続・小女子の季節

 

以前に新子(いかなご・こうなご)の事は書いたが、その後も見つけては、ちょこちょこ買っている。
なぜなら、来年は口に入るかどうかわからないからだ。
ここ何年間で、シャレにならんくらいに新子が激減している。大阪湾などは、今年はあまりの少なさに漁の解禁後、たった三日で禁漁になったという。
そうなると、当然の事ながら値段も吊り上がってくる。見たなかで最高額は1パック七百円だった。5年前ならば百円だったから、スゴい暴騰振りだ。
そういうワケだから、食える時に食っておこうと云う算段なのである。
とはいえ、モノが良くて税別300円以下じゃないと買わない。その辺が限界値だ。見てると、平均は250円くらいかな。

  

 

 

 
基本は、何もつけずにそのまま食べることにしている。
新子そのものを味わいたいからだ。特に出始めのまだ小さい時期は、そうしてる。柔らかくて味が繊細なのだ。
勿論、手を加えても旨いけど、手を加えれば加えるほど、普通のしらす干しに近づくと思うのだ。それって何だか勿体無いようね気がするんだよね。
しかし、新子の成長が進み、大きくなるにつれて手を加える頻度が高くなる。柔らかさと繊細さが失われ、苦みも強くなるのだ。

 

 
最初に並べた写真と比べて少し大きくなっている。
コレは山椒と白胡麻をかけてみた。
けっこう旨い。

そのまま食うのに飽きたら、一番つくるのがコレ↙

 

 
新子に塩とエキストラ・ヴァージンオイルをかけただけのものだ。お好みで醤油をタラッと垂らしても良い。
これが実に美味いんだなあ( ☆∀☆)
酒のツマミのエントリーによく作る。当然、パスタにも合うが、意外な事に白御飯とも合う。って云うか、メッチャ美味いねん(*´∀`)

 

 
コレ、何だっけ❓
おそらく、刻んだ大葉と白胡麻のカップリングかな。
まあ、皆さんの御想像通りの味です。失敗の無い組み合わせだすな。

 
勿論、定番の大根おろしあえにもした。

 

 
取り敢えず、新子と大根おろしのみで食べてみた。
しかし、大根おろしがあまり辛くなかったので醤油をかけてみる。

 

 
コレはコレで、普通にとても旨い。
けんど、やっぱ辛みが欲しい。

 

 
と云うワケで、一味を振りかけた。
よし、んなもんじゃろう。想定内の旨さになった。
酒のアテにもいいが、コレは御飯にかけて食っても旨い。

段々飽きてきて、さらに踏み込んだモノをつくる。

 

 
なめこおろしに乗っけてみた。
醤油は❓とツッコまれそうだけど、写真を撮ったあとにちゃんと醤油をかけて食いましたよん。

旨い。旨いけどさー、この配分だと圧倒的にナメコが主役だよなあ(笑)。
今度は逆ヴァージョンにしてみたろっと。
あ〰、でもナメコの個性って強いから、配分がフィフティ・フィフティだと新子が負けそうだにゃあー。

おっ、そうだそうだ。そういえば、ちょっと前のTVで誰かが言ってたけど、しらすと大根おろしの組み合わせは❌らしい。
『ワレ(#`皿´)、何でやねん❗❓オドレ、非国民かっ❗シバクど、ワレ!』と、思わず義憤に駆られてTVにツッコんだわい。
でも、コレは味の話ではなく、栄養面での話しらしい。この組み合わせだと、何かは忘れたけど重要な栄養素がブッ壊れるらしい。
だからといって、シラスおろしを食わなくなる奴がいたとしたら、ツマンねぇー奴だなーと思う。
アタシの周りにもいるんだよねぇ~、そういう人……。

 
最近は新子もだいぶと大きくなってきた。

 

 
翌日はコレを使って絶品パスタにしただすよ。
でも疲れたから、それに関しては後日また書きます。

そろそろ、新子の季節も終わりかなあ……。
 

 
                  おしまい

 
追伸
よろしければ、前編も読んで下され。

 
小女子の季節

 

