2017′ 麺の亡霊たち(チャイニーズゴースト編)

 
成仏できずにいる麺の亡霊どもがウヨウヨいる。
ブログに書こうと思って、結局書かなかった為に残された画像たちだ。やがて記憶からも消されてゆく。

 

 
例えば、これなどは出自が全然わからない。作った記憶も食べた記憶も1ミリたりとも有りはしないのだ。だから何味なのかもワカラナイ。味噌や豚骨じゃないにしても、塩?醤油?どっち?下手したら、それとも違う煮物とかの残り汁だって有り得る。

そんな亡霊のような麺たちを成仏させる為に、ここで一挙に画像を放出し、供養しようと思う。
先ずは2017年の中華麺部門。それにしても2017年とは古いね~(^_^;)

 
【カドヤ食堂 中華そば】

 
大阪の有名店のスープ付乾麺である。大阪で中華そばといえばここだろう。シンプルで、とても美味い。たまに食べたくなって、自分には珍しく行列に並ぶ。
何処かのスーパーで、この乾麺を売っているのを見掛けたことがあるけれど、これはお店に食べに行った時に売ってたので、ついでに買った。

 

 
具は玉子、ネギ、キクラゲみたいだね。
旨いラーメン屋の監修モノだから、そこそこ満足した記憶がある。

 
【ざる拉麺】

 
「北陸 夏の風物詩」とあるから、北陸の製麺所のものだろう。北陸ではポピュラーなの❓
買った記憶が微かにある。安かったと思う。

 

 
薬味はネギ、白胡麻、ワサビだね。
つるつるの麺だったように思う。

 

 
2食目は肉のせヴァージョン。
ショルダーベーコンっぽい。でも画像を拡大してみたら、あらまの鴨の燻製だったよ。鴨の燻製は冷たい麺によく合いますな。

 

 
たぶん面倒くさくなって、ぶっかけにしたに違いない。味は全然覚えてないけど、何か旨そうだなあ。

 
【牛肉牛蒡ラーメン】

 
ゴボウにコンニャクと牛肉らしきものが乗っかってる。たぶん煮物系の残り物とその汁をアレンジしたのだろう。こういう場合は煮汁をそのまま使えないので、薄めたり何らかを加えたりして調整してます。
それにしても、何じゃこりゃラーメンだな(笑)。こんなラーメンを出す店は、ソッコーつぶれるぜ。

 
【❓】

 
挽き肉のせのラーメンとしかワカラナイ。何味なのかもワカンナイ。でも旨そう。

 
【天ぷらラーメン】

 
天ぷら蕎麦や天ぷら饂飩があって、なぜ天ぷらラーメンが無いのだ❓
そんな疑問からつくったもの。

 

 
コレはあとでもう1個イカ天らしき具を足したんだね。たぶん最初の1枚を撮ってから、ついでにエイ!とばかりに乗せたんだね。

えー、食ってみて得心。天ぷらラーメンが世の中で流行らない理由が何となく解りました。マズいとまでは言わないけど、味がボケてて思った程には美味しくないんである。ハッキリ言って、天ぷら饂飩や天ぷら蕎麦の方が遥かに旨い。たぶん天ぷらとラーメンスープとの相性はベストではないのだろう。考えてみれば、ラーメン屋の店主の多くがこの組合せを試さない筈はない。それでも見掛けないのは、結果、発売を断念したからに相違ない。蕎麦や饂飩の汁の方が圧倒的に相性が良いんだから、無理にラーメンと合体させる必要性は無いって事だね。因みにイカ天もダメ。饂飩の方が圧倒的に合ってる。

 
【秋田製麺所 白ごま担々麺】

 
秋田って、担々麺が人気あんのかな?
まあ、どうでもいいけど。

 

 
担々麺は好き。
そこそこ旨かったような気がするなあ…。担々麺で激マズって、あんま無いでしょう。

 
【冷し酢橘ラーメン】

 
スダチの季節ならではのチャレンジ。
出汁は和だったと思う。ラーメン系のスープにする勇気が無かったのだ。

コレは爽やかな酸味があって旨かったのを覚えている。残暑の時期には最高の麺です。すだちを切って並べるだけなので、作られることをお薦めします。

 
【鶏ラーメン】

 
麺は広島の熟成生麺のようだ。
隠れてて見えないけど、何とかつゆとある。つゆって何だ?何でラーメンなのにつゆなのだ。

 

 
細麺だね。
スープは謎。醤油や塩ではない事は確かだけど…。
いや、半額シールに隠れてはいるが、よく見るとコレって「つゆ」ではなくて「しょうゆ」じゃねえか?
となると、左の文字は「とんこつ」?つまり豚骨醤油なんじゃねーの。麺しか入ってないと見えたが、スープ付だったのか…。

 
【青椒肉絲拉麺】

 
たぶん、青椒肉絲の残りを乗っけたんだろね。何でも有りかよ、オイラ(笑)。
と書いたところで、筆が止まる。タケノコと肉は入っているようだけど、ピーマンとおぼしきものはよく見ると葱だ。謎である。母体は何なんだ?
味は、微かだが旨かったような記憶がある。

 
【創作麺工房 鳴龍 担々麺】

 
日清の「一度は食べてみたかった日本の名店」シリーズの一つだね。
「鳴龍」はミシュラン1つ星を獲得している東京の人気店みたい。丸鶏、牛、牡蠣の清湯スープで後がけ芝麻醤とある。如何にも旨そうな惹句だ。今でも珠に売っているのを見るので、人気があるのだろう。

コレ、二杯連続で食ったんじゃないかな❓
それくらい旨かったって事か?それとも単にムチャクチャ腹へってたとか?どっちにせよ、アホだ。

 
【日清 台湾まぜそば】

 
これ又、日清だ。
名古屋発とある。そうだ、たしか台湾まぜそばブームは名古屋から火が点いたんだよね。

 

 
ふ~ん、レンジでチンするタイプだったんだ。

 

 
そこそこ旨かった記憶があるが、量が少ないと思った。パスタにしろ、こういうレンチンタイプのものは量が少ないような気がする。あんまし多くは食べた事ないけど…。

 
【台湾まぜそば その2】

 
添付の魚粉を掛け忘れている。

 

 
一方、コッチは卵を入れ忘れている。

 

 
コレ又、日清のもの。この時期の日清食品のイチオシは台湾まぜそばだったのかな?
小さく「麺屋こころ」監修とあるね。この店は東京を拠点にした台湾まぜそばのチェーン店。大阪の大国町にも支店がある。行ったこと無いけど…。
これはかなり旨かったような記憶がある。この時から既に2年くらい経ってるけど、台湾まぜそばって、ジャンルとして生き残れているのかな?2年って、ブームの目安だと思う。今年辺りが完全に定着するか消えてゆくかの正念場であり、分水嶺だろう。

そういえば、台湾で台湾まぜそばは食ってないなあ。見た記憶もない。はたして台湾には台湾まぜそばってあるのかね?料理名に国名や地方名がついてても現地に行ったら無いものって、意外とあるんだよね。例えばナボリには存在しないスパゲッティ・ナポリタンとかさ。もしかしたら台湾には台湾まぜそばなんか無くて、名古屋が発祥だったりして…。
台湾の台湾そばについて、一瞬調べかけたが、やめとく。考えてみれば、そんな事どっちでもいいからだ。

  
【ケンミン 四川風汁なし担々麺】

 
ケンミンといえば、焼ビーフンだが、こういうのも作ってるのね。

 

 
コレ、ちょっと思い出した。
台湾まぜそばの魚粉を1回分使い忘れたので、コレに掛けたんだったと思う。旨かったような気がする。

 
【マルちゃん 黒とんこつ】

 
豚骨ラーメンって、あんま食べないけど旨かった記憶あり。いや、あんま食べないからこそ、逆に覚えているのかもしれない。
豚骨ラーメンは嫌いじゃないけど、一度どっかのラーメン屋で食べたら物凄く獣臭かったので、それ以来敬遠しがちになった。豚骨ラーメンは麺が細いと云うのもある。ワタクシ、太麺派なのです。

 
【飛騨高山 鶏白湯ラーメン】

 
「スーパー玉出」で買ったものだ。
何でわかるのかというと、スーパー玉出でしか売っているのを見たことが無いからだ。値段も1袋100円くらいだったんじゃないかな?

