2017′ 春の三大蛾祭り 青天の霹靂編

 
何か「ヤマザキ 春のパン祭り」みたいなタイトルである(笑)
えっ❗❓、そんなワケないってか。ヤマザキ伝統のパン祭りを蛾と一緒にすな(-_-#)❗ってか。
おっしゃる通りである。でも、2018年版の続編を既に予定しているので、その時もこの入り方で押し通すつもりだ。

え~とですな。このテーマは去年の春からずっと書こう書こうと思って書きそびれていた文章だ。
何でだろ❓
たぶん、ヤバい内容だからだ。
だから、今回は早々と閲覧注意と警告しておきます。

🎵(;・ω・)ゴブリン、🎵(;・ω・)ゴブリン(註1)
それはもう悪魔のごたる姿、普通の人間なら確実にチビるであろう異界の者が登場するからなのだ。
神は天使や女神のような可憐な生物も創造なされたが、同時に悪魔やモンスターをもこの世に産み落とされたのである。

話は去年、2017年の3月に遡る。
春分の日にインセクト・フェア(昆虫展示即売会)が開催されたのだが、そこで標本商のMさんと話していて、たまたま或る蛾の話題になった。

あれは忘れもしない2010年の春の事だった。
まだ蝶採りを始めて間もない駆け出しの自分が、初めて兵庫県の三田市にギフチョウを採りに訪れた時の事だ。
そのMさんが昼前くらいに車で乗り付けてきた。
ギフチョウを採りに来るには遅い時間帯だったので、
『あれ?、エライ遅い御登場ですねぇ。』と言ったら、Mさんがニヤリと笑って口を開いた。

『ええもん見したろかΨ( ̄∇ ̄)Ψ』

このオッサンがそういう笑い方をした時は要注意である。結構、悪い人なのである。何か企んでいるに違いない。
そして、ゴソゴソと三角罐(註2)からデカい三角紙を取り出してきた。そんなバカでかいギフチョウなんて存在するワケがないから、何を出してきたんだ?と思ったが、それが何なのかは皆目見当がつかなかった。
でもあのニヤリからすると、少なくとも自分にとっては喜ばしいものではないに決まっている。

『実を言うとなあ、コレを探しに行っとってん。』
と言って、Mさんは三角紙の包みをゆっくりと広げられた。

Σ( ̄ロ ̄lll)ウギャ❗
アギャ❗❗(゜ロ゜ノ)ノ

あまりの💥衝撃に飛び退いた。
今思えば、ヒィッ(|| ゜Д゜)と小さな声を漏らしたやもしれぬ。じゃなかったとしても、確実に心の中では悲鳴をあげていた筈だ。

そこには、邪悪そのもの、悪魔の分身の如き姿の巨大な蛾が横たわっていた。
あまりのおぞましさに、背中に⚡電流が走ったね。
何せ蝶は大好きでも、蛾はガキの頃から忌み嫌ってきたのだ。その衝撃度たるものや、凄いものがあった。

『そ、それ…何でんのん(;゜∇゜)❓』
おずおずと尋ねた。

『これはなあ、オオシモフリスズメって云う日本最大のスズメガで、年一回この時期にしか出てけえへんのや。』

兎に角、この世にそんなものが存在する事すら知らなかった者にとっては、そのインパクトたるや半端なかった。

引き気味に見ていると、Mさんが『大丈夫、大丈夫。アンモニア注射をブチュー打ったったから死んどるわい。』とおっしやった。

蛾もマッドだが、オッサンはもっとマッドである。

恐る恐る近寄り、マジマジと見てみた。
まるでステルス戦闘機みたいな形である。ソリッドで鋭角的、且つ挑戦的な三角形だ。
色は枯れたようなグレー。大きさはネズミ程もある。
いや、下手したらネズミよか大きいやもしれぬ。遠目で見たら、鼠と間違ってもオカシかない大きさだ。
そして、太い触角がより悪魔を彷彿とさせている。
もう邪悪を絵に描いたような存在で、こんなもんが実際に現実世界に存在するとは俄(にわか)には信じがたい。
コレは現実か❓
悪い夢を見ているのではないかと思った。