小女子の季節

  
新子の季節がやって来た。

 
表題をよほど「新子の季節」にしようかとも思ったが、新子にしてしまうと関東では別な魚のことになるから諦めた。
関東で新子といえば、寿司ネタの小肌(こはだ)の更に小さい奴のことを言う。
因みにコハダはコノシロのことだ。出世魚の一つで、その大きさによって名前が変わる。

小女子は「こうなご」と読む。関東ではイカナゴの稚魚のことをそう呼んでいるようだ。
関西では、この稚魚のことをイカナゴとか新子と呼んでいる。神戸方面の人たちは、これを甘辛く煮たものを「イカナゴの釘煮」と呼んで、偏愛している。
成魚のことは、関西ではカマスゴやカナクギと呼ぶ。他の地方では、それぞれまた違う呼び方がされているみたいだから、まことにややこしい。
この魚介類の名前の乱立に関しては、時々ウンザリする。混乱を引き起こすだけなんだから、いっそのこと統一しろよなと思う。でも、実際に統一されてしまえば、何だか味気なくなるだろう。何でもかんでも整理してしまえばよいと云うものでもない。多様性のない世界は無味乾燥な世界でもあるのだ。
しょっちゅう、蝶の名前の乱立で文句を言ってるオイラだが、それとコレとは違う。アタクシ、魚介類の名前の乱立は容認します❗

前置きが長過ぎた。本題に入ろう。

五日ほど前に新子の走りを見つけた。
400円足らずと、ちと高い。けど、一点しか売ってなかったし、即飛びついた。
この季節の新子が、こんまくて一番美味いのである。

冒頭の写真を見てもらいたい。
こんなの、どんな網で獲ってるんだ?と思うくらいに、とにかく小さい。
コヤツには最初は何も手を加えず、そのまま食うことをお薦めする。はんなりした柔らかさで苦味が少なく、繊細な味で、誠に美味いんである。

 
第二投は、大根おろしあえ。

 

 
もちろん大根おろしは辛味大根か、普通の大根を皮ごと擦りおろす。辛くない大根は認めない。

半分は、そのまま食う。
そして、飽きてきたら醤油をかける。

 

 
醤油をかけたものは、炊きたて熱々の白い御飯に乗っけて食うのも、いと旨しである。

余談だが、しらすと大根おろしの食い合わせはヨロシクないらしい。しらすには体の成長に関係する必須アミノ酸のリジンが含まれてるんだけど、大根にはこのリジンの吸収を阻害する物質が含まれているらしい。
とはいえ、一方では大根にはしらす干しに含まれているカリウムやカルシウムの吸収を活発にするビタミンCも含まれているそうだ。
この矛盾を解消するためには、お酢をかければ解決するらしい。
(#`皿´)ッタラー❗❗
ゴメン、悪いけどシラスおろしにそんなことは一生涯しないと思う。

 
第三投は、オリーブオイルあえ。

 

 
エキストラ・ヴァージンオイルをチャラっとかけて、混ぜるだけ。
味見をして薄いと思ったら、塩をチョイ足されたし。

これは酒の肴のエントリーに相応しい。ビール、日本酒、焼酎、白ワイン、酒なら大概のものなら合う。

 
一昨日も別なスーパーで見つけたので、即買い。
今度は二点しか売ってなかった。このサイズのものは入荷が少ないのだ。後述するが、瀬戸内辺りではまだ漁獲が解禁されていないのでありんす。

 
今回も先ずは何も加えずに食う。

 

 
そして、第二投も何も加えずに食う。
今さらながら、それが一番美味いと思い出したのだ。
しかも出回る時期はごく短い。季節の刹那をシンプルに味わうとしよう。あれこれするのは、後に出てくるもっと大きなサイズの時にいくらでも出来る。

 

 
奥さん、もしこの小さい新子を見つけたら、迷わず買いですぞ(*`Д´)ノ!!!
身悶えしながら、春の刹那の味覚を堪能されたし。

とはいえ、解禁後に出回るであろう新子でさえも簡単には口に入らないかもしれない。
去年、一昨年と瀬戸内海での漁獲が激減しているんだそうである。他の地方でもそうみたい。
乱獲や生息環境の悪化および海砂の採集による生育適地の破壊などが原因らしい。乱獲に拍車が掛かっているのは、TVのせいで全国的にその旨さが認知されたのもあるだろう。
だから、伊勢湾や瀬戸内海では年ごとに生育度合いや推定資源量を調査し、その年の漁獲量を決定しているそうだ。
明石辺りでは数日前に既に調査が終了していて、去年、一昨年並みらしい。それで漁期を決めるらしい。
つまり、今年も不漁が予測される。