 

 
排骨(パイコー)麺?
骨付きの豚肉とパクチーが乗ってるね。そこそこ旨かったんじゃないか?
毎度こんな感じの解説でスマン。

 

 
コレもどうやら「高山ラーメン」みたいだ。
高山ラーメンって、そこそこ有名だけど、どんなラーメンだったっけ?これといった特徴ってあったかな?あまり記憶に無いんだよね。醤油ベースで、縮れ麺だったような気がするけど、たいして旨くなかったと思う。一時期、しょっちゅう飛騨高山に行ってたのに、1、2回くらいしか食べてないということは、どって事ない御当地ラーメンだと判断したんだろうなあ…。

 
【麻婆豆腐ラーメン】

 
どうせ残りモノの麻婆豆腐をブッ掛けたんじゃろう。
家で作るラーメンなんて、何だって有りだ。好きに色々と実験すればよいと云うスタンスなのだ。
麻婆豆腐はオラが作ったものだから、コヤツはそこそこ旨かった筈。

 

 
麺はこれ又、スーパー玉出で売っているヤツだね。激安の麺で、30円くらい。値段に見合ったクオリティーの、どって事ない麺です。でもわりと食べる機会がある。何でかっていうと、スーパー玉出は千円以上の買い物をすると、このシリーズの麺が1円になる日があるのだ。そういう日に千円を越える買い物をした場合、つい買ってしまう。

 
【長崎ちゃんぽん】

 
長崎ちゃんぽんは大好き。
コレは間違いなく旨かったと思う。
具は茹で玉子に海老、イカ、豚肉、キャベツ、もやし、人参、絹さや、キクラゲってとこかな?麺もストレートの太麺。ちゃんと王道に則った長崎ちゃんぽんだね。麺はアタシのマイフェバリット麺だった筈。

 

 
「マルちゃん 極太中華麺」。
ワタクシのイチ押しの麺です。近所のスーパー、コーヨーで売ってる。たぶんイオングループの店なら何処でも売ってる筈。
自分でラーメンを作る時は、この麺が常に第一候補の選択。モチモチした食感が気に入っているのだ。

 
【わかめラーメン❓】

 
いや、違うな。
たぶんベースは若竹煮。それで思い出してきた。朝掘りの筍をイチから茹でて作った我ながら完璧の若竹煮だったから、それをベースにしたスープが不味いワケがない。それに麺は「マルちゃん 極太中華麺」だろう。旨かったのは間違いなかろう。

 
【❓】

 
コレも何だか分からぬ。
ぞんざいな盛りつけだから、残り物でテキトーにつくったに違いない。

 
【鱧の子ラーメン】

 
魚卵らしきものが乗っかってて、山椒が振られているので鱧の子で間違いなかろう。鱈子に山椒の組合せは、自分的には無いからだ。当然ベースは鱧だしだろうから、不味いワケがない筈。鱧の出汁は、旨みと上品さが具わった一級品の出汁だと思う。茹で汁を捨てるのは勿体ないだすよ。

 
【カレーラーメン❓】

 
全く記憶に無い。
次のもカレーラーメンっぽいな。
その時点で味云々を言えるワケないよね。

 

 
具はジャガイモにオクラ、キノコだから、間違いなくカレーラーメンじゃろう。カレーにはジャガイモがマストアイテムだが、オクラとの相性も抜群だ。たぶんそこそこ旨かったろう。だろう系のコメントばかりで疲れてきた。何だか情けないし、読んでる人に申し訳なくなってきたよ。

 

 
麺は焼きそばの麺を代用したみたいだね。これもスーパー玉出の激安麺ですな。

 

 
コイツもカレーラーメンだよな。
カレーラーメンは好きだが、イチから自分で作るという事は無い。そういう発想がそもそも無い。どうしてもカレーラーメンが食べたきゃ、外で食う。ということは、どう考えても家で作ったカレーライスのなれの果てである。
カレーは気分で作るから、決まった一定のレシピは無い。だから、メチャクチャ旨い時もあるが、今イチな時もある。きっと、この並んだカレーラーメンも甲乙があると思う。

 
【韓国冷麺】

 
「ポリ麺」って、何だ❓
スープの裏面を見ると、どうやら本場韓国のものみたいだね。でも買った記憶が皆無だ。こんなの何処で売ってたんだろ❓ポピュラーな所で売ってたら、少しは記憶にある筈だもんな。たぶん偶然入った店で、たまたま目に入って買ったんだろう。

でも本格的な冷麺で、旨かった事だけは覚えている。
冷麺は冷し中華よりも韓国冷麺の方が好き。あのゴムのような食感が好きなのだ。

 
【天天有のラーメン】

 
アイランド食品の銘店伝説シリーズだ。
現在も売ってるよね。

「天天有」は京都の有名店。鶏ガラ白湯の草分け的存在だ。このシリーズには同じ京都の有名店「新福菜館」もある。真っ黒なスープが有名だ。しかし、オイラは隣の「第一旭」派。新福菜館も嫌いじゃないが、同じ長さの行列なら、間違いなく第一旭を選ぶ。

コレもか❓⬇

 

 
記憶にございません。

 
【蟹かまラーメン】

 
コイツは記憶にある。
ナゼかっつーと、不味かったからだ。

蟹をゆがいたあとのエキス汁があったので、それを母体にして調整した。で、具は蟹本体は既に食って無いから蟹カマで代用したと云うワケだ。でも、これが合うと思いきや、まるで合わなかった。蟹カマと蟹は全く違うモノだと痛感した。かえって、紛(まが)い物感が際立ってしまうのである。

  
【未来亭のラーメン】

 
コレもアイランド食品の銘点伝説シリーズで、今でも見掛ける。
未来亭は滋賀を中心とした有名チェーン店だね。だが、一度も店に入った事は無い。
さっきスーパーに行ってきたので、ついでに確認したら、鶏だしベースの背脂チャッチャッ系で一味が入るのが特徴らしい。
しかし、全然味の記憶が無い。と云うことは、不味くはないという事だ。でも特別に旨いワケでもないということか❓
いや、待てよ。このシリーズって結構食べてるけど、期待していた程ではなかったという感想を思い出した。名店シリーズって、だいたいそんなもんだよね。唸るほど美味いなんてことは滅多にない。強いていえば、中では日清がそこそこ健闘しているのではないかなと思う。日清に今のところハズレなし。

全部で44杯か…。この数字が日本人が食う年間ラーメン数の平均を上回るのか、それとも下回るのか、はたまた平均なのかはワカラナイ。
でも、この数字には外で食ったラーメンの数は入ってないし、カップ麺の数も入れてないんだよね。

今回、解ったこと。

◆人間の記憶は曖昧である。

◆ワタクシはラーメンが好きだ。

 
                  おしまい

 
追伸
酷い終わり方である。明らかに投げ出した感がある。
そうそう面白い記事ばかりを書けるものではないのだ。

タイトルを決めた時点では、よほど各ラーメンを中国の幽霊や妖怪になぞらえてやろうかとも思ったが、あまりにもマニアック過ぎるのでやめた。だいち、中国の妖怪って何❓全然浮かばないよ。そもそも中国に幽霊や妖怪がいるのかね❓あっ、キョンシーがいるか。でも、他に何かいたっけ❓
ただでさえ、ラーメンと幽霊&妖怪というマニアックなカップリングで無理があるのに、そこに誰も知らないような幽霊やら妖怪を登場させるだなんて、いくらアチキがおバカさんでもダメだと解るよ。

携帯のストレージが溢れかけているので、画像を出来るだけ消したかった。ゆえに今後、和の麺やアジア系の麺も続々と紹介する予定でゲス。

 

2019年 正月の献立 三日目

 
いよいよ三が日の献立シリーズもお終いである。
今回は昼と夜とを分けずに一挙にいく。書き飽きたというのもあるが、昼間っから夜中までダラダラ飲み続けてもいたのである。

 
【鯛のちらし寿司】

 
正月2日目の大トロちらし寿司に続いての豪華ちらし寿司である。そして、遅ればせながらいよいよ縁起物の王者、鯛様の登場である。
とはいえ、満を持しての真打ち登場ってワケではない。鯛の登場が遅れたのには理由がある。
正月の鯛といえば、めでたいに掛けた尾頭付きの『にらみ鯛』が筆頭だが、御祝儀相場か何だか知んないけど、値段がバカ高くて手が出なかったのである。だったら、自分で焼いてやろうじゃないかと思ったが、肝腎の生の尾頭付きの鯛が全く売ってない。そりゃそうだわな。最も需要のあるこの時期、みんな既に焼かれとるわ。
そんなワケで3日目にして値段が落ち着いてきた柵の刺身を購入。柳刃庖丁で削ぎ切りにする。
昨日は岩下の新生姜を使ったアグレッシブな酢めしだったが、今回は普通の酢めし。錦糸玉子をつくり、酢飯の上をおおって、鯛を乗っける。で、白ゴマと貝割れを散らして出来上がり。器は大トロちらしと同じく古伊万里。
我ながら夢のように美しいね。そして、勿論のこと誠に美味い。

そして、酒バカの一日が始まる。

 
【紅白なます柚子ヴァージョン】

 
正月に登場した紅白なますに柚子を加えてみた。
味が劇的に変わるのに自分でも驚く。香りが加わると全然別物になる。柚子って個性強いわ。慌てて少し間引く。柚子の量は控えめがよろし。

