【そして、その穿穴】
ここに幼虫が食い込み、内部を餌とするのだ。蛹化もこの中で行われる。これは穴が大きいので、既に脱出して蝶になっている可能性が高い。

不思議な事にクチナシならば、どの木でも実がなっていると云うワケではない。実のなる季節も特には決まっていないようだ。
又、実が有ったとしても卵や幼虫が必ずしもいるわけではない。様々な細かい条件が揃わなければならないのだろう。いつも驚かされるのだが、自然界の法則は複雑怪奇である。
もっとも、そんなのは所詮ダーウィニズムを筆頭に人間側からのエゴイストな解釈にしか過ぎないのかもしれない。蝶本人たちにとってはごく当たり前の事で、きっと不思議でも何でもないのだろう。

【漁師めし=スペシャルなめろう】
漁師めしとは、ようするに生の魚を大葉や葱、生姜、胡麻、味噌を加えて細かく叩く『なめろう』の親戚みたいなもの。
海苔が入るところが奄美風だったり、脇田丸風だったりするのかな?

 
追伸
結局、今回はけっこう文章に手を入れた(後に海外でのイワカワシジミの知見も増えたしさ…)。
出来るだけ当時のままを尊重して手を入れないようにしているのだが、元々自分の周りにしか送っていないような文章だっただけに、原文ではかなり説明が割愛されている。そもそも説明が嫌いだし、顔見知りに配信していたからコチラのキャラ知ってるんだから行間読めよ、解んだろ?というスタンスだったのだ。でも、今は不特定多数を相手に配信しているので、そういうワケにもいかないんだよね。
まあ、それが良いのかどうかはワカンナイけど…。
説明の多い文章は、だいたいは駄文だかんね。

『西へ西へ、南へ南へ』12 修行僧成仏

蝶に魅せられた旅人アーカイブス
2012-08-17 23:51

      ー捕虫網の円光ー
     『西へ西へ、南へ南へ』

   (第八番札所その3・修行僧成仏)

走っているうちに、どんどん雨と風が激しくなり始めた。
海岸まで降りれば少しはマシになるかなと思ったが、むしろ悪くなった。怒った白波が暴れている。
修行は終わらない。再び艱難辛苦が訪れた。

暴風雨の中、走る。
前が雨で白く染まっている。
雨をまともに受けて、視界がロクに効かない。さらに進むと、天候はいよいよガンガンに荒れ狂い始めた。
容赦なく降りしきる雨粒が刺すように痛い。強過ぎて本当に痛いのだ。
だからスピードは上げられない。時速30㎞が限界だ。
いつしか、道は川のようになっている。アップダウンの繰り返しが続き、苦痛はどんどん増してゆく。タイヤが水に乗り、時々ハイドロプレーニング現象で滑る。早く帰りたいが、事故るよりかはマシだ。慎重に運転する。
既に、パンツの中まで絶望的にグッショリと濡れている。そのうち、指先かかじかんで感覚も無くなってきた。

男は思った。
何故、こうなることをある程度予測していながら、こんなリスキーな選択をしてるんだろう?と。
蝶が採りたいと云う一心なのだが、馬鹿を通り越して気狂いだ。
ふと頭の中にSM嬢ツボの言葉が浮かぶ。
『貴方はSでもMでもなく、状況によって替わるスイッチャーだ。』と。
自分ではドSだと思っていたし、周りもそう評価しているが、蝶採りのせいで最近は大概のことにも耐えられるようになってきた。未だ、それを楽しむと云う領域にはなっていないが…。
とにかく、ツボの見たてはある意味慧眼だったと云う事なのか?

ようやく知名瀬の村が見えてきた。
村を過ぎればあと少しだ。20分もあれば宿につくだろう。既に寒さで体がガタガタと小刻みに震え始めている。体力と気力が残っているうちに辿り着かねば…。
スミナガシをギリギリで採れた事だけが、辛うじて男の強い支えになっていた。

3時ちょうどに生還した。
靴の中までズブズブ水浸しの全身濡れ鼠で、そのまま風呂に直行。

熱いシャワーを浴び続ける。冷えきって暫くは手の感覚がなかった。

だが、キチガイは天候がやや回復したので、5時前に短パンでらんかん山まで行った。
♀を期待したが、世の中そんなに甘くはない。ボロ♂が一つだけ採れただけ。勿論、リリース。

今日も脇田丸へ。
いつものように、あばす(ハリセンボン)の唐揚げからオーダーした。これで4日連続だ。

海ゴーヤ(390円)なる変な名前のものがあったので、頼んでみる。

見た目はゴーヤというよりも杉の葉。
味は海ブドウに近いが、食感がシャキシャキしている。
食べ方は、海ブドウと同じくドレッシングで食べるのが定番のようだ。しかし、一口食って、店の人にマヨネーズを少し貰うことにした。そこに醤油をかけて混ぜ混ぜしたものをつけて食う。
うん、これやd=(^o^)=b❗
これが海ブドウを食うときの一番好きな食い方なのだから、正解に決まっているのら。

お次はコブシメ(イカ)の刺身(390円)。
肉厚で甘みが強い。塩とスダチを所望して試してみたら、更に絶品❗❗
これで390円って、信じられんよなあ。
あっ、写メ撮るの忘れた。あまりにも美味そうだったので、完全にそっちに気持ちがいってた。

魚(キハダマグロ)ホルモンの煮物(390円)。

珍味。
七味唐辛子をかけて御賞味をとの事。

胃袋は完全に肉のモツ。この食感は、黙って出されたら何の疑いもなく肉だと思って食ってるだろう。
肝は少し苦味があって、これが中々に良いのだ。黒糖焼酎とバッチシ合うんだよね。

今日も痛飲。
本日のお代は、1960円でした。奇跡の居酒屋だな。

外に出たら、再び雨が強くなっていた。

                つづく

P・S
因みに誤解されない為に言っておきますが、ワタクシ、残念ながら一度もSMクラブには行ったことがありません。
ツボと云う人は、前の店(ショット🍸バー)のお客さんでした。デブだが、痩せたらさもありなんと云う美人だろうという顔立ちで、頭も勘もいい女性でした。デブ專のことはよくワカンナイけど、その筋には極上の女だったんじゃないのかなあ…。
考えてみれば、前の店のお客さんはバラエティーに富んでいて、面白い人が多かったんだなと改めて思いますね。
今の店もそうなればなあと思って居ります。

ええと、アーカイブスならではの補足です。
自分は当時男性の約8割がマゾヒストで2割がサディストだという持論を持っていたが、ツボによると男性の約7割はマゾで2割がサド。1割がスイッチャーだということだ。仕事でやってたんだから、この彼女なりのリサーチの結果は、ほぼ間違いないのだろう。だって来るお客は、偽る必要のない真性のMとかSなんだから。
彼女には訊かなかったけど、多分女性はこのスイッチャーの割合が男性よりも断然多いんじゃないのかなあ。