今年の神戸方面の新子の解禁は3月5日(火)だそう。
中々、今年は口に入りそうもないけど、このニュースが入ってくると、いよいよ春の訪れだなと思う。

 
                 おしまい

 

新子(いかなご)

 

 
毎年、春先に楽しみにしている旬の食材のひとつが釜あげ新子である。
新子(シンコ)といえば、関東だと真っ先に浮かぶのはコバダの幼魚のことであろうが、関西ではいかなごの幼魚のことをそう呼ぶのが普通なのだ。
因みに関東など東日本ではこの新子のことを「小女子(こうなご)」と呼んでいる。

因みに成魚は、こんな感じ。

 
(出展『大阪市水産物卸協同組合』)

 
関西では、いかなごよりも「かますご」と呼ばれる事が多い。
炙って、酢醤油で食うと旨いんだよねー。

 
新子は神戸人がこよなく愛する「くぎ煮」の原材料でもある。

 
【釘煮】

 
名前の由来は、形が「くの字」に曲がった古釘みたいだからだと言われちょります。

 

ご飯に乗っけて食うと旨いよね(^_^)v
普段は、甘いから佃煮なんか殆んど食わないけど、コレだけは別格の代物なのだ。

でも、その釘煮もここ数年は新子の漁獲量が激減しているようで、もはや庶民の味では無くなりつつある。
去年は特別少なかった印象があるが、どうやら今年はもっと酷いことになるのではと云う噂があった。
だからスーパーで売っていたら、極力つとめて買うようにしていた。

 

 
そのまま食う事が多いが、飽きたらオリーブオイル+塩少々で食います。コレが辛口の白ワインにメチャクチャ合うのだ。

 

 
しかし、今年はたったこんだけの回数しか食えなかった。
なぜなら、スーパーでもあまり見かけなかったのである。しかも、あったとしても値段が2、3年前と比べて倍以上もする。1パックで400円ともなると、流石に買えない。

何でこないな事態になったのかというと、まあ毎度お決まりの理由である。
乱獲や生息環境の悪化だね。護岸などで生息地が破壊されたり、海砂の採取が大きな影響を与えているという。西日本、特に瀬戸内海では、この海砂の採取が激減の理由だと言われているようだ。
いかなごは元々北方系統の魚で、西日本では暑い季節になると砂に潜って夏眠するのだが、その環境そのものが破壊されれば、魚が減るのも当然である。
えー、何で海砂なんか採取するのかというと、瀬戸内海の海砂がコンクリートの骨材に適してるんだとさ。

しかし、居酒屋の兄さんの話だと、乱獲の方がもっと深刻な減少原因になっているらしい。
そもそも瀬戸内に面した所以外では、あまり新子を食う習慣がなかったのだが、ここ数年、繰り返し全国ネットで新子(いかなご)の事が取り上げられる事により高値で取り引きされるようになったらしい。で、儲かるからと漁師が獲りまくっているという。

環境破壊にしろ、乱獲にしろ結局は人間のせいなのだ。生き物を守れとは言いつつも、常に経済活動が優先されるのである。特に行政なんかは本音と建前が酷い。

あっ、何だかまた話が逸れた。
話が怒り心頭、更に飛躍しそうなので、これくらいにしときます。

来年は、もっと食えなくなるんだろなあ…。
サンマといいイカといい、何だか最近はこんなことばっかだよね。

                  おしまい

 
追伸
新子がスーパーで見掛けなくなってきたメカニズム。

新子の浜値が高くなると、スーパーも仕入れがしにくくなる。高いと売れ残りやすいのだ。おまけに新子は足が早い魚なので、廃棄ロスが大きい。そのリスクを避けたいが為、スーパーは仕入れを控える=店頭に並ばないと云う図式になると云うワケなんだな。
(# ̄З ̄)ったくよー。