 
【祝い三色蒲鉾】

 
正月になると、蒲鉾が大量に出回る。しかも、突然高級化してバカ高くなる。普段は百円から二百円くらいなのに、そいつらは何処かに幽閉され、仰々しいのが出てきてズラリと並ぶ。値段は下は四百円くらいから、高いのになると千円を越えてくる。あたしゃ、ここにカマボコ業界の陰謀と闇を感じるね。
写真の蒲鉾は漸く探し出した¥198の三色蒲鉾。紅白の蒲鉾とどちらにするか迷ったが、より目出度そうなので三色を選んだ。
紅白などの蒲鉾が正月の縁起物に使われるのは、半月の形が元旦の日の出を表しているからである。何で紅白が縁起物として喜ばれるかというと、赤は目出度いとか慶びを表し、魔除けの意味も籠められている。一方、白は神聖や清浄を表していると言われている。
緑は、たぶん「芽吹き」の意味だろう。つまり春の訪れを表しているんだね。

食べ方は板ワサと同じ。醤油にワサビを溶いて戴く。
正月であろうと何であろうと、カマボコはカマボコ。味は同じである。

 
【手綱こんにゃく】

 
結び蒟蒻とも呼ばれる縁起物。
手綱は馬を御するもので「手綱を締める」などに使われるように心を引き締めるとか、今一度結束力を確かめるといった意味あいで用いられる。つまり武運長久の願いが籠められている。また結び目のある事から、縁をとりなす意味もある。結び蒟蒻も同じ意味で、縁を結ぶといったところだろうか。
短冊に切った蒟蒻の真ん中にスリットを入れ、そのスリットに片方の端を捩じ込んだらこんな形になる。
あとは唐辛子を入れて甘辛く炊けばよろし。

 
【大根の皮の漬け物】

 
これはおでんを作った時に厚めに向いた皮と茎の部分を混ぜて作った自家製。大根は捨てる所が無いのである。勿体ないの精神は大切というオイラ風の縁起物ってとこかな。
ビニール袋に材料と塩、昆布の顆粒だしの素を入れて揉み揉みするだけ。お好みで鷹の爪とかレモン汁なんかを入れてもよし。
30分後くらいから食べられるが、一晩くらいおいた方がベターだす。

 
【サル海老の塩茹で】

 
サル海老には多くの地方名があり、関西ではジャコエビ、またはトビアラと呼ばれる事が多い。
サル海老にしてはかなり大きめで、値段は三百円くらいだった。元旦はムキエビなんぞで誤魔化したと云うのもあるから、迷わず買った。

キョエッΣ(゜Д゜)❗❗(゜ロ゜ノ)ノ
ラップを破ったら、海老どもが勢いよく飛び出してきて、そこいらでピョンピョン跳ね上がり、メチャメチャびっくりした。まさか生きているとは思わなかったから、相当驚いたよ。

申しワケないと思いつつ、グラグラと煮え立つ塩入りの熱湯に生きたままザバーッとブチ込む。
Ψ( ̄∇ ̄)Ψケケケケ、お主も悪よのぉー、残酷海老殺地獄の釜ぐらじゃよ。
20~30秒ほど茹でて、火を切り余熱で火を通す。

海老は髭が長くて腰が曲がるので、長寿を祈願した縁起物である。腰が曲がるまで長生きしてねと云う意味が籠められている。

まだほんのりと温もりが残るうちに、それを手掴みでワッシ、ワッシと食う。
(⌒‐⌒)甘みがあって美味い。
この海老を食うと、必ずイスタンブールのガラタ橋のことを思い出す。夕暮れになると、どこのレストランのテーブルもこの海老を山積みにした皿だらけになってたっけ…。秋のイスタンブールの少し冷んやりとした空気が懐かしい。

 
【塩煎り零余子(むかご)】

 
零余子とは山芋の茎が肥大化した肉芽のことだ。種みたいなもので、土に植えると芽が出る。縁起物とされるのは、その辺りに理由があると思われる。
旬は10~11月だが、存在は忘れてて冷蔵庫の底で眠っておったのである。
一瞬、むかご御飯にでもしようかと思ったのだが、塩と少量の胡麻油とで煎ることにした。
(^_^)乙である。渋い大人の酒のツマミは、こうでなくちゃいかんね。

 
【霜降り帆立て貝】

 
ここまでビールで喉を潤し、冷酒、焼酎と進んできたが、この辺りからワインに突入。縁起物もへったくれもなくなってくる。

帆立て貝は、サッと熱湯に潜らせる(有れば酒の方が臭みがとれていいかも)。
狙いはある程度火を通すことによって、帆立の甘みを引き出すためである。
食べる時は塩でも柚子胡椒でも山葵醤油でもよろし。だが、今回はハラペーニョ醤油で食した。ハラペーニョ醤油とは、激辛青唐辛子であるハラペーニョを刻んで醤油に漬け込んだものである。これがピリリとエッジが効いてて嵌まるんである。

 
【白葱のコンソメ煮】

 
網で白葱を焦げ目がつくまで焼き、コンソメスープでトロトロになるまで炊いたもの。
これがシンプルだが意外な程に旨い。白ワインにも合う。葱の甘みが際立つのだ。

 
【ボローニャ・ソーセージ】

 
ぶっといソーセージであるボローニャ・ソーセージを薄切りにしたものだ。よくビア・ソーセージなんて名前でも売っている。とはいえ、まあ酒なら何にだって合うツマミだ。黒胡椒を挽いてやると、エッジが立ってより旨くなる。

 
【モルタデッラ】

 
モルタデッラとは、イタリア・ボローニャ地方伝統のハムの事である。
あれっ?、それってさっきのボローニャ・ソーセージと同じボローニャがついてんじゃん!どう違うの?と訝る向きもあるだろう。
えー、モルタデッラはボローニャ・ソーセージの事です。つまり呼び方が違うだけで、基本的にはどっちも同じボローニャ・ソーセージなのだ。
だが、日本で売られているボローニャ・ソーセージとイタリア本国のものとは製法が違う。日本のものは、基本的に肉の練りが少ないらしい。だから、イタリアに近い製法で作ったものを、あえてモルタデッラと呼んでいるのだろう。断面を見れば、その辺は理解してもらえるだろう。全然違うもんね。
イタリア本国でモルタデッラを食った事はないが、輸入物や日本でモルタデッラと称しているものは、だいたい中にピスタチオだのパプリカだのグリーンペッパーだのが入っている事が多い。これがもう別物と言ってもいい代物で、味が全然違う。勿論、モルタデッラの方が美味い。舌に感じる滑らかさに雲泥の差があるのだ。
最近、気に入ってるのは大山ハムのモルタデッラ。
イオンとかでも売ってるから、値引きしている時などはつい買ってしまう。白ワインにピッタリなのだ。

 

 
特徴はチーズが入ってること。
本当はグリーンペッパーとピスタチオが入っているのが一番好きなのだが、コレはコレで別な旨さがある。

 

 
最後の方は数の子をチビチビ齧じりながら、再び焼酎を飲んでいた。結局、正月料理の中で一等美味いと思うのは、この数の子様だなと呟く。
外に目を遣ろうとすると、窓にはベッタリと結露が貼り付いていた。
今年の正月も、やっぱり酒浸りの日々だった。

 
                 おしまい

 

2019年 正月の献立 二日め夜

 
前回に、次回は虫の記事を書くと宣言したが、酔っ払って何と3つもの記事を同時進行で書き始めてしまった。で、収拾がつかなくなっている。
松の取れぬうちに(15日ではなく7日という説も有り)、正月の献立の記事なんぞはとっとと終わらせたい。
と云うワケで、急遽、先にこっちから進めることにします。

 
【自家製サーモンのハーブソルト】

 
ラップにハーブソルトと黒胡椒を散らし、その上にサーモンを置く。で、上からハーブソルト&黒胡椒を振ってラップで包む。ようするに、サーモン全体に満遍なく調味料を行き渡らせるって事ね。それを3日ほど冷蔵庫で熟成させれば出来上がり。途中、水分が出たら、ペーパータオルで拭き取りましょう。
技術はさしていらなくとも上手く作れる料理の一つ。簡単だけど失敗が少なくて旨いのだ。生のハーブがあれば、尚のこと美味い也よ。

  
【平目の刺身】

 
サーモンと合わせて紅白と云うワケだね。
平目はそれなりの値がしたけど、縁側が付いていたので思いきって買った。それを薄めの削ぎ切りにする。
先ずは塩のみで食し、続けて塩+レモン汁。飽きてきたらポン酢、さらに厭きたら醤油で食す。

(^^)旨いね。
特に塩レモンがええ。噛めば噛むほど、奥の方から平目の甘みがじんわりと昇ってくる。特に縁側はブリブリの食感も相俟って堪らんぜよ。
回転寿司の縁側はクソだが(たぶんオヒョウ(ハリバット)とかを使ってる)、ホンマもんの縁側は大好き。
けどハッキリ言って、刺身には日本酒とか焼酎の方が断然合うと思う。そうなのだ。今回はビールでもなく日本酒や焼酎でもなくて、ワインをチョイスなのじゃよ。

 

 
ワインショップで、たまたま目に入ったのがボルドーの白。ボルドーといえば赤だが、予定の料理のラインナップが魚貝寄りだったので白にした。
と言いつつ、実際はそうでもないけど…。