『コイツなあー。足がまたスゴいねん。爪がスゴくて引き離すのに一苦労や。』
そうMさんは言って、バケモノをひっくり返された。

更なる💥衝撃が走った。
鱗翅類(蝶や蛾のこと)にはあるまじきブッとさだ。
完全に甲虫のソレ、しかも日本最大のカミキリムシであるシロスジカミキリ(註3)クラスのガッシリした脚じゃないか。

 
(出典『Dangerous Insects』)

 
顔は、=3 しゅこ~、=3 しゅこ~のダースベーダーみたいだ。益々もって邪悪じゃよ。
体がもふもふの毛で覆われているのも、蛾嫌いにとっては異様に映る。ドラマや映画で凶悪な悪役が銀狐の毛皮を着ているって設定がたまにあるよね。あれを思い出したよ。

Mさんは更に続ける。
『ほんでなあ、コイツ、捕まえたらキューキューとかチューチューって鳴きよるねんでー。』

(;゜∀゜)鳴くのか❓
この期に及んで、また更なる衝撃波である。
それって、もうネズミやん!えっ、もしやネズミに擬態してるとか❓
とにかく信じられないような輩だ。どこまで人の想像力を裏切りよるねん。

それ以来、その時の記憶がずっと頭から離れなかった。
そういえば、Mさんから聞かされた宇山先生の逸話もあったなあ…。と思ってたら、やっぱりその話題になった。
Mさんが宇山先生をこの蛾の採集に連れていった時の話である。
先生も生きている怪物の姿を見た事がなく、一度連れていってくれと頼んできたらしい。
で、行ったら、灯火にゴブリンが突然正面からブオーンと飛んで来たという。しかし、体が重くて目の前でボトッと落ちた。
Mさんが『ほら宇山さん、来よったでぇー。』
と言って振り向いたら、先生はあまりの恐ろしさに驚愕の表情でジリジリと後ずさりしていったそうだ。
(≧▽≦)爆笑である。
生きている時の魑魅魍魎さは、先生の想像を遥かに越えるものだったのだろう。

ひとしきりそんな昔話をしていたら、突然、Mさんが言い放った。

『おまえ、今年行くかあ?』

衝撃の一言である。
一瞬、(°Д°)たじろいだ。
でも、次の瞬間には、

『行きます。』

と答えていた。

あの戦慄の出会い以来、ずっとゴブリンの事は気になっていたのだ。でも、怖いのと怖いがゆえに見てみたいという二律背反する心理がせめぎあって、ついぞ決断できずにここ数年間を過ごしてきたのだった。
今こそが、その逡巡に終止符を打つ最大の好機なのである。行くっきゃあるまい。

それに、Mさん曰くその場所ならば、これまた異界の使者であるデジタル悪魔、ウルトラマンにも登場するあの恐ろしきダダみたいな出で立ちの「イボタガ」や、蒼き眼を持つメフィスト(註4)「エゾヨツメ」にも同時に会えるというではないか。
オオシモフリスズメ、イボタガ、エゾヨツメをして、蛾業界では『春の三大蛾』と呼び、崇め奉っていると聞いた事がある。その三大スターが一同に集結するのである。期待とおぞましさでブルッときたよ。武者震いなんて、滅多にある事ではない。心臓発作を覚悟して、戦地に赴くっきゃあるまい。

  If I die combat zone.

