すぐきと千枚漬け(前編)

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時節も終わりかけだが、京の冬の漬物といえば、すぐきと千枚漬けである。
また、この二つは京都の三大漬物にも数えられている。
因みに、あと一つは柴漬けです。こちらは夏を代表する漬物だね。

そんなすぐきと千枚漬けだが、今年度もちょくちょく食っておりました。ワタクシ、こう見えてけっこう漬物好きなのである。

 

 
『御すぐき處なり田』のすぐきである。
すぐきといえば、真っ先に挙げられるのが、この有名店である。なんと創業三百年なのだ。老舗中の老舗だね。

 
(出典『京都の外に住む京都好きのブログ』)

 
如何にも老舗ならではの佇まいだ。
確か、上賀茂神社の門前に在るんだよね。
とは言っても、今回は京都・上賀茂の本店に足を運んだワケではござんせん。なんば・高島屋の全国の厳選品を集めたコーナーで買ったものだ。
値段は忘れたが、けっこう高かった記憶がある。千円足らずだったかなあ…。
調べたら、100gあたり400円だとさ。中々の値段だ。

知らない人もいやはると思うんで、ここでちょっと「すぐき」とは何ぞや云うことを説明しときまひょ。
すぐきと云うのは、漢字で書くと「酸茎」と書きおす。酸茎菜といやはる蕪(かぶら)、まあカブの変種の事どすな、それが原材料どすえ。もともとが賀茂川と高野川の間の三角州でとれた野菜で、最初に植えられたんが「賀茂別雷神社」、今でいうところの「上賀茂神社」どすなあ。
せやから、今でもその一帯がすぐき漬けをつくうてはる店が多いんおすえー。

作り方は、葉っぱごと蕪を塩で漬け込み、乳酸発酵させたもんどす。
塩水で一晩、塩をまぶして一週間。最後に室(むろ)に入れて8日間かけて、じ~っくり発酵させるんどすえ。
長野の木曽地方には「すんま漬け」ゆうて、低温下で無塩乳酸発酵させたお漬けもんがありはりますが、別もんどす。親戚でも何でもおへん。
「すぐき」は京都にしかあらしまへん。

何か京都弁で書いてると、体がなよなよしてくる。それに嫌みな人になった気分で何だかとても疲れる。普通に書こっと。

すぐきといえば、その酸味である。とにかく酸っぱい。独特の発酵臭もあるから、好き嫌いのハッキリする漬物だろう。自分も小さい頃は、その酸味が苦手で嫌いだった。
しかし、大人になってからは好きになった。その酸味が段々クセになってくるのである。
その辺は恋愛事情にも通ずるところがあるだろう。
クセの強い、つまり個性の強い相手は最初のうちは警戒するし、敬遠しがちだ。しかし、ひと度その魅力に嵌まってしまうと、他の普通の人では面白味がなくて満足できなくなる。そんな事、経験ありません❓

何?、ないって。
だとしたら、つまんない恋愛をしてきた人だね…と言いかけて、というかもう言ってるけど、前言撤回。
無い人は不幸だとも言えるし、幸福だとも言えるのである。クセのある相手との恋愛はイレギュラーな事が多いゆえ、展開が読めない。そこに恋愛の醍醐味があるのだが、同時にワケわかんないから不幸な顛末になる確率も高いのだ。そして、そんな変な人ばかりを選んでると、碌な事がない。世間一般の幸せから遠ざかること自明なのだ。

話が逸れた。
テーマはすぐきである。
食すにあたっての注意事項は、葉っぱが硬いこと。だから、細かく刻みましょう。ゆめゆめ野沢菜みたいな切り方はなさらぬよう。硬くて食えませんぞ。

 

 
と言いつつも、( ̄∇ ̄*)ゞえへ。微塵切りになっとらんやないけー。
考え事をしてて、ほおーっとしとったんよ。
だから、一口食ってすぐに切りなおしましたよ(笑)

蕪本体の切り方は自由。沢庵(たくあん)みたいに切ってもいいし、縦に細切りにしてもいい。細かく微塵切りにすれば、「刻みすぐき」となる。
「刻みすぐき」といえば、『土井志ば漬け本舗』。
土井と云う名前が気にくわないが、ここの刻みすぐきが一番好きだ。

すぐきは酒のツマミにもなるけど、やっぱり一番は白いご飯だ。これがマストでしょう。アホみたいに飯が食える。お好みだが、醤油をちょっと垂らして食うのが旨い。ぶぶ漬け(お茶漬け)にしても、美味しおすえ。

えー、オジサマは浅いヤツよりも発酵が進んだ酸っぱいのが好きだ。クセが強いのが好きなんである。
何か、脳内で自分の恋愛遍歴とリンクして走馬灯のように流れたよ(^_^;)
嗚呼、できることなら学生時代に戻って、そこからやり直したい。
あの失恋さえなければ、王道路線のままで終わったのになあ…。

                  つづく

 
追伸
何だか心が塞ぎそう(否、この場合は鬱ぎそうか?)になったので、今回はここまで。
次回、千枚漬けとなります。
 

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投稿者:

cho-baka

元役者でダイビングインストラクターであり、バーテンダー。 蝶と美食をこよなく愛する男。

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