 
【肉のオードブル】

 
スーパーで出来合いのを買ってきた。
たいした事ないとは解っていたものの、半額なのでつい買ってしまったのだ。だから、盛り付けもぞんざい。全然気合いが足りない。やる気なんてものは、いつもスタンダードにあるワケではないのだ。

ラインナップは、中央にどって事ない生ハム、奥にどうしようもないレベルのローストビーフ。あとは焼き豚2種類とハム。これもどって事ない糞レベルだ。
(´д`|||)くちょー、こんな事なら自分で作ればよかったよ。

思うに、お節料理にこういう洋物が入ってきたのはいつの頃くらいからなのだろう❓自分の子供の時には既にハムなんかは普通だったけど、今やどんどん欧米化は進んでて何でも有りという感じだ。時代の流れとはいえ、全然縁起物でも何でもないものばかりが巾を効かせてるよね。
とはいえ、別にそれを特に批判しているワケじゃない。正月なんだから、縁起物より旨いものをと云うのは充分に理解できる。黒豆だの田作りだの地味な料理ばかりが並ぶのもちょっとねぇ…、全然嬉しくない。
とにかく、今後とも両者のバランスが保たれてゆくのを願うよ。バランスと調和こそが日本の真骨頂だ。他の国には、そうそう真似のできるものじゃない。頑張れニッポン、自信を持とうニッポンなのだ。
何か何言ってんのかワカンナクなってきた。飲み過ぎだな。

 
【鴨山椒】

  
青森の鴨をサッと出汁醤油で茹でて、粉山椒をかけただけのもの。
とはいえ、鴨は火を入れ過ぎると身が固くなるので、火入れには慎重を期した。
それでも身はやや固めの仕上がり。中はレアなんだけどね。人は養殖物よりも天然物をありがたがるが、ジビエが必ずしも美味いワケではない。個人的には、本鴨よりも柔らかい肉質の合鴨の方が美味いと思う。

 
【牡蠣とヤングコーン・オクラのオイル漬け】

 
牡蠣を刷毛で醤油を塗りながらじっくりと焼き、オリーブオイルに漬ける。ヤングコーンとオクラはサッと茹でて、水気を拭いてオリーブオイルに漬ける。あとは冷蔵庫で一晩以上おく。盛り付けたら、軽く塩を振って出来上がり。

\(^o^)/うみゃーい❗
ワインのアテとしては、今回はこれが1等賞だな。

そして、最後は何故かコレ。

 

 
そう、🍢おでんである。
ラインナップは、大根、手羽先、竹輪、すじ肉、玉子、コンニャク。
そして、ワインは白から赤へ。

 

 
赤ワインも同じボルドー産である。
赤ワインと謂えば、ボルドーなのだ(^o^)v
名前で満足すれはよい。それが庶民だ。ボルドー産と思えば旨い気がする。それでいいじゃないか。

そういえば、ボルドーって行ったことあるけど、バカみたいに高いところに架けられた橋のことくらいしか憶えていない。下に広がる町並みがオモチャみたいだった。
フツーの男の子じゃないから、当時でもそこそこのワインの知識はあった。それでも若い頃は旅する事で精一杯だ。ましてや貧乏バイク旅、ワインを嗜む余裕なんて無い。プライオリティーは二の次どころか、三の次以下だ。今なら目を輝かせてシャトー巡りとかしてそうだけど(笑)。

むしろ、そのあとのル・マンの方が印象的だった。
世界三大レースと言われるル・マン24時間耐久レースの公道コースを自分が走ってるだなんて不思議な気分だった。映像で見たことのある既視感と、当たり前だが現実的に見る網膜に映る風景は同じではない。
今思えば、夢のような時間だった。深い森の中を貫く真っ直ぐな道は気持ちいい。そして、うんざりするほどに長い。

おでんといえば日本酒だが、実をいうとワインとも意外に合う。特に赤ワインとは相性がいい。慣れれば違和感は失くなる。凝り固まった概念と云うヘルメットを外せばいいだけの事だ。ルールには、どこかに柔軟性が無ければならない。それが無いルールはクソだ。

そして、今宵もぐでんぐでん(@_@;)で、夜がふける。
 
                  つづく

 
追伸
 次回はちゃんと虫の記事を書きます。

  
 

2019年 お節料理 正月二日目

 
正月二日め、お昼の献立。
しこたま昨日は飲み倒したので、二日酔い気味である。流石に昼間っから酒を飲むパワーは無い。

とりあえず米でも炊こうと思った。
米を洗いながら、ふと思いついた。アレをこうしたら、アーなってコーなって旨いんちゃうんけー❓
一度思いついてしまうと止められない性格はいくつになっても変わらない。行動が幼少の頃から発作的なのだ。三つ子の魂、百までというし、性格と云うものはそう簡単には治りまへん。

で、炊き上がったのがコレ。

 

 
えーと、これは生姜ごはんです。
但し、生姜ごはんと言っても、ただの生姜ごはんではござらん。

ベースはコレ⬇

 
と言ってもワカランやね。
コレはですなあ。あの生姜漬け界に燦然と君臨せしめし、オラも大好き「岩下の新生姜」なのだ。
その汁を使って炊いた混ぜごはんなのであ~る。

作り方は、米1合に対して岩下の新生姜の調味液をブチ込む。液の分量が少し足りなかったので、お酒と水を足す。今思えば、だし汁でもよかったかもしれぬ。
新生姜本体は薄切りにして、炊き上がってから混ぜこんだ。一緒に炊いてしまうと、食感と辛みを失うのではないかと考えたのれす。

( ̄∇ ̄)ん~、味はそこそこ旨い。
だが、インパクトに欠ける。何かが足りないのだ。
そのままじゃ味気ないので、昨日夜ふけに酔っ払って作った昆布炊きをおかずにすることにした。

 

 
昆布もお節料理の定番だ。
よく昆布巻きとか結び昆布がお重に入っている。
昆布は「よろこぶ」にかけた縁起物。「養老昆布(よろこぶ)」と云う漢字を宛てて、長寿祈願も兼ねている地方もあるようだ。結び昆布の結びも祝い事を表しているし、昆布巻きも巻物と勉学向上とをかけている。
だが、ガキんちょには、そんな事はどうでもよく、常にお節どうでもええランキングの上位に入っていた。
妙に甘ったるくて中途半端な味付けが嫌いで、軽い憎悪さえ覚えていた。その思いは薄れこそすれ、基本的には今でも変わらない。どうでもいい食いもんだ。
だから、わざわざ自分でつくる気にはなれないし、ましてや金を出してまで買う気にはなれっこない。

と云うワケで、昆布の佃煮的なものをつくってみた。
但し、酒のアテとしてだ。甘ったるい味にはしない。
昆布を水にブッ込み、ふやかす。充分やわらかくなったところで四角に切る。それをまた水に戻して、鰹だしの素、醤油、照りを出すために味醂少々、山椒の実を加えてコトコト炊く。煮汁が殆んど無くなったら完成。

ふむふむ(・ω・)、ええんでねえの。
岩下の新生姜ごはんには、バッチリの相性じゃよ。
しかし、ここで又してもピコリン💡。新たなる企みを発作的に思いつく。勿論、思いついたら止まりゃしない。おいちゃん、ダッシュ💨でスーパーに向かう。
そして、完成したのがコチラ。

 

 
じゃあ~ん( ^-^)ノ∠※。.:*:・’°☆
大トロちらし寿司でごさる❗❗
大トロとは言っても、中トロと大トロの中間って感じ。でも、コチラとしては寧ろ渡りに舟だ。オジサンには今や大トロは脂っこ過ぎて、そろそろキツいのじゃよ。
値段は1パック、たったの380円だった。しかも、養殖とはいえ本マグロ、モノも値段に比してかなり良い。

勿論、ベースは酢飯がわりの岩下の新生姜めし。
そこに大トロを並べて、更に食感にアクセントを加える為に細かく切った数の子を適度に配する。仕上げに貝割れ大根と白ゴマを散らしたら、さあ出来上がり。
ちなみに、色めが悪くなるのを避けたいので、醤油と山葵は別にした。

オラ、オラ、オラー、御満悦で箸を持って構える。
しかし、これって向きがあってないよね❓
(*`Д´)ノえーい、色々角度を変えて写真を撮るっぺよ。

 

 
たぶん、これが正面だろね。

 

 
(`皿´)フガッ、(#`皿´)フガッ、(`皿´)フガガ。 
( ☆∀☆)きゃいーん❗興奮街道爆走ぱぴゅーん❗
バチ美味いやんけー❗❗
マグロの旨さもさることながら、数の子がごっつええ仕事をしとる。言ってみれば、豪華版トロたく(トロ&沢庵)ってとこだろうか。

おいちゃん、思わずついでに買ってきた冷酒の封を開けてしまう。

 

 
月桂冠「辛口 生酒」。 
(≧∀≦)くぅー、酒バカの愚かなる行為だけど旨いね~。

 
                  つづく

 
追伸
まだまだ正月の献立は控えているのだが、食いもんネタを書くのにも飽きた。次回は一旦、虫の話を書きます。

 

2019年 お正月料理その2 元旦夜編

 
【鰯の煮物】

 
本来的には田作り(ごまめ)を作るべきなのだが、ごまめは甘いので鰯の煮物で代用させて戴いた。
同じ理由から栗きんとんも除外である。酒飲みにとって、甘いものは邪魔。酒の肴にはならんのじゃよ。

田作りがお節の縁起物とされるのは、昔は五穀豊穣を願い、小魚を肥料として田畑に撒いた事からである。
農家ならまだ解るが、都会人にはあまり関係ないような気がするなあ…。農家の人だけ食ってればエエんでねえの❓
と書いて、自分の浅はかさに気づく。落ち着いて考えてみれば、作物がよく育てば我々都会人も恩恵を受けるのである。豊作になれば、野菜だって安くなる。飢饉なんてなったら、大変だもんね。
農家の人、m(__)mごめんなさい。

レシピは書くほどの事ではないが、まあ一応書いておくか。
出汁は鰹昆布。そこに酒、砂糖、味醂、塩、薄口醤油を加えて煮汁をつくる。そこに鰯を入れて火を点け、弱火で炊く。煮汁が沸騰したら火を止めて完成。
沸騰した煮汁に鰯を入れないのは、煮崩れを防ぐためと、徐々に火を入れることにより身をやわらかく仕上げる為である。どんな料理でも火加減は大事なのだ。

 
 
【若牛蒡の炒め煮】

 
ごぼうは、細く長く地中にしっかりと根を張る事から、縁起物とされる。
これも本来ならば、たたき牛蒡が定番だろう。しかし、天の邪鬼のあっしはそんなフツーな事は面白くないと思ってしまうのである。
若ごぼうは文字通りの若い牛蒡の事で、根だけでなく、茎や葉も食べられる。一般的にはあまり馴染みの無い野菜だと思われるが、大阪では八尾の辺りで盛んに作られており、独特の苦味と歯応えがあって、通には喜ばれる。これをツマミに、日本酒をチビチビやるのがいいんだよね~。
あっ、前回から料理を何の酒と合わせて食っとるのかを一切言及していないじゃないか。
えー、この日は昼間っから延々と飲んでいたのだが、ビールに始まり、日本酒、焼酎へと移行していき昏倒どした。

それでは作り方。
①根の部分を洗い、細かいヒゲ根を取り除いたら、適当な長さに切る。水に浸けてのアク抜きは不要。今の料理人の常識では、牛蒡のアク抜きは必要ないそうだ。水とか酢水に牛蒡を浸けておくと、水が泥水の如く茶色くなるけど、あれはアクではなく、ごぼうの旨味成分らしい。
茎も適当な長さに切る。軽く塩揉みをして熱湯で1分ほど茹でて冷水に晒し、アク抜きする。葉は佃煮にするのだが、ここでは割愛。それについては後日書く。

②根と茎を胡麻油で炒める。火がある程度通ったら、だし汁、砂糖、酒、塩、薄口醤油で作った調味液を上から掛ける。しばらく煮て、水分を適度に飛ばして出来上がり。

 
 
【蓮根の煮物】

 
蓮根は穴が開いている事から、先の事が見通せると云う縁起物だったかと思う。
出汁でサッと茹でて仕上げる。蓮根は歯応え重視派なのだ。茹で過ぎてホクホクのが良いという人もいるだろうが、あんな芋みたいな食感の蓮根は許しまじなのである。

 
  
【枝豆の煮物】

 
黒豆も甘いからパスである。
黒豆がお節料理の縁起物とされる理由は、豆は本来、丈夫、健康を意味し、1年間元気に働けるのを願っての事だ。「まめに働く」などの語呂合わせもあるだろう。
ならば、どんな豆でもエエではないかと考えたワケ。

作り方は少々手が込んでいる。
先ずは豆を鞘から取り出す。その際、鞘に残ったチュルチュルを親指でこそぎ取る。このチュルチュルが旨味成分たっぷりで甘いのじゃよ。捨ててはならん。
鞘も捨てないで取っておく。これは流石に食べない。じゃあ、どうするのかというと、水で茹でるのである。その際、すりこぎ棒やお玉でギュウギュウ押しながら茹でると尚よろし。これは何してるのかと云うと、鞘から良い出汁が取れるのである。水の色が結構変わるくらいに出汁が出る。
しっかり出汁が出たところで、鞘を取り出し、酒・塩・薄口醤油で味付けする。最後に枝豆とチュルチュルを入れて、火を止めて味を含ませる。

枝豆が残った時に使える技なので、暇な人は試してくだされ。

  
【海老の旨煮】

 
ここまで立て続けの煮物のオンパレードである。
よくよく考えてみれば、和食って素材を煮るという調理法が多いんだよね。

海老は髭が長く、背?腰?が丸まる事から老人になぞらえられる。つまり、腰が曲がるまで長生きすることを願っての縁起物というワケだね。

お節の海老は本来ならば頭付きを使用すべきなのだが、残念ながらお目がねに叶うような海老が売っていなかった。伊勢海老とは言わないが、それなりに立派な海老を買いたいところなのだが、如何せんコレが高い。今時、正月料金でもあるまいしと思うのだが、普段よりも確実に高いと思う。刺身とか海鮮ものは全般的に高値になってるのは、何か裏とか陰謀でもあるのかな?

そういうワケで、結局一番小さい海老、むき海老になってしまった。拘りを捨てるなら、徹底的に捨てた方が良い。それに、パッサパッサになりがちの海老よか、プリプリ感のあるむき海老の方が余程いいと思った次第なのじゃよ。

調理法は簡単。酒を沸騰させ、そこに薄口醤油と塩を加える。再度沸騰したら、海老をブチ込んだら火を止める。あとは余熱で火を通せば出来上がり。

(^o^)vうん、プリプリで旨いにゃあ~。
上出来、上出来。
 
それにしても、夜だと写真が綺麗に写らんなあ。
おまけにワードプレスに写真をアップすると、なぜたか画像が素より劣化するんだよなあ…。
そういえば誰かがマグロだか何だかの回で、理論はいいとしても写真がサイテーだとボロカス言ってきたよなあ。まあ、こちらの腕も足りないのだろうが、そのせいもあるのだよ。画質の劣化だけじゃなくて、画面が暗くなるのはワシのせいとちゃうでー。

                   おしまい

 

2019年 お正月の料理(元旦昼編)

 
皆様、明けまして御目出度う御座りまする。
今年、最初のブログでげす。

 
【数の子】

  
正月といえば数の子。これ無くして、お節は語れない。正直、他のお節料理が無くとも何ら文句は垂れないけど、これが無かったらΣ( ̄皿 ̄;;激怒するね。
それくらいオッチャンは数の子好きなのである。

しかし、口に入るまでには幾多の面倒な作業が必要である。恒例とはいえ、苦難の道なのじゃよ。
先ずは塩抜き。毎年、ここから躓いている。(@_@)アーパーだから、どれくらいの割合の塩抜き用の塩水を用意すればワカラなくなるのだ。で、ググって調べるんだけど、これがまた皆さん言うことがバラバラなんである。
水500mlに対して塩小さじ1杯とか水1㍑に塩小さじ1杯とか、もうマチマチなんである。
今回はその中間くらいの塩分濃度でいく事にする。
で、3~4時間に1回塩水を取り替え、それを4、5回繰り返す。途中で味をみて、頃合いを見計らって笊にあげる。で、白いブヨブヨの薄皮が残っていれば、そやつを小まめに取り除く。( ´△`)メンドくせ~。
それを出汁に浸けて一晩おく。今回の出汁は、白だしに薄口醤油とチビっとだけ味醂も入れた。この辺は各自お好みに調整されたし。
器に盛ったら、最後に鰹節を掛けて出来上がり。
今回は気合いの象徴として、割山椒の器を引っ張り出してきた。

 

 
いつ食っても、数の子は旨いねぇ~(≧∀≦)
いやはや、このコリコリ感堪りまへんな( ̄∇ ̄)
因みに、お正月に数の子を食うのは、ニシンは卵を沢山生むので、それを二親(にしん)と掛け合わせているのだ。つまり、子孫繁栄を祈ってのことだね。

 
  
【紅白なます】

 
紅白で目出度いって事だろう。
いつもなら、赤と白のコントラストを効かす為に金時人参を使う。普通の人参だと紅白じゃなくて朱白とか橙白になるのが気にくわないからだ。しかし、今回は冷蔵庫に余り物の普通の人参があったので、勿体ないからソチラを使用。

先ずは大根と人参を細切りにする。割合は大根を多めにしましょう。その方が仕上がりが美しく見えます。
それをビニール袋に入れて、テキトーに塩を振って揉み~揉み~Ψ( ̄∇ ̄)Ψ。で、一晩おきます。
翌日、出た水分を捨て。砂糖大さじ1に酢を大さじ3~4くらい入れて混ぜ合わせる。お好みで顆粒の昆布だしとか薄口醤油を入れてもええですよ。
そのまま出してもよいが、2、3時間から半日おくと、より味が馴染んでよろし。

 
 
【子芋のやわらか煮】

 
貝割れ大根を飾る位置で悩みまくる。
で、一番上の写真に落ち着いた。正月から悩みまくりってのは、どうもよろしくないね。

これも数の子と同じ縁起物で、親芋から多くの子芋ができるから、子宝に恵まれますようにと云う意味だ。

シンプルだが、とても手が込んでおりまする。正月早々から手を抜きたくないもんね。
それでは、オッチャンのレシピをひけらかそう。

①里芋の目利きは素人には難しい。周りに付いた土が出来るだけ乾燥していないものを選ぶようにするくらいで、ワシだってワカラン。あとは天に運を任すってな感じだ。強いて言うならば、値段の高いのを選ぶこと。それが一番失敗が少ない。
今回は愛媛産のもの。中国産は安いけど、当たり外れが激しい。とにかく、仕込みをするまでは良し悪しがワカランのだ。
えー、先ずは水で洗って泥を落とします。皮は剥きません。それを水から弱火でコトコト煮る。

②30分程煮たら、茹で汁を捨てて冷水に浸す。
あら熱が取れたら、手で皮を剥きます。簡単にツルリと剥ける筈です。もしも簡単に剥けなかったら、たぶんそれはダメな子芋率高しです。どう足掻こうとも何ともならないので、潰してコロッケにでもしなはれ。

③あとはお好みの出汁に入れて、弱火で煮る。
一応、今回の出汁は鰹昆布だしにお酒、味醂、塩、薄口醤油を加えた薄味よりにした。
芋がやわらかくなったら、火をとめて味を含ませる。煮物は冷める時に味が入りやすいのである。これも一晩おいて、翌日温め直して出した方が美味しおすえ。

ん~まい❗v(≧∀≦)v
我ながら、渾身の出来じゃよ。いつもより丁寧に作った甲斐があったよ。

 
 
【錦玉子】

 
またしても、盛り付けに悩む。
揚げ句、器まで有田焼に換える始末に。

 

 
それでも悩むオイラ。今年は何かと決断できない年にはならぬようにしようと思うオジサンなのであった。

錦玉子とは、黄色と白の入る二色の玉子焼きを金銀になぞらえ、錦とかけたものである。
溶き卵を混ぜ過ぎないのがコツだろうか?
とはいえ、調べもせずに自己流で作ったので、本当のところは分からない。
結果、出来は今イチ。実を云うと、半分側しか上手くいかなかった。上手くいった方は夜に食べた。
じゃ、何で上手くいった方を使わなかったのかというと、半分切って失敗だと思って片側は切らなかったのである。何事も早計はいかぬな。

 

 
コレ、更に補足すると、玉子焼きというか変則の出し巻き玉子。出汁がわりに年末に作った『海老とアボカドの卵白仕立て』の残り汁をブッ込んでやった。
と云うワケで、海老の出汁と片栗粉とが入っておる。
じっくり弱火で焼いてから巻きすで巻いて形を整え、冷蔵庫で冷し固めたもの。
ついでに言っとくと、お節料理には巻きものも縁起物としてよく登場する。例えば、昆布巻きとか牛蒡巻きなどがある。これは昔は大事な絵や文書は巻物にしていたので、それに因んだものだろう。知識や芸事が身につくようにと云うことだろうね。

 
 
【お雑煮】

 
すまし汁に焼いた角餅と小芋。飾りは貝割れ大根と人参と大根の紅白結び。仕上げに柚子を添えた。

お雑煮は関東と関西でも違うし、近畿圏内でも各県で差がある。もっと言うと、各市町村、各家庭によっても違い、様々なバリエーションがある。
関西では白味噌に丸餅の組合せで、餅は焼かずに煮るのが主流だと言われている。具は各家庭によりバラバラだが、大根と云う家庭が多いようだ。白味噌ならば、大根や蕪が相性が良いからなのかもしれない。

うちの実家は丸餅を焼かずにどろどろに煮ていた。
具は特に決まっていたような印象は無いが、大根と鶏肉、水菜ってところが多かったような気がする。
そして、関西なのに何故か澄まし汁である。
その理由を特に両親に訊いたことは無い。果して父親方の影響なのだろうか?それとも母方なのかな?
自分は結婚した事ないけど、新婚最初の正月には揉めたりするのかな?きっと両者の力関係で決まるんだろなあ。今時の御時世だと、何か想像つくなあ…。
頑張れ、世の男性諸君❗

皆様、今年も宜しくお願い御願い致します。

 

新子(いかなご)

 

 
毎年、春先に楽しみにしている旬の食材のひとつが釜あげ新子である。
新子(シンコ)といえば、関東だと真っ先に浮かぶのはコバダの幼魚のことであろうが、関西ではいかなごの幼魚のことをそう呼ぶのが普通なのだ。
因みに関東など東日本ではこの新子のことを「小女子(こうなご)」と呼んでいる。

因みに成魚は、こんな感じ。

 
(出展『大阪市水産物卸協同組合』)

 
関西では、いかなごよりも「かますご」と呼ばれる事が多い。
炙って、酢醤油で食うと旨いんだよねー。

 
新子は神戸人がこよなく愛する「くぎ煮」の原材料でもある。

 
【釘煮】

 
名前の由来は、形が「くの字」に曲がった古釘みたいだからだと言われちょります。

 

ご飯に乗っけて食うと旨いよね(^_^)v
普段は、甘いから佃煮なんか殆んど食わないけど、コレだけは別格の代物なのだ。

でも、その釘煮もここ数年は新子の漁獲量が激減しているようで、もはや庶民の味では無くなりつつある。
去年は特別少なかった印象があるが、どうやら今年はもっと酷いことになるのではと云う噂があった。
だからスーパーで売っていたら、極力つとめて買うようにしていた。

 

 
そのまま食う事が多いが、飽きたらオリーブオイル+塩少々で食います。コレが辛口の白ワインにメチャクチャ合うのだ。

 

 
しかし、今年はたったこんだけの回数しか食えなかった。
なぜなら、スーパーでもあまり見かけなかったのである。しかも、あったとしても値段が2、3年前と比べて倍以上もする。1パックで400円ともなると、流石に買えない。

何でこないな事態になったのかというと、まあ毎度お決まりの理由である。
乱獲や生息環境の悪化だね。護岸などで生息地が破壊されたり、海砂の採取が大きな影響を与えているという。西日本、特に瀬戸内海では、この海砂の採取が激減の理由だと言われているようだ。
いかなごは元々北方系統の魚で、西日本では暑い季節になると砂に潜って夏眠するのだが、その環境そのものが破壊されれば、魚が減るのも当然である。
えー、何で海砂なんか採取するのかというと、瀬戸内海の海砂がコンクリートの骨材に適してるんだとさ。

しかし、居酒屋の兄さんの話だと、乱獲の方がもっと深刻な減少原因になっているらしい。
そもそも瀬戸内に面した所以外では、あまり新子を食う習慣がなかったのだが、ここ数年、繰り返し全国ネットで新子(いかなご)の事が取り上げられる事により高値で取り引きされるようになったらしい。で、儲かるからと漁師が獲りまくっているという。

環境破壊にしろ、乱獲にしろ結局は人間のせいなのだ。生き物を守れとは言いつつも、常に経済活動が優先されるのである。特に行政なんかは本音と建前が酷い。

あっ、何だかまた話が逸れた。
話が怒り心頭、更に飛躍しそうなので、これくらいにしときます。

来年は、もっと食えなくなるんだろなあ…。
サンマといいイカといい、何だか最近はこんなことばっかだよね。

                  おしまい

 
追伸
新子がスーパーで見掛けなくなってきたメカニズム。

新子の浜値が高くなると、スーパーも仕入れがしにくくなる。高いと売れ残りやすいのだ。おまけに新子は足が早い魚なので、廃棄ロスが大きい。そのリスクを避けたいが為、スーパーは仕入れを控える=店頭に並ばないと云う図式になると云うワケなんだな。
(# ̄З ̄)ったくよー。

 

すぐきと千枚漬け(後編)

  
すぐきも好きだけど、千枚漬も好きだ。
でも、関西以外の人はあまり食べた事がないかもしれない。いや、最近は漬け物離れが進んでいるというし、若い子なんかは食べた事がない人も多いかもしれない。
一応、ざっと解説しとくか…。

千枚漬とは京都を代表する漬物の一つで、すぐき、柴漬けと共に京都三大漬け物に数えられる。
現在販売されているものは概ねカブを薄く切って昆布、唐辛子とともに酢漬けにしたものである。
但し、カブといっても京野菜の聖護院蕪(かぶら)を使ったものでないと千枚漬けとは名乗れない。たまにパチもんも見るので、買う時は注意しましょう。