もしもオイラが死んだら、骨を拾ってくれ。

                   つづく

 
追伸
閲覧注意だなんてビビらせておいて、今回はヤバい画像無しでしたねー(笑)
でも、あえて添付しなかったのだ。そこはホレ、脳内で姿を想像してくれたまえ。で、恐怖も増幅してくれたまえ。ネットで画像なんか探すんじゃないよ(=`ェ´=)
そもそも恐怖映画とかホラー小説なんてものは、最初っからバケモノや殺人鬼はおおっぴらには登場しない。そんなことしたら、怖さ半減なのである。
まあ、そう云うワケだから、次回を楽しみにされたし。あっ、自分でハードルを上げてもた。
えー、ご免なさい。テキトーに考えた言いワケです。
本当は最初は一話完結にするつもりで書いていたのだ。しかし、書いているうちに長くなってしもて、分載することにしたのさ。ならば、画像は後半のクライマックスにもっていこうと思ったワケ。
とはいえ、後編の構想ゼロなのだ。面白く書けるかどうかは自分でも自信が無い。だから、面白くなかったらゴメンね🙏
おいおい、早くも逃げ腰の言いワケかましである。
まあ、何とか面白くなるように鋭意努力させてもらいまっさ。

とはいえ、全く画像が無いよりもチラッと見せといた方が、より効果があるか…。

ではでは。

 
(出典『黄昏あさつき日記』)

 
(´・ω・`)もふぅ~。

ちよっと可愛い過ぎて、邪悪度が今イチだ。
ならば、コレならどうだ。

 
(出典『いもむしうんちは雨の音』)

 
異形(いぎょう)の者である。でも邪悪っぷりは、まだまだこんなものではない。次回はその邪悪なる全貌があらわになりまする。
乞う、ご期待❗

 
(註1)ゴブリン
邪悪な悪意をもった精霊のこと。ヨーロッパの民間伝承やその流れを汲むファンタジー作品に登場する。
しばしば悪魔や鬼の意としても使われる。

 
(註2)三角罐と三角紙
三角罐は三角ケースとも言い、採った蝶や蛾をおさめる三角形の箱のこと。また三角紙は蝶や蛾を包む紙のことである。翅の鱗粉を剥がれにくいようにツルツルのパラフィン紙などで折られている。

 
【三角罐】

 
【三角紙】

 
この三角紙に蝶を入れて、三角罐に収納するって事だね。

 
(註3)シロスジカミキリ
(出典『SNITZ Forum 2000』)

 
フトカミキリ亜科 シロスジカミキリ属。
日本最大級のカミキリムシで、日本全土に分布し、低地から低山地に見られる。成虫は夏季に現れ、主に夜間に活動する。幼虫はブナ科樹木の内部を食害し、栗の害虫としても知られる。幼虫は別名「テッポウムシ」とも呼ばれ、戦時中の食糧難の時代には一部の地域では食用にされていたという。オカン曰く、小さい頃に食べた事があり、大変美味らしい。

 
(註4)メフィスト
ドイツの伝説上の悪魔メフィストフェレスのこと。
16世紀ドイツのファウスト伝説やそれに材を取った文学作品に登場する悪魔で、現代では洗練された悪魔として描かれることが多い。

 

すぐきと千枚漬け(後編)

  
すぐきも好きだけど、千枚漬も好きだ。
でも、関西以外の人はあまり食べた事がないかもしれない。いや、最近は漬け物離れが進んでいるというし、若い子なんかは食べた事がない人も多いかもしれない。
一応、ざっと解説しとくか…。

千枚漬とは京都を代表する漬物の一つで、すぐき、柴漬けと共に京都三大漬け物に数えられる。
現在販売されているものは概ねカブを薄く切って昆布、唐辛子とともに酢漬けにしたものである。
但し、カブといっても京野菜の聖護院蕪(かぶら)を使ったものでないと千枚漬けとは名乗れない。たまにパチもんも見るので、買う時は注意しましょう。

名前の由来は、蕪を薄く切り、樽に漬け込む枚数が千枚以上であるとか、蕪を千枚と言えるほど薄く切って作るからと伝えられている。
御所の料理人であった大黒屋藤三郎が江戸時代に考案したとされる。本来は聖護院蕪をスライスし、塩漬をして余分な水分を取り除き、その後、良質の昆布だけで本漬を行い乳酸発酵をさせたもので、蕪の甘味、乳酸発酵の酸味、昆布の旨味のバランスが良い漬物である。
しかし、第二次世界大戦後は砂糖、酢、調味料を使ったものが大量生産されるようになり、現在の酢漬けの千枚漬が大半を占めるようになった。
聖護院かぶらの生産期(11~3月)に合わせて漬け込みが行われ、販売時期もこの期間に限定される。

