蝶は買わない主義。なのだが…

 
一昨日、3月11日はインセクト・フェア(昆虫展示即売会)だった。
インセクト・フェアとは、昆虫の標本を中心に昆虫関連の書籍や道具が売買される虫好きの虫好きによる催しなのだ。
まあ、虫嫌いな一般ピーポーからすれば、(;゜0゜)はあ❓とか、(|| ゜Д゜)へぇー❓の世界である。
自分も蝶に嵌まるまでは、こんなマニアックの世界がこの世に存在するとは夢にも思わなかった。世の中、色んなマニアさんがいるのである。

 

 
画像は去年のものだが(註1)、こんな感じである。
年齢層が異様に高い。
ただでさえマイナーな業界なのに、10年後には益々衰退、風前の灯火になっていること必至でしょうな。
珍しい虫だけでなく、虫好きも今や絶滅危惧種なのだ。

 
基本的には虫(蝶)は買わない主義だ。
蝶は買うもんではなく、自分で採るもんだと思っているからだ。買ってしまうと、自らの足で現地に会いにゆきたいと云うモチベーションが著しく下がるような気がしてならない。もう採ったような気分になってしまうのだ。恋愛なら、妄想変態野郎である。
しかし、憧れの蝶の棲むロケーションに実際に身をおき、生きている実物を見る感動は大きい。そこには心躍る純粋なハンティングの快楽がある。それに、生きた蝶には謂わば生命の輝き、標本を遥かに凌ぐ美しさが具わっているのだ。その珠玉の楽しみを自ら放棄、もしくは薄めてしまうのは勿体ないと思うのだ。
だから、死んだ蝶は買わない主義なのだ。

じゃあ、何で行くのかと云うと、虫仲間と虫談義をする為である。虫の話が出来るのは、虫仲間しかいないのだ。
普通は同じテーマについて喋り続けることは出来ないものだが、誰しもが何時間でも延々と虫の話をしていられる。全然飽きないのである。
これは自分にとっては驚きであった。たとえ文学や映画が好きでも、延々とそれについての話をしようとは思わないからだ。食いもんの話だって無理だ。話は自然と別なジャンルへと移行してゆくのが普通なのである。

そんな蝶は買わない主義の自分だったが、一昨年辺りから蝶をちょぼちょぼ買うようになってきた。
キッカケはヘリボシアオネアゲハである。出谷さんのところのブースで、三角紙標本が300円だか500円だかで売っていたのをつい買ってしまったのである。

 
【Papilio lorquinianus ヘリボシアオネアゲハ】
(実際はもっと緑っぽい。スマホだと何故だかこの色にしか写らへん)

 
分布はニューギニア周辺である。
多分、モルッカ諸島のバカン島(Bachan)のヘリボシだったかと思う。
その辺の事はアメブロに『マリンブルーの肖像』と題して書いた筈だから、興味のある方は読んでみて下され。

マリンブルーの肖像
(青のとこ、クリックすると本文に飛ぶ筈です)

Σ( ̄ロ ̄lll)ゲッ、自分で読んだらキッカケはヘリボシアオネアゲハではなく、チモールの貴婦人オリルスフタオであった。しかも、軍神マルスフタオも買ったので、ヘリボシアオネはオマケにつけてくれたのだ。
人の記憶と云うものは曖昧である。自分の都合のいいように勝手に改竄するなどお手のものなのである。

 
【Charaxes orilus オリルスフタオ♂】

 
この辺の経緯もアメブロにあります。
計5、6回のシリーズものだったかと思う。

蝶を買ってしまった…

そいでもって、その年の冬のフェアにはもう蝶なんて買うまいと決めていたのに、山積み300円均一のアフリカのフタオチョウを前に決意がいとも簡単に消し飛んだ。

 
【Charaxes imperialis❓】 

 
多分、これも『アフリカのフタオチョウ』と題して文章を書いている筈だが、探すのが面倒くさいのでURLは貼りません。興味のある方は、申し訳ないが御自分で見つけて下され。

とにかく、自ら採りに行くことを考えれば、屑みたいな値段である。そう考えたら、なし崩しになってきた。それでも、金額は抑えてきた。二千円を越える蝶は買うまいと自らを戒めていたのだ。
しかし去年、遂に絶対に自分で採りに行くと決めていた魔王クギヌキフタオまでをも買ってしまった。

 
【Polyura dehaanii クギヌキフタオ♂】

【♀裏面】

 
ジャワ島産の1ペアの三角紙標本が1万円五千円だったかと思う。それが値引きして1万3千円にするよと言われたのだ。
昔は1頭何十万もした蝶で、今でも♂1頭で1万円前後、♀ならばその倍くらいの値段はついているのである。
中を開けてみて、その裏面のあまりの複雑怪奇さに一発KOのノックアウト☆(゜o(○=(゜ο゜)o

遂に1万円越えの買い物をしてしまった。
もう、こうなると、一回体を許した処女の気分みたいなものだ。二回目以降はパッカーンである(スイマセン。決して女性蔑視ではありません。あくまでもバカ男の脳内想像です)。

去年の冬にはパンダルスムラサキのペアを買ってしまった。

 
【パンダルスムラサキ】
(出典『蝶の標本 麗蝶』)

 
インドネシア・アンボン島のパンダルスだ。
まあ、♂♀ペアで1200円くらいだったから、安い。アンボン島は遠いし、治安がメッチャ悪いと言われているのだ。
でも、まだ展翅もしてないんだよねー。

それで、病気の進行は収まりつつあるのではと思った。
ならば、この機に病気を完治させようと思って今回は臨んだ。何も買うまいと決めたのだ。

その作戦は前半には上手くいっていた。
だが、後半になって病気再発。小原さんのとこに前半には沢山あったシナシボリアゲハの三角紙標本が見る見る減っていくのをみて、心が揺れたのだ。
追い討ちをかけるように、小太郎くんの悪魔の囁き。

『コレ、安いと思いますよー。今度また同じ値段の出物があるかどうかはわかりませんよねΨ( ̄∇ ̄)Ψ』

真面目そうに見えて、案外Ψ( ̄∇ ̄)Ψダークな青年なのである。煽り方が巧みなのだ。
で、結局買いました。
それにしても、若い20代の若者のせいにするだなんて、サイテーだ。病巣は思った以上に自身を蝕んでいそうだ。

 

 
3頭で1800円。♂3頭だが、1つ600円と考えれば激安である。中国は、というか漢民族とはソリが合わないので中国に行く気にはなれない。無礼者に対して怒ってばかりだと疲れるのである。そう考えれば安い買い物だ。
あ~、でも経費とか考え出したら、益々買う方に走るよね。でも、そこには浪漫が無いんだよなあ…。
蝶採りとは、浪漫である。そう言い続けてきた身としては、肩身が狭い。

何だかグズグズ言ってるよなあ。ちよっとカッコ悪い。
何れにせよ、禁断の領域に足を踏み入れてしまってるよね。

ウンナンシボリアゲハも売っていたが、コレは触角が折れていたので、何とか踏みとどまった。
喉元まで『マケてくれんかのうー( ̄З ̄)』という言葉がせり上がってきていたが、言って値下がりしたら買わざるおえないと思い、全力でブレーキをかけた。
けど、今度耐えれるかは自信がない。考えてみれば、シボリアゲハは既に持っているのだ。これがよろしくない。

 
【シボリアゲハ】

 
ミャンマーに行かれた人のお土産の三角紙標本を、自分で展翅したものだ。
これがあるゆえに、シボリアゲハ4種類をコンプリートしたいと思ってしまったんだね。
コレクターという人種は、蝶に限らず同じカテゴリーのものをコンプリートしないと気が済まないように出来ているのだ。ビョーキである。

一応実物はどんなものなのか気になるので、中を開けて確認してみる。

 

 
尾状突起が長く、優美だ。
しかし、思ったほどには色があんまり綺麗ではない。近縁のギフチョウっぽい裏面を想像していたので、何だかガッカリだ。ギフチョウよりもホソオチョウに近いのかもしれない。あの蛾みたいな奴に近いかと思うとモチベーションが下がるよ。

 
【ギフチョウ裏面】
(2017.4 兵庫県三田市)

 
【同表面】

 
【ホソオチョウ 夏型♀】

 
【同裏面】
(2016.9 大阪市淀川河川敷。上が♀)

 
でも、表はそんなこと無いよね❓
けど、どんなだっけ❓
画像を探してくる。

 
【Bhutanis thaidina シナシボリアゲハ】
(出典『ゆのはな虫屋』)

ついでにウンナンシボリアゲハの画像も添付しておこう。

 
【Bhutanis mansfieldi ウンナンシボリアゲハ】
(出典『蝶の標本 麗蝶』)

 
良かった。表は美しい。
安心したところで、タッパーに放り込む。
おいおい、展翅せんのかぁーい❗❓
ハハハ( ̄∇ ̄*)ゞ、展翅が嫌いなのである。パンダルスムラサキどころか、去年台湾で採った蝶もろくすっぽ展翅してないんである。
とは言っても、シボリアゲハとシナシボリアゲハを並べて見てみたい。
そのうち気が向いたら展翅します。展翅したら、ブログには書きますネ。

                 おしまい

 
追伸
何だか、よう意図のワカランような文章を書いてしまった。
次回の蝶の話は、台湾の蝶シリーズの予定。アゲハのどれかです。

(註1)画像は去年のものだが
去年は『虫マニアはデビルマンの歌を歌う』と題して文章を書きました。

虫マニアはデビルマンの歌を歌う

自分で書いたのを忘れてて、思わず笑ってしもうた。