名前の由来は、蕪を薄く切り、樽に漬け込む枚数が千枚以上であるとか、蕪を千枚と言えるほど薄く切って作るからと伝えられている。
御所の料理人であった大黒屋藤三郎が江戸時代に考案したとされる。本来は聖護院蕪をスライスし、塩漬をして余分な水分を取り除き、その後、良質の昆布だけで本漬を行い乳酸発酵をさせたもので、蕪の甘味、乳酸発酵の酸味、昆布の旨味のバランスが良い漬物である。
しかし、第二次世界大戦後は砂糖、酢、調味料を使ったものが大量生産されるようになり、現在の酢漬けの千枚漬が大半を占めるようになった。
聖護院かぶらの生産期(11~3月)に合わせて漬け込みが行われ、販売時期もこの期間に限定される。

そろそろ千枚漬の季節も終わりだね。
もっと食っときゃよかったよ。今冬は2度しか買わなかったのだ。
何でそないな事になったのかというと、なんば高島屋の『大安』が無くなっちやったからである。

 
(出典『大安 ホームページ』)

 
近所だから、いつもなら他の買い物をした折りに、ついでに買うことが多いのだ。
ならば、他の店の千枚漬を買えばいいではないかと言われそうだが、(# ̄З ̄)👆Non・non・non・no.
千枚漬は店によって全然味が違うのだ。
例えば、大安の差し向かえに『西利』なんかは少し甘めなのだ。西利さんも老舗だがら、好きな人は多いと思う。しかし、残念ながら自分の好みには合わないのである。
自分の中での「千枚漬」とは、昆布でぬるぬるヌメヌメのヤツで、旨みがあって酸味と甘みが強くないものなのだ。大安はそのバランスが良い。
化学調味料は使ってなくて、上質な酢と味醂、塩を控えめに使ってるという感じなのだ。

では、もっと他の千枚漬を探せばいいではないかとも言われそうだが、千枚漬は高いのである。そうおいそれとは、のべつまくなしには試せないのだ。

で、唯一試したのがコレ。

 

 
村上重本店の千枚漬。
コチラも老舗中の老舗である。
たかが漬物なのに、千円もした。
ねっ、高いでしょ。

中身はこんな感じ。

 

 
ヌメヌメのぬるぬるじゃよ。
これなら期待値も上がろうというもの。
昆布が分厚いなあ…。とりあえず細切りにしよう。

盛りつけてみる。

 

 
食ってみる。
Σ(゜Д゜)わっ❗、パンチ効いてる。
クセが強いんじゃあ~。
でも慣れてくると美味い。旨みが強くて、味が濃い。
甘みは調味料の甘みではなく、蕪の甘みだ。変に甘ったるくない。酸味も酢の酸味ではない。乳酸発酵❓
となれば、これが本来の千枚漬け。藤三郎由来の元々の千枚漬ってことか…。
旨いなあ…。千枚漬の概念が少し変わったよ。

だが、デカくて食べにくい。それに一気食いみたくなって、何だか勿体ない。

半分に切った。

 

 
旨かったので、また買った。

 

 

 
千枚漬は、酒の肴というよりも断然ご飯のお友である。
そのまま食ってもいいが、昆布を乗せ、ちょいと醤油を垂らして食うと旨みが増し、益々ご飯にあう。

そういえば、去年の春先に買った千枚漬けがあったなあ…。

 

 
『江州の郷 さくら千枚漬』。

 
桜の葉入りの千枚漬である。
江州といえば、京都ではなく滋賀県じゃないか。
しかも国内産カブ使用とある。その時点で、聖護院蕪を使ってないことは明白だ。完全にまがいモンである。

 

 
やはりというか、これが全然もって旨くなかった。
桜の香りは悪くないのだが、やたらめったらに甘酸っぱいのである。お菓子かよ(=`ェ´=)❓
やはり、千枚漬は「大安」みたく甘みを抑えたものか、元来の製法のものが美味い。

となると、ここも気になるところではある。

 
(出典『老舗もーる』)

 
『千枚漬本家 大藤』である。
何てったって、本家なのである。創業慶応元年。ここが千枚漬けの元祖と言われている店だ。

どうやら壬生菜を使っているのが特徴のようだ。
なあ~んか見たことあるような気がする。食ったことがあるような記憶もある。
だとしても、かなり昔のことだ。たぶん20年以上前だろう。ならば、食べた事がないと言っても差し支えないでしょう。何せ、味の記憶が全然無いのだ。

本家と謳っていて、まさか化学調味料とか酢とか味醂は使ってないだろう。オラの求める千枚漬の筈だ。
よし。来年は、ここの千枚漬を試してみよう。
けど、ここもきっと高いんだろなあ…。
まあ、旨けりゃ全然いいんだけどさ。

                  おしまい

 

すぐきと千枚漬け(前編)

 
時節も終わりかけだが、京の冬の漬物といえば、すぐきと千枚漬けである。
また、この二つは京都の三大漬物にも数えられている。
因みに、あと一つは柴漬けです。こちらは夏を代表する漬物だね。

そんなすぐきと千枚漬けだが、今年度もちょくちょく食っておりました。ワタクシ、こう見えてけっこう漬物好きなのである。

 

 
『御すぐき處なり田』のすぐきである。
すぐきといえば、真っ先に挙げられるのが、この有名店である。なんと創業三百年なのだ。老舗中の老舗だね。

 
(出典『京都の外に住む京都好きのブログ』)

 
如何にも老舗ならではの佇まいだ。
確か、上賀茂神社の門前に在るんだよね。
とは言っても、今回は京都・上賀茂の本店に足を運んだワケではござんせん。なんば・高島屋の全国の厳選品を集めたコーナーで買ったものだ。
値段は忘れたが、けっこう高かった記憶がある。千円足らずだったかなあ…。
調べたら、100gあたり400円だとさ。中々の値段だ。

知らない人もいやはると思うんで、ここでちょっと「すぐき」とは何ぞや云うことを説明しときまひょ。
すぐきと云うのは、漢字で書くと「酸茎」と書きおす。酸茎菜といやはる蕪(かぶら)、まあカブの変種の事どすな、それが原材料どすえ。もともとが賀茂川と高野川の間の三角州でとれた野菜で、最初に植えられたんが「賀茂別雷神社」、今でいうところの「上賀茂神社」どすなあ。
せやから、今でもその一帯がすぐき漬けをつくうてはる店が多いんおすえー。

作り方は、葉っぱごと蕪を塩で漬け込み、乳酸発酵させたもんどす。
塩水で一晩、塩をまぶして一週間。最後に室(むろ)に入れて8日間かけて、じ~っくり発酵させるんどすえ。
長野の木曽地方には「すんま漬け」ゆうて、低温下で無塩乳酸発酵させたお漬けもんがありはりますが、別もんどす。親戚でも何でもおへん。
「すぐき」は京都にしかあらしまへん。

何か京都弁で書いてると、体がなよなよしてくる。それに嫌みな人になった気分で何だかとても疲れる。普通に書こっと。

すぐきといえば、その酸味である。とにかく酸っぱい。独特の発酵臭もあるから、好き嫌いのハッキリする漬物だろう。自分も小さい頃は、その酸味が苦手で嫌いだった。
しかし、大人になってからは好きになった。その酸味が段々クセになってくるのである。
その辺は恋愛事情にも通ずるところがあるだろう。
クセの強い、つまり個性の強い相手は最初のうちは警戒するし、敬遠しがちだ。しかし、ひと度その魅力に嵌まってしまうと、他の普通の人では面白味がなくて満足できなくなる。そんな事、経験ありません❓

何?、ないって。
だとしたら、つまんない恋愛をしてきた人だね…と言いかけて、というかもう言ってるけど、前言撤回。
無い人は不幸だとも言えるし、幸福だとも言えるのである。クセのある相手との恋愛はイレギュラーな事が多いゆえ、展開が読めない。そこに恋愛の醍醐味があるのだが、同時にワケわかんないから不幸な顛末になる確率も高いのだ。そして、そんな変な人ばかりを選んでると、碌な事がない。世間一般の幸せから遠ざかること自明なのだ。

話が逸れた。
テーマはすぐきである。
食すにあたっての注意事項は、葉っぱが硬いこと。だから、細かく刻みましょう。ゆめゆめ野沢菜みたいな切り方はなさらぬよう。硬くて食えませんぞ。

 

 
と言いつつも、( ̄∇ ̄*)ゞえへ。微塵切りになっとらんやないけー。
考え事をしてて、ほおーっとしとったんよ。
だから、一口食ってすぐに切りなおしましたよ(笑)

蕪本体の切り方は自由。沢庵(たくあん)みたいに切ってもいいし、縦に細切りにしてもいい。細かく微塵切りにすれば、「刻みすぐき」となる。
「刻みすぐき」といえば、『土井志ば漬け本舗』。
土井と云う名前が気にくわないが、ここの刻みすぐきが一番好きだ。

すぐきは酒のツマミにもなるけど、やっぱり一番は白いご飯だ。これがマストでしょう。アホみたいに飯が食える。お好みだが、醤油をちょっと垂らして食うのが旨い。ぶぶ漬け(お茶漬け)にしても、美味しおすえ。

えー、オジサマは浅いヤツよりも発酵が進んだ酸っぱいのが好きだ。クセが強いのが好きなんである。
何か、脳内で自分の恋愛遍歴とリンクして走馬灯のように流れたよ(^_^;)
嗚呼、できることなら学生時代に戻って、そこからやり直したい。
あの失恋さえなければ、王道路線のままで終わったのになあ…。

                  つづく

 
追伸
何だか心が塞ぎそう(否、この場合は鬱ぎそうか?)になったので、今回はここまで。
次回、千枚漬けとなります。
 

銀ムツの西京焼き

 
このあいだの『冬の献立 総ざらえ』では、サラッとさわりしか書かなかったから、稿を改めての登場です。

 
【銀ムツの西京焼き】

 
銀ムツと言っても、高級魚のムツとは違い外国産の深海魚である。
正式名称はマジェランアイナメ(マゼランアイナメ)。
故郷はアルゼンチン、チリ、南極周辺で、語源はあのマゼラン海峡からきている。因みにマジェランは英語読みですね。

見た目はこんな感じ。

 
(出典『カロリーSlism』)

アイナメと名打っているが、コレも嘘。
マジェランアイナメはスズキ目の魚だが、アイナメはカサゴ目の魚なのだ。

ホンマもんのムツと比べてみよう。

 
(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
まあ、強引に言えば似てるちゃ似てるけど、やっぱ全然違うわな。
分類学的にも両者は違う。ムツも同じスズキ目だが、ムツ科に属する。一方、マジェランアイナメはノトテニア科という舌を噛みそうな科に属している。
同じスズキ目といっても、目(もく)とあらばその範囲は広汎だ。科が違うだけでも、かなり縁が遠かったりするのである。たぶんコヤツらも相当遠い間柄かと思われる。

じゃあ何で「銀ムツ」という名前なのかというと、コレはもう魚屋の陰謀である。切身にすればムツに似てるから、高級魚ムツの名前にあやかってドサクサで売ってやろうと云う魂胆である。

 
【銀ムツの切身】
(出典『もぐもぐ共和国』)

 
しかし、天罰が下った。お上から、ムツじゃないのにムツと名乗るのはまかりならん。市場が混乱するではないか、(*`Д´)ノバーロー❗❗❗
と云うワケで、銀ムツという表記が2003年に禁止された。
以降、スペイン語の「メロ」と名前を変えて市場に並ぶようになったが、コレがイカンかった。銀ムツだと美味しそうだが、メロでは如何にもマズそうだ。
で、人気急落。スーパーでもいつの間にか姿を見掛けなくなった。

しかし、最近は高級魚として復活しつつある。
アメリカで人気の魚となり、価格が高騰しているようなのだ。日本への入荷量が減ったせいもあるかもしれない。流通が少なければ自然と価格も上がるのが理だ。昔は下魚扱いだったのになあ…。

そして、ほとぼりが冷めたのか、ここ数年前からは百貨店の高級惣菜コーナーなどで再び銀ムツという表記を見掛けるようになってきた。
まだ銀ムツ(メロ)という表記が多いが、某料亭なんかは堂々と銀ムツのみの表記になっていた。

まあ、そんな事はどうでもよろし。
それよりも言いたいのは、嘘ばっかつく忖度野郎の役人どもだ。奴等はクソでバカだ。
そもそも名前を銀ムツからメロなんて名前に変えさせたのが悪い。お陰で安くて美味かった銀ムツが庶民の口に入らなくなったではないか(=`ェ´=)
だいたいムツとか黒ムツなんて高級魚はスーパーに並ぶことなど滅多にないのである。2003年以前だって、状況は今とさして変わらなかったと断言できる。
つまり、市場が混乱するもクソもないのである。厳密主義のバカ学者か、ボケー(#`皿´)
柔軟性の欠片もない。

それに矛盾もある。
例えばシシャモである。
今、スーパーの店頭にシシャモとして売られているのは、実を言うとシシャモではない。
同じキュウリウオ目キュウリウオ科の魚だが、「カラフトシシャモ」と云う別種の魚なのである。
味も全く違う。本当のシシャモの方が遥かに上品で美味い。
役所とか漁業関係者は見た目がソックリだと言うが、
自分からすれば、そんなのはちゃんちゃらオカピーの方便だ。両者は明らかに見た目も違う。カラフトシシャモは銀青色だが、ホンマもんのシシャモは飴色なのである。
形も、よりほっそりとしていてスマートだ。漢字で書くと「柳葉魚」と表される所以は、そこにある。

じゃあ、なぜに偽物が堂々と罷り通るようになったのかと云うと、そこにはこんな背景がある。
以下、面倒くさいので、wikipediaからの抜粋で手を抜く。

『(シシャモは)、世界中でも北海道の太平洋沿岸の一部でしか獲れない。漁獲高の減少のため、キュウリウオや輸入品のカラフトシシャモ(カペリン)が「シシャモ」として食卓に上ることも多く、今日では単に「シシャモ」と言う場合こちらを指すことが一般的である。同じキュウリウオ科に属しているものの、キュウリウオはキュウリウオ属、カラフトシシャモはカラフトシシャモ属の別の魚である。
食味は本ししゃもと大きく異なるが、姿は両者とも非常に似ており漁師以外は外見だけで見分けるのが困難なこと、本シシャモの味を知らない人が多いことを利用し食品偽装の引き金になることがある。
1970年代以降、シシャモの代用魚として輸入が急増したが、資源量の大差から「シシャモ」といえば本種を指し、シシャモは「本シシャモ」などと呼ばれるようになった。 2003年の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律改訂にともなう販売表示の厳格化を受けた行政指導により、原材料名にはカラフトシシャモと表記される様になったが、商品名は対象外。』

何やかんやと注文をつけてはいるが、ようするにお上もカラフトシシャモをシシャモとして認知する事を完全に容認しているんである。
ホンマもんのシシャモが別にいる事など知らない人が大半を占める現状にあっては、間違いじゃない。方針としてはそれが正しかろう。
だったら、もうメロも銀ムツでいいではないか。どうして、そこんとこ柔軟に対応できないのかね?
それこそ忖度しなさいよ。
あっ、あれは農水省ではなく、財務省とか国交省か…。
え~い(*`Д´)ノ、どうせ役人なんぞ何処も同じじゃわい。大差はなかろう。

怒り疲れたところで、心を鎮めて調理しよう。
といっても市販のものだから、焼くだけ。
けど、でも今や高級魚。真面目に焼こう。
洗うのは❌だが、丁寧に味噌を子削ぎ取りましょうね。味噌がいっぱい付いていたら焦げやすくなるのだ。
原則は遠火の強火だが、家庭では煉瓦やブロックを両脇に置きでもしなければ不可能だ。となると、弱火でじっくり時間をかけて焼くのがよろし。

我ながら、そこそこ上手く焼けたのではないかと思う。
器は織部焼きを出してきた。
久し振りの登場だけど、織部って、(。^。^。)渋くていいねぇ~。

満を持して箸を入れ、口に運ぶ。
いえ~(σ≧▽≦)σ~い。
脂が乗ってムチャクチャ美味い❗❗

久し振りに食うけど、旨いなあ…。
名前はもう、銀ムツでもメロでもどっちだっていいや。とにかく、またスーパーの店頭に庶民価格で並んで欲しいよね。

                 おしまい

 
追伸
言い忘れたけど、ムツとした画像はクロムツです。
昔はムツもクロムツも同種とされていたが、近年、別種に分けられたようだ。ムツも高級魚だけど、クロムツは更に珍重され、超高級魚となっております。
因みにアカムツと云うのもいる。これがあの高級魚ノドグロの本名ですな。

もう1つ言い忘れた。
銀ダラというのもいるが、これも銀ムツとよく混同される。脂が多いので、ムツやクロムツとして売られていた時代もあったようだ。この辺が銀ムツと混同される原因になっているのだろう。

 
【ギンダラ】
(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
だが両者は完全に別種。コチラは見た目がタラに似ているからの命名だが、タラ目とは違いカサゴ目 ギンダラ科に属する。アイナメやホッケに近い種類だ。
マジェランアイナメがアイナメとは遠くて、銀ダラの方がアイナメに近いのである。何か頭がこんがらがってきたよ。
だが、まだややこしいのがいる。これまた切り身の見た目から混同されやすいメルルーサだ。

 
【メルルーサ】
(出典『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』)

 
昔は白ムツという名前で売られていたらしい。
コレが笑っちゃう事にタラ目なんである。つまりタラに一番近い。味も脂っぽくなくて、タラの肉質に似ている。
何だそりゃ❓の名前の混乱振りである。
漁業関係者の人たちよ、いい加減になさい❗
名前をつけるなら、(# ̄З ̄)もっと考えてつけろよなあー。