そろそろ千枚漬の季節も終わりだね。
もっと食っときゃよかったよ。今冬は2度しか買わなかったのだ。
何でそないな事になったのかというと、なんば高島屋の『大安』が無くなっちやったからである。

 
(出典『大安 ホームページ』)

 
近所だから、いつもなら他の買い物をした折りに、ついでに買うことが多いのだ。
ならば、他の店の千枚漬を買えばいいではないかと言われそうだが、(# ̄З ̄)👆Non・non・non・no.
千枚漬は店によって全然味が違うのだ。
例えば、大安の差し向かえに『西利』なんかは少し甘めなのだ。西利さんも老舗だがら、好きな人は多いと思う。しかし、残念ながら自分の好みには合わないのである。
自分の中での「千枚漬」とは、昆布でぬるぬるヌメヌメのヤツで、旨みがあって酸味と甘みが強くないものなのだ。大安はそのバランスが良い。
化学調味料は使ってなくて、上質な酢と味醂、塩を控えめに使ってるという感じなのだ。

では、もっと他の千枚漬を探せばいいではないかとも言われそうだが、千枚漬は高いのである。そうおいそれとは、のべつまくなしには試せないのだ。

で、唯一試したのがコレ。

 

 
村上重本店の千枚漬。
コチラも老舗中の老舗である。
たかが漬物なのに、千円もした。
ねっ、高いでしょ。

中身はこんな感じ。

 

 
ヌメヌメのぬるぬるじゃよ。
これなら期待値も上がろうというもの。
昆布が分厚いなあ…。とりあえず細切りにしよう。

盛りつけてみる。

 

 
食ってみる。
Σ(゜Д゜)わっ❗、パンチ効いてる。
クセが強いんじゃあ~。
でも慣れてくると美味い。旨みが強くて、味が濃い。
甘みは調味料の甘みではなく、蕪の甘みだ。変に甘ったるくない。酸味も酢の酸味ではない。乳酸発酵❓
となれば、これが本来の千枚漬け。藤三郎由来の元々の千枚漬ってことか…。
旨いなあ…。千枚漬の概念が少し変わったよ。

だが、デカくて食べにくい。それに一気食いみたくなって、何だか勿体ない。

半分に切った。

 

 
旨かったので、また買った。

 

 

 
千枚漬は、酒の肴というよりも断然ご飯のお友である。
そのまま食ってもいいが、昆布を乗せ、ちょいと醤油を垂らして食うと旨みが増し、益々ご飯にあう。

そういえば、去年の春先に買った千枚漬けがあったなあ…。

 

 
『江州の郷 さくら千枚漬』。

 
桜の葉入りの千枚漬である。
江州といえば、京都ではなく滋賀県じゃないか。
しかも国内産カブ使用とある。その時点で、聖護院蕪を使ってないことは明白だ。完全にまがいモンである。

 

 
やはりというか、これが全然もって旨くなかった。
桜の香りは悪くないのだが、やたらめったらに甘酸っぱいのである。お菓子かよ(=`ェ´=)❓
やはり、千枚漬は「大安」みたく甘みを抑えたものか、元来の製法のものが美味い。

となると、ここも気になるところではある。

 
(出典『老舗もーる』)

 
『千枚漬本家 大藤』である。
何てったって、本家なのである。創業慶応元年。ここが千枚漬けの元祖と言われている店だ。

どうやら壬生菜を使っているのが特徴のようだ。
なあ~んか見たことあるような気がする。食ったことがあるような記憶もある。
だとしても、かなり昔のことだ。たぶん20年以上前だろう。ならば、食べた事がないと言っても差し支えないでしょう。何せ、味の記憶が全然無いのだ。

本家と謳っていて、まさか化学調味料とか酢とか味醂は使ってないだろう。オラの求める千枚漬の筈だ。
よし。来年は、ここの千枚漬を試してみよう。
けど、ここもきっと高いんだろなあ…。
まあ、旨けりゃ全然いいんだけどさ。

                